工場への転職を考えている方の中には、工場での服装や身だしについて気になる点もあるでしょう。一般的に油汚れのイメージが付きやすい工場勤務ですが、服装や身だしなみも工場ごとに違いがあるものです。
何でもいいものではなく、工場の服装にはきちんとした理由もあり、耐熱や防寒など仕事によって機械工場や食品工場などで違いがあります。転職前に服装や身だしなみについて知っておくことも大事なポイントです。そこで、工場の仕事ごとの服装について解説していきます。
工場での服装は基本的に作業着
工場で作業する場合、ほとんどの職場では作業着を着用し、その作業着は一般的に貸与されます。さすがに1枚では替えがきかないので、多くの工場では2枚以上の作業着を提供しています。追加で欲しい場合には購入となるケースもありますが、基本的に支給されて退職時に返却する方針です。
中小・零細規模の工場では例外もあり、検査のみの軽作業がメインなパート社員にはエプロンだけ支給して、普段の作業には汚れてもいい服装を持参する職場も見られます。その場合には動きやすく、油汚れが平気な服装を用意しましょう。
工場で作業着を着用する理由は?
工場での作業時は、作業着の着用義務があります。では、なぜ着用義務があるのでしょうか、以下に説明していきます。
安全に作業するため
工場の仕事では作業員の安全を第一に考えて、作業着を着用しなければなりません。これは、作業時に衣類が機械に巻き込まれる大惨事を防止するためです。労働安全衛生規則の第110条にも、作業着の着用義務に関して記載があります。
事業者(工場・企業側)は、作業帽子と作業着を着用させる義務があり、労働者側も安全に作業するために必要です。作業着が貸与されるのは、こうして法律で定められているからといえます。
参考:労働安全衛生規則 – e-Gov法令検索
軽くて動きやすいため
作業着は軽量で動きやすく、装飾物や突起物はありません。理由としては、事故を防ぐ理由以外にも、作業者の作業効率を重視しています。機能性を重視しているので作業しやすく、ストレスを感じさせない作りが主流です。
汚れを防止するため
工場での作業中に、機械装置の作動油や薬品のシミが付くことがあります。自前の服装だと汚れが付着してしまえばなかなか取れません。クリーニング代も高くなってしまいます。作業着を着用していれば、衣服の汚れ防止になるので、汚れを気にせず作業に集中することができます。
工場の仕事別で服装は違う
工場はさまざまな業種業態によって、作業内容が異なります。グループ企業内は同じ服装が基本といえますが、仕事が違えば作業者の服装や素材も異なるものです。ここでは、工場の仕事別で服装の違いを説明していきます。
機械工場
自動車工場などの機械工場は、大型装置を使って部品を組み立てるような作業があります。そのため動きやすさを優先して、上下が分かれている作業着やつなぎの作業着が多い傾向にあります。
大きな工場では指定の靴が支給され、つま先には鉄板のようなガードを付けている場合が見られます。機械工場でも検査や検品といった軽作業の場合は、指定の靴が支給されない場合もあります。その場合には、動きやすくて長時間の作業をしていても疲れない靴がおすすめです。
食品工場
食品工場は不純物が入らないように、不織布でできた作業着や白衣が支給されます。食品工場では衛生面が重要視されているので、糸くずや小さなゴミが入らないように、頭髪への規則も厳しいものです。
衛生帽子やフルフードの着用も義務付けられていることがほとんどで、服装以外にも爪やマニュキア、装飾品などにも厳しい規則が設けられています。
また、食品工場では冷凍・冷蔵庫内での作業もあり、防寒対策がされた作業着が支給されます。
精密工場
半導体工場などの精密工場では、静電気帯電防止作業着が支給されます。作業着と下着の摩擦で発生する静電気が、製品へ影響を及ぼすことを防ぐためです。爆発の恐れがある作業の場合は、靴も静電気帯電防止用作業靴を履きます。
倉庫
倉庫では動きやすさを重視して、綿素材の作業着がメインとなります。上下に分かれているつなぎで、帽子の着用も義務付けられていることが多いです。工場内の倉庫によっては、電気を通しにくい頑丈な安全靴の着用が義務付けられていることもあります。
おすすめ工場系求人サイト
工場求人ナビ
- 求人数が少ないが、求人の品質の定評があります(2019オリコンランキング1位)
- 優良企業が多い(ブラック企業に当たりにくい)です
- 面接来場(合否不問)でQUOカード1,000円分がプレゼントされます
- 検索メニューはメリットで絞るだけと、シンプルで使いやすいです
- 「残業少なめ」で検索できます(できないサイトが多いです)
お仕事情報ネット
- およそ10,000件と業界最多規模の掲載求人数
- 正社員求人、正社員登用求人が多めです
- 高時給、高月給の求人が多めです
- 工場事務の特集ページ、寮あり求人のみの特集ページなどがあります
工場での服装で気を付けるポイントは?
