工場の休みは年120日と多い。ただ普段は5日仕事・2日休みで完全固定

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工場の休みは「多い」と喜ぶ人と「少ない」と嘆く人に真っ二つになります。ここまで企業によって差が出る業界も珍しいのではないでしょうか。

厚生労働省が行った就労条件総合調査(2018)によれば、日本企業の休日の平均日数は、107.9日。2017年調査の108.3日より、少しですが減りました。そんな中、製造業は企業あたりの休日が平均111.4日。全体平均よりも多いです。

実際、工場の休みは多いのか少ないのか。お盆や年末年始は休めるのか。休日出勤はどのくらいあるのか。
今回は、工場の休みについて詳しく見ていきましょう。

工場の休みは年間およそ120日

2013年、インテリジェンス(現・パーソルキャリア)が行った調査「業種別の休日数ランキング -全80業種-」によれば、休みが多い業種トップ10のうち、8位に入ったリース以外はすべて製造業。ほぼ独占状態でした。
トップ5は以下のとおりです。

業種 年間の休み
1 自動車/輸送機器メーカー 135.2
2 電子/電気部品/半導体メーカー 132.7
3 コンピューター/OA機器メーカー 130.9
4 医療機器メーカー 130.5
4 機械/電気機器メーカー 130.5

1年の3分の1が休みですね。
ちなみに、これは年間の休みのランキングですが、お盆休みや年末年始の休みが多い業種トップ10も、製造業がほぼ独占しています。いずれもトップは自動車/輸送機器メーカーです(お盆休み7.8日、年末年始休み8.0日)

ちなみに、年間の休みが少ない業種トップはコンビニエンスストア。その日数わずか95.8日、1年の4分の3は働いている計算です。お盆休みは1.0日、年末年始休みに至っては何と0.8日と、取れない所のほうが多い結果となっています。

工場の休みが多いのは稼働の都合

工場は稼働効率を考えて、休みをまとめて取ることが多いです。飛び石の休みは稼働効率を落とすので好ましくありません。

そのため工場は、一般的なカレンダー通りの休日ではなく、独自のカレンダーを用意して休みを設定している企業が多いです。具体的にどう休みを設けるかは工場によりますが、共通する特徴としては、以下が挙げられます。

  • 平日は祝日に限らず基本的に稼働日
  • 土日は休み(104日)
  • お盆、年末年始に大型連休を設定します(10日)
  • ゴールデンウィークはある(5日)

つまり工場の年間の休みはだいたい120日となります。また大体の工場は祝日がなく、平日5日仕事・土日2日休みの完全ローテーションです。

休日出勤は本来、法的にNG

工場は休日出勤が多いといわれます。
これは確かにその通りで、他の業種に比べると多いでしょう。たとえば製鉄所は止めるわけにいかないので、24時間365日、休みなく動いています。そのため社員が交代で休みに出勤し、工場を稼働させ続けています。
これは他の工場も同様です。土日休みのところは少なく、基本はシフト制で稼働が止まらないようにしています。

また工場設備の保守は、工場が止まる土日や深夜に行います。そのため保守担当はどうしても土日出勤が増えます。
加えて機械トラブルなどが発生した場合、そのぶんをカバーするために休みを返上しなければならないこともあります。
ほかによくあるのは、生産が計画どおりに進んでいない時に休みを返上して生産を急くケースです。

中には夏を迎える前に土日出勤を入れて、事前に生産数を確保する工場もあります。夏場はどうしても生産効率が下がるので、その前に生産数を稼いでおこうというわけですね。

このような様々な事情から、工場は他の業種より休日出勤が多いです。ただし、そのぶんは振替休日をもらえるので、休みが減ってしまう心配はありません。

なお、工場の休みに関係してくるシフトについては、こちらをご覧ください。

*工場のシフト (2交代制・3交代制) による残業・休日・稼ぎなどの違い

工場のシフト (2交代制・3交代制) による残業・休日・稼ぎなどの違い

休日出勤は法律で禁止されている。ただし例外がある

ところで、社員を休みに働かせるのは、そもそもOKなのでしょうか。

実は労働基準法では、休日出勤は禁止されています。労働基準法では週休制が定められているからです(第35条 第1項)
ただし、やむを得ない事情がある場合や、会社と社員のあいだで36協定が結ばれている場合は例外となります。

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お盆休みや年末年始休みは多いが、自由なタイミングで取れない

