鋳造の仕事はきつい? 未経験から可能な理由とやりがいや仕事内容を解説!

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製造業に欠かせない鋳造の仕事に興味を持っている人も少なくありません。ただ、工場勤務の人でも鋳造がどのような仕事をしているのか今一つ分からないものです。研削や研磨、組立などの工程からすると、鋳造は前工程になるので仕方ない面もあります。

そこで、鋳造に興味がある人に向けて、種類や仕事内容、やりがいなどを解説していきます。

鋳造の仕事とは

鋳造の仕事とはどのようなものなのかみていきましょう。

鋳造とは

まず鋳造とは、おおまかにいうと型に高温の金属を流し込み、冷やして固める作業を指しています。鋳造で作られた材料は自動車に使われる部品だけでなく、さまざまな分野で使用されており、歴史ある製造工程といえます。

主に鉄を流し込みますが、アルミ合金や銅などの金属