工場エンジニアとは?日本のものづくりに欠かせない仕事を紹介!

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工場のエンジニアは生産性を向上させるためにも必要な仕事であり、製造業においても重要な存在です。工場の業種によって違いはあるものの、基本的に生産現場を円滑に回すための施策や改善を行います。

工場のエンジニアへ転職を考えている人にとって、気になるのがどのような仕事をするのかといえます。そこで工場エンジニアの仕事内容や種類、特徴などを解説していきます。

工場のエンジニアとは

工場のエンジニアとは大きく分けて生産技術の一環となるエンジニア職です。生産技術は工場の生産活動をスムーズにするためにライン設計や管理を行いますが、工場エンジニアも生産現場の円滑化を実現するために新設備の開発や搬送装置の検討、製品加工データの収集など多岐に渡る活動をしています。

基本はデスクワークですが、現場に赴いて困りごとを解決し、生産ラインが止まらないように1秒でも無駄がない生産体制の確立を目指します

工場エンジニアの仕事内容

工場エンジニアは生産活動を向上させるためだけではありません。生産本数が上がればその分だけ不良個数も比例します。廃棄率の多い生産ラインは当然ながら効率が悪いものです。

生産品質を保ちながら効率よい生産体制を確立できるように、現場ではできない角度から切り込まなくてはいけません。たとえば作業者が無駄な動きをしていないか、効率よい設備のレイアウトになっているかなど、作業動線を把握して作業の効率性を向上させる取り組みも考えていきます。

また、工場エンジニアは他部門との連携も図ることが求められます。生産現場は当然ですが、品質保証や製品設計・開発、生産管理など、品質を保ちながら生産体制を確立するためには他部門との協業が必要です。

逆に言えば現場と他部門をつなぐ橋渡し役にもなります。特に同一工場内に所属している生産管理や品質保証とは密な連携を取るほうが円滑に物事も進みやすくなります。

生産技術との違い

工場エンジニアといっても企業によって違いがあるものです。生産技術と同一の考え方をしている工場もあれば、まったく独立した部門として工場エンジニアを擁している企業もあるでしょう。

大まかに工場エンジニアと生産技術の違いは明確化されていません。ただ、生産技術は生産性向上のために活動していますが、その中には設備保全・企画推進・電気関連など、それぞれの得意分野に分かれています。

 

生産技術の主な部署 仕事内容
設備保全 設備の計画的な保全、トラブル対応、部品修理
企画推進 新規プロジェクト立ち上げ、QCサークル推進
電気関連 保安、電気工事、設備の電気トラブル対応
研究開発 新規設備開発、生産ライン体制の確立

たとえば、設備保全なら機械のメンテナンスや突発的なトラブル対応、部品の修理や発注などを担当し、企画推進では新規プロジェクトの立ち上げ、QCサークルの推進、電気関連の部署では保安や電気工事、設備の漏電などのトラブル対応などがあります。

また、研究職として、新規設備の開発や生産ライン体制の確立があり、こちらが工場エンジニアと同じ意味合いを持つ場合が多いでしょう。

工場エンジニアの種類

 

工場エンジニアにはどのような種類があるのでしょうか。エンジニアとは工学のスキルを持った専門家が集まり、機械だけでなく、ITや電気、科学にまで視野を広げた分野を扱っています。

主に「機械設計」「分析」「組み込み・制御」「クラウド・セキュリティ」「AI」に分かれているのでみていきましょう。

機械設計

工場エンジニアにとって機械設計は得意分野といえます。自動車だけでなく、家電やパソコン、スマホなど、機械設計の活躍する分野は多岐に渡るものです。コロナ禍を受けてさまざまな開発が進んでおり、これまでとは違った分野に挑戦する工場エンジニアも増えています。

新設備の導入ではIotを駆使して省人化を検討し、効率よい生産体制を確立させる動きが重要です。

分析分野

工場エンジニアは分析分野にも力を入れています。日本の工場は長らくライン生産が主流でしたが、クライアントからの要望や市場のニーズもあって大量生産大量消費の時代から小ロット多品種・多様化の波が押し寄せているものです。

ラインでつながっている設備をいかに効率よく小ロットでも稼働させるのか検証し、そのために有効なデータを集めないといけません。先述した動線分析は工場の生産性を向上させるためにもしっかりと分析し、設備1台に待機する時間や歩数などを徹底管理します。