工場のお盆休みや年末年始は長いです。工場の稼働効率を優先して普段の祝日が潰れるかわりに、お盆や年末年始の休みを長くするからです。お盆休みは9日、年末年始は10日ほどあるのが一般的です。

ただしお盆休みに関しては、休みが長いというメリットがある一方、自由なタイミングで取れないデメリットがあります。

一般的な企業だと、お盆休みは「7~9月の間に好きなタイミングで連続5連休(土日あわせて9連休)を取得すること」となっているケースが多いです。そのため社員は本来のお盆である8月半ばではなく、好きな時期にお盆休みを取れます。これを利用して観光地などが多少は空いている9月に取得する人も多いですね。

しかし工場は稼働日が決まっているため、お盆休みを自由なタイミングで取れません。お盆休みは8月半ばで固定です。

年間の休みが104日より少ない工場はブラックなので避けること

このように工場は休みが多いですが、中には少ない工場もあります。

労働基準法によれば、休みは毎週少なくとも1日で良いとされています。つまり年間で52日ほど与えていれば法的には問題ありません。

ですが、世の中は基本的に週休2日制で動いています。1年は365日÷7日でだいたい52週ですから、年間で少なくとも104~105日の休みがあるのが一般的です。逆にいえば、104日より少ない工場はブラックな可能性が高いと思っておきましょう。

また、これは土日休みだけ考えた話です。ここに祝日が入ってくるので、実際の休みはもう少し多いのが普通です。
「国民の祝日に関する法律」によって決められている祝日は全部で16日あるので(第2条)、これを合わせると年間の休みはおよそ120日となります。つまり真っ当な工場であれば、休みが120日前後より少ないことはありません。

よく年間の休みが105日を下回ると少ないといわれるのは、週休2日を守った場合の最低限の休日数すら下回っているからです。よって、休日が105日より少ない工場は、まずブラックだと思っていただいてかまいません。

工場のホームページや求人内容などから休みの実態を掴むのは困難ですが、今はクチコミサイトもたくさんあります。特に以下の2つのサイトは信頼できる情報が豊富にあるので(どちらも社員しか書き込めません)、自分の応募企業がないか事前にチェックしておくことをオススメします。

openwork→https://www.vorkers.com/
キャリコネ→https://careerconnection.jp/

顧客のスケジュールによって休みが決まる工場もある

ここまで一般的な工場のスケジュールについてお伝えしてきましたが、中には休みが特殊な形で決まる工場もあります。

たとえば、トヨタ自動車と関わりがある工場です。トヨタ自動車には有名な「トヨタカレンダー」と呼ばれるスケジュールがあり、トヨタ自動車に部品を提供している工場などは、すべてこのトヨタカレンダーと同じスケジュールで動きます。

2019年度のトヨタ自動車および関連会社のカレンダーをご覧いただくと、トヨタ自動車の休みと各社の休みがまったく同じタイミングだと分かります(いずれも年間の休みは122日)

*トヨタ自動車
https://www.toyota.or.jp/wp-content/uploads/2019/02/2019toyotakarenda-.pdf

*豊田自動織機
https://www.toyota-shokki.co.jp/about_us/calendar/#hCalendarB

*トヨタ紡織
https://www.toyota-boshoku.com/jp/company/outline/calendar/

*豊田合成
https://www.toyoda-gosei.co.jp/kigyou/gaiyou/calendar/

*デンソー
https://www.denso.com/jp/ja/about-us/calendar/files/manufacturing_calendar2019.pdf

これもまた工場の稼働効率の都合です。こうした休みのスケジュールは大本の会社との力関係もあって、基本的には崩れません。ちなみに、地元の飲食店などもトヨタカレンダーに合わせて営業日を設定するほど、その影響力は大きいです。

現場で働く人はあまりに気にしなくても良いですが、こういう休みの決まり方もあることは、念のため覚えておくと良いでしょう。

まとめ

工場は休みが少ないという声は少なくありませんが、ほとんどの工場は一般的な企業より休みが多いです。また普段は平日5日+休み2日の完全ローテーションですが、大型連休が取れるので、むしろ嬉しいという人も多いです。

大型連休が欲しい人、所々で休みが欲しい人、好みは人それぞれ。工場で働きたい、働こうと検討している方は、工場の休みの取り方が自分に合っているのかしっかり考えておきましょう。

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