工場の服装について気を付けるポイントをみていきましょう。
防寒対策
工場の作業場所によっては、防寒対策が必要です。おすすめの防寒対策を作業場所別にご紹介します。
・搬入や搬出など、外気にあたる付近で作業する場合
気密性の高いインナーの着用や、貼るカイロがおすすめです。貼るカイロは、インナーと靴下の両方へ貼ると、体と足先の両方を温められます。外観にも響かないので、手軽にできる防寒対策です。
・食品工場での冷蔵・冷凍庫で作業する場合
気密性の高いインナーや貼るカイロは、こちらでもおすすめです。ただ、冷蔵・冷凍庫での作業は、さらなる防寒対策が必要です。防寒のためには「三首」を温めることがよいといわれており、「首」「手首」「足首」の三か所が重点ポイントとなります。
三首を温めるネックウオーマー、リストウオーマー、レッグウオーマーなどを積極的に使って、しっかりと防寒しましょう。
・機械工場での検査など、座ったまま(検査など)で作業する場合
こちらも、気密性の高いインナーの着用や貼るカイロはおすすめです。加えて、冷え性に悩む女性ならタイツの着用や、靴下の二枚履き、腹巻などの防寒対策もしたほうがいいでしょう。 工場によっては、外の冷気が入ってくるエリアで作業しなければならず、膝掛けなどを使った防寒対策も必要です。
熱中症対策
作業場所によっては、真夏の熱中症の対策も考えておく必要があります。作業場所別の熱中症対策をご紹介します。
・一般的な機械工場の場合
もともと機械が放出する熱によって暑い機械工場では、汗をたくさんかくので、水分をこまめに補給することが不可欠です。汗をかくと水分と一緒にナトリウムも体内から排出されてしまいます。汗を吸収しやすいインナーや通気性のよい下着を着用するのが好ましいです。
また、服装とは別に塩分を定期的に摂ることも大事なポイントといえます。塩飴や効果的にナトリウムも摂取できる「経口補水液」は特におすすめです。
・溶接や熱処理など、現場の体感温度が高い場合
溶接や熱処理の現場では、夏でも長袖を着用しなければならず、高温での作業なので汗だくになります。水分と塩分はこまめに補給することはもちろん、冷感素材のインナーを着用するようにしましょう。
加えて、首に巻ける冷汗タオルはおすすめです。汗を吸い取ってくれますし、首がひんやりと冷たいと作業時に心地良くなります。ただ、巻き込まれなどの災害防止があるので、作業中に冷汗タオルを巻いて良いかは、事前に確認しましょう。
・真夏でも屋外作業が多い場合
工場勤務でも屋外作業が必要な職場の場合は、こまめに水分と塩分を補給することに加えて、定期的な休憩も必要です。熱中症の起こりやすさには、体調や疲労度も関係しているからといえます。
職場の許可がでるなら、ファン付きの作業着でもある「空調服」もおすすめで、屋外の暑い状況下でも、作業着についているファンの風で、熱気を服の外に逃せることから、熱中症対策になります。
工場での身だしなみに気を付けるポイントは?
工場では、身だしなみに関しても、気をつけるポイントがあります。
腕まくり禁止
工場での服装は作業着の着用が義務づけられていますが、半袖を支給していない部署もあります。長袖だと暑さや作業性から腕まくりをしたくなる人もいるでしょうが、工場によっては「腕まくりが禁止」の場合があります。
特に巻き込まれの労働災害が過去に出ている職場では、腕まくりによって袖が膨れて、作業時の装置に巻き込まれる恐れがあるので腕まくりを禁止にしています。
メイクの禁止
一般的には、化粧品が製品や食品につくと、不良品扱いになるケースがあります。食品工場ではメイク禁止にしている場合があります。とはいえ、社会人として身だしなみも大事な要素ですので、メイクは控え目にするよう注意喚起していることがほとんどです。
精密機器の工場では、化粧水の成分が手についたまま作業すると、精密機器に異常をきたすこともあるので注意が必要です。
髪型・髪色
髪型は基本的には自由です。ただ、長い髪だと作業用の帽子の中に入りきらない場合があります。その場合、安全面や衛生面で問題になりますので、食品工場や精密工場では注意が必要といえるでしょう。
ヘルメットや帽子を被ることが基本ですので、髪色までは注意されることはありませんが、工場で働く以上は社会人として節度を守ることが大切です。
爪やネイルとマニキュア
工場で働くためには、身なりをきれいに整えることは重要です。これは爪に関しても、同じことが言えます。長い爪では作業効率が低下し、素手の作業になると製品に引っかかる可能性があります。ある程度、切り揃えておきましょう。
ネイルやマニキュアに関しては、作業中は一切を禁止しているケースもあります。手袋を着用して作業する場合には、「ネイルOK」としている工場もあります。工場によって異なるので、ネイルやマニキュアの規定に関しては、事前に確認するようにしましょう。
アクセサリー・時計
一般的に工場勤務ではアクセサリーは厳禁です。特に指輪や時計などは、作業時に製品を傷つける可能性があり、多くの工場で禁止されています。
また、油汚れや薬品が付着する恐れがあるので、大事な装飾品は付けないほうが無難といえるでしょう。
冷え性対策
冷え性で悩む女性は多くいます。屋外を除いて防寒着を着用して作業するのは禁止している工場が多いので、防寒対策を講じなければなりません。そのため、厚手や防寒用の暖かい素材のインナーを着用するなど、独自の防寒対策を心がけましょう。
まとめ
工場では安全のために作業着の着用が義務付けられており、基本的に貸与で支給されます。仕事別で服装の素材は異なり、機械工場や食品工場でも環境が違えば寒さや暑さへの対策がなされています。
転職する際にもどのような環境で仕事するのか調べておき、ここで挙げた対策を講じておくようにしましょう。