組み込み・制御

組み込みや制御系のエンジニアとは、制御システムなどを開発します。工場のDX化にも必要な設備にIotを取り入れたり、電子制御を組み込んで対応します。工場のDX化は今後の課題でもあるので、工場エンジニアの需要は高いといえるでしょう。

クラウド分野

工場で管理するデータも非常に大容量になってくるものです。製造業は日々の進捗で大量のデータが蓄積していきます。サーバーの負荷がかかってしまうので、クラウド技術は工場の規模に関わらず重要な課題となっていくでしょう。

すでに取り組んでいる企業でも、まだまだ工場エンジニアの需要は続いていきます。

AI・セキュリティ分野

工場エンジニアは設備にAIを取り入れた技術革新を進めています。特に自動化にはAIの存在が大きく関わってくるでしょう。外観検査など、人によってばらつきがある項目は傷の大きさや深さを自動で判別できるような技術開発もあります。

また、工場にはOT分野でのセキュリティ対策が重要です。独自の技術が外部に流出しないようなセキュリティ対策を担当する工場エンジニアも重宝されます。

工場エンジニアに向いている人の特徴

工場エンジニアに向いている人の特徴をみていきましょう。

ものづくりの仕組みに興味があって熱心に取り組める

工場エンジニアはものづくりの仕組みについて深く考える仕事です。現場がやりやすいように考え、生産性を上げながら品質も一定のレベルを追及しなければなりません。自分たちで開発したモノが市場で流通し、人々の暮らしに役立っているのはものづくりならではのやりがいです。

もちろん、エンドユーザーだけでなく、BtoBメーカーの工場エンジニアでも同じように自分たちで開発した設備や装置が稼働して、生産性を向上させているのは大きなやりがいを生みます。

工場エンジニアはものづくりに興味がある人には向いており、新しい知識や技術を勉強するような前向きな考え方にも向いているでしょう。一つのことに熱心に研究できる姿勢の持ち主も重宝されます。

また、工場全体の取り組みに関われるのも魅力の一つともいえるでしょう。エンジニアの世界は、常に新しい情報がある分野でもあり、知識を身に付けながら自身の経験を高めていけます。

コミュニケーション能力

工場勤務といえばコミュニケーションが苦手な人の集まりという認識があるものです。実際には現場の生産ラインでも、コミュニケーションを取らずに仕事ができるというものではありません。

工場では縦や横のつながりが効率よい生産体制を確立し、敷いては品質面の不正を無くすためにもコミュニケーションは大事な要素です。

もちろん、コミュニケーションといっても仕事の合間に会話をするようなことではなく、情報の共有やホウレンソウの徹底など、必要最低限の連絡をこまめにするということですので安心しても大丈夫です。

そもそもエンジニア一人では生産性向上などできません。他の協業部門との連携はとても大事なので、そのためにもコミュニケーションに長けている人は工場エンジニアに向いているでしょう。

また、工場エンジニアは外部関係者との取引もすることが多々あります。クライアントだけでなく、工場の関係業者や設備や部品製作の設計担当者などとの打ち合わせもあるのでコミュニケーション能力は必須といえます。

柔軟な思考力

工場エンジニアは一つのことに集中して取り組むことも多いのですが、一方通行の捉え方では物事の本質を見逃してしまう恐れがあります。工場では年代や性別、国籍などさまざまな人が働く場所でもありますし、自分の思いもよらない方法で生産活動に取り組む場合もあるでしょう。

工場エンジニアも物事を多角的に捉えて柔軟な思考力を養う必要があり、生産活動を円滑に行うためにも広い視野を持って仕事に臨む姿勢が大切です。

このやり方ではダメだと一方的に決めつけるのはよくありません。そのためにも現場の聞き取り調査は重要で、多くの作業者が仕事をやりやすいように現状を改善していくのも工場エンジニアの腕の見せ所といえます。

工場エンジニアが活躍できる資格

次に工場エンジニアが活躍できる資格をみていきましょう。

CAD利用技術者試験

設備や部品などの設計にはCADで図面を書くのが基本です。CAD利用技術者試験が2次元」と「3次元」で分かれており、仮想空間で図面を展開する3次元の試験が主流といえます。

工場エンジニアで働く上で、CAD利用技術者試験は必須ではありませんが。どちらかというと独学で身に付けた人も多いでしょうし、実践で経験を積んだ人は工場でも重宝されるものです。

ただ、転職になると資格を持っていた方が説得力に長けていますので、工場エンジニアとして転職する場合には取得しておいて損はないでしょう。

生産技術者マネジメント認定

生産技術者マネジメント認定は生産プロセスを述べる上で欠かせない資格といえます。大手企業の生産技術者も多数取得している資格ですので、工場エンジニアとして認められるには持っておいて損はしません。

