工場の休憩は、他の業界より回数が多かったり、取る時間が決まっていたりと、少し特殊です。「ライン業務はトイレ休憩に行けない」なんて噂もよく聞きます。もちろんそんなことはないので、安心してください。
ただ、たまに「人間関係が楽だから」という理由で工場で働きはじめ、休憩中の雑談が多くて嫌気が差したといった話は聞きます。
同じような理由から工場で働こうと考えている方は、工場の休憩時間がどういったものなのか押さえておくことも大切です。
工場の休憩は2~3回、小休憩と昼食休憩のセットが基本
働く時間やシフトにもよりますが、工場の休憩は小休憩1~2回+昼食休憩1回の合計2~3回という所が多いです。デスクワークより体力を使う仕事なので、一般的な企業より多めに設けられています。
どのタイミングで取るかは工場次第ですが、8時~17時勤務の場合、次のような感じです。
08:00 始業
10:00 小休憩(10~15分)
12:00 昼食休憩(60分)
15:00 小休憩(10~15分)
小休憩はトイレを済ませたり、工場の外でタバコを吸ったり、マイカーで休んだりする人が多いようです。
ちなみに休憩時間は、法律で次のように決まっています(労働基準法 第34条 第1項)
- 6~8時間の仕事:45分以上
- 8時間を超える仕事:60分以上
工場の休憩は一斉に取るのが基本
一般的な企業だと、社員それぞれ自由なタイミングで休憩すると思いますが、工場の休憩は全員で一斉に取ります。開始と終了の時間がきっちり決まっています。
これは法律で決められているのもありますが(労働基準法 第34条 第2項)、生産効率の都合もあります。特にライン仕事は流れ作業のため、11時から検品の人、12時から組立の人のように交代で休むわけにいきません(ラインが止まってしまいます)。よって、一斉取得が基本です。
(ちなみに工場と労働者お互いの同意があれば、一斉に取らなくても大丈夫です)
着替えの時間などは労働時間
たまに「休憩60分だけど、着替えの時間があるから、実際は40分くらいしか休めてない」といった声を聞きます。
このように、着替えなど仕事に必要な作業を休憩時間中に済ませるよう指示する工場があるみたいですが、これは法律違反です。
法律では、休憩は社員に「自由に利用させなければならない」としています(労働基準法 第34条 第3項)。そのため、もし休憩時間中に着替えておくように言われた場合、工場側は着替えに使った時間ぶんの休憩を別に与えなければいけません。
もし可能なら、働こうと思っている工場のクチコミ情報などを調べて、こうした法律違反をしている工場じゃないかチェックしてください。
工場は人間関係が楽な職場だと思ったら、休憩時間は雑談ばかりだった
工場は社員どうしの会話や飲み会の誘いが少ないなど、人間関係が楽な職場として知られます。そのため煩わしい人付き合いを嫌う人の仕事先として人気があります。
ただし工場によっては、休憩時間は社員どうし雑談で盛り上がるところもあります。こればかりは工場によるので、入ってみないと分かりません。
もし確実に避けたい場合は、数百人~1,000人規模の大きな工場を選びましょう。大規模な工場だと、休憩中に交流する人たちと、ひとり静かに過ごす人たちに、きれいに分かれる傾向があります。
工場はトイレ休憩が取れないは嘘だが、緊急の電話には出られない場合がほとんど
ライン仕事はトイレ休憩に行けないと噂されますが、もちろんそんなことはありません。トイレは生理現象ですから、仕方ないことです。
工場の場合、ラインを止めるわけにはいかないので、皆さんがトイレ休憩に行くあいだは一時的な交代要員の人が穴を埋めてくれます。
工場に多い男女共用トイレ、実は法律違反
工場のトイレは男女共用なことが多いですが、実はこれは法律違反です。労働安全衛生規則には、トイレは「男性用と女性用に区別すること」と明確に定められています(第628条 第1項 第1号)
ただ現状、ほとんどの工場のトイレで男女共用なのが実態です。そのためか、工場勤務の女性に伺うと「後が汚いから使いたくない・・・」といった声も多く聞かれます。
ちなみに、トイレの数も法律によって決められています。
第六百二十八条 事業者は、次に定めるところにより便所を設けなければならない。ただし、坑内等特殊な作業場でこれによることができないやむを得ない事由がある場合で、適当な数の便所又は便器を備えたときは、この限りでない。
一 男性用と女性用に区別すること。
二 男性用大便所の便房の数は、同時に就業する男性労働者六十人以内ごとに一個以上とすること。
三 男性用小便所の箇所数は、同時に就業する男性労働者三十人以内ごとに一個以上とすること。
四 女性用便所の便房の数は、同時に就業する女性労働者二十人以内ごとに一個以上とすること。
五 便池は、汚物が土中に浸透しない構造とすること。
六 流出する清浄な水を十分に供給する手洗い設備を設けること。
2 事業者は、前項の便所及び便器を清潔に保ち、汚物を適当に処理しなければならない。
(e-Gov「労働安全衛生規則」より)
ご覧のように、男性の場合、大便所は60人ごとに1つ、少便所は30人ごとに1つ。女性用便所は、20人ごとに1つ用意しなければいけないとあります。また、常に清潔に保たなければならないとも規定されています。
トイレ休憩は休憩時間ではない
先の着替えのように、トイレ休憩でも「休憩時間だから給料から引きます」と対応する工場が稀にあるようです。
弁護士ドットコムなどを拝見すると、これは法律に違反する可能性が高いようです。
民法・第90条には「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」とあります。ここでいう「善良な風俗」とは「社会一般的な道徳感覚」とでも思ってください。
トイレは人間の生理現象ですから、誰でも行きたくなります。だから「トイレ行っていいですか?」と言われれば、誰だって普通は=社会一般的には「いいですよ」と言います。このとき「じゃあ給料から引きます」という工場は、善良な風俗に反する=法律違反と判断される可能性が高いです。
ただし、トイレにかこつけて30~40分も長々と休憩するのは認められないので気をつけましょう。
工場は、保育園などから電話があっても取れない点に注意
主婦(夫)の方だと、保育園などから急な連絡が入ることもあるでしょう。
一般的な企業だと、そうした場合でも席を外して電話に出られます。しかし工場ではラインを外れられないので、基本的に対応できません。そもそも安全上・衛生上の理由から、スマートフォンの持ち込みを禁止されているケースがほとんどです。
ネット企業などでも、セキュリティ上の理由からスマートフォンの所持が禁止されている仕事は多いですが、同僚の配慮から少しだけ席を外して着信がないか確認するといったことは出来るみたいです。しかし、工場はそうもいきません。
そのため、もし工場パートなどを考えている主婦(夫)さんは、お子さんが寝ていて旦那さん・奥さんが家にいる夜勤に入るのが無難でしょう(もっとも、今度は寝ている時間に電話が入ってしまう可能性はありますが)
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まとめ
工場の休憩の取り方は、一般的な企業と違って少し特殊なため、慣れないと最初はやりにくいかもしれません。特にライン業務のトイレ休憩は、勝手にラインを離れてはいけないので注意しましょう。
そしてもし可能であれば、働こうと思っている工場が法律に反する休憩の与え方をしていないか、ネットのクチコミなどから調べておきましょう。