これはCPE資格ともいい、高品質を保ちながら低コストで効率よい生産体制を確立するのに必要なマネジメント能力を証明できます。

工場エンジニアになるには

工場エンジニアになるにはどうすればいいのかみていきましょう。

他部門からエンジニアとしての実務経験を重ねる

まずは工場エンジニアとしての実務経験を重ねることです。現在製造や品証など他部門で働いている人でも工場エンジニアになることは可能といえます。とにかく生産性向上のために何をするかというのは、どの部門であっても取り組む課題です。

現状携わっている仕事から実績を積んでいき、マネジメント能力を身に付けていくことで、工場エンジニアに異動しやすくなります。

たとえ他部門の人であっても、やみくもに生産活動に従事するだけではいけません。「どうすれば効率よく生産できるのか」、「人手が足りないときに、どのように回れば生産本数を上げられるのか」、「不良率を削減するには何が足りないのか」など、思考を巡らせて普段の仕事に従事することが、工場エンジニアとしてのスキルを身に付けることにつながります。

生産技術職へ転職する

現在生産技術職に就いている場合、工場エンジニアとして携われないこともあります。そもそも、エンジニアを擁していない工場もありますし、外注している場合があるでしょう。また、人事異動でなかなか希望通りに配属されないケースも考えられます。

そうなると生産技術職を募集している企業へ転職することも視野にいれたほうが無難です。生産技術の実績は工場エンジニアとして優遇されますから、好条件で転職できる可能性も高まります。

工場未経験から目指す

工場未経験者がものづくりのプロである生産技術に転職するのは厳しいかもしれません。まずは現場作業を経験してから異動という手があります。ただ、プログラマーやエンジニアを他企業で経験している場合、工場エンジニアとして生産技術への転職は可能といえます。

すでに人材不足の企業が多いでしょうから、IT分野に強い人材は工場としても重宝するものです。

それでも製造業自体が未経験の人の場合は、転職後に一度現場で実務経験を積んでから配属される可能性が高いでしょう。

また、他の製造業で経験がある人も工場エンジニアとして転職したい場合には、同様の現場から作業を覚えてもらう傾向があります。その企業の生産体制をしっかりと体感しながら、自分ならどのように改善していくのかを考えて取り組めば異動も受け入れやすくなります。

工場エンジニアの魅力とやりがい

工場エンジニアは日本のものづくりに欠かせない仕事といえます。自動車や家電など、海外製の安い製品が世界中で大量生産されています。しかし、まだまだ「メイドインジャパン」は一個のブランドとして確立されており、国内外でも人気になっています。

それだけに日本のものづくりはまだまだ需要がありますので、世界に誇れる仕事は魅力があってやりがいのあるモノといえるでしょう。

また、日本国内では少子高齢化が進んでおり、人材不足の波が押し寄せています。政府は外国人労働者の受け入れに躍起となっていますが、それでも人手が足りない部署というのは多く見られます。

人手が足りない工場で、どのようにすれば効率よく生産性を上げられるのかというテーマは非常に奥深くて取り組みがいがあります。予算の関係があるものの、アイデア一つで工場を立て直すことができる工場エンジニアはやりがいのある仕事といえるでしょう。

工場エンジニアに必要なこと

工場エンジニアに必要な要素は、トレンドに敏感となって学び続ける姿勢です。コロナ禍をみても分かる通り、市場のニーズは常に激変しています。市場が何を欲しているのか、どのような技術が開発されているのか、常にアンテナを張り巡らしてトレンドに敏感とならないといけません。

さらに、IotやAIなど新しい技術が次々と開発されているので、自社工場にも取り入れられるように学び続ける姿勢が大事です。少し前までは時代の主流だったやり方も、いつの間にか古い考え方になってしまいます。考えを固執しないように変化を受け入れるように心がけましょう。

まとめ

工場エンジニアは生産技術の技術開発職として、日本のものづくりに欠かせない仕事です。工場の生産性向上を図るために、現場とは違う角度で物事を見ていく姿勢が大切といえます。

転職するにはエンジニアとしての実務経験や生産技術としての実績も重要で、未経験ならまずは工場勤務に慣れることから始めるものです。

市場のニーズは激変していますので、工場エンジニアで活躍するにはトレンドに敏感となって常に学び続ける姿勢を持ちましょう。

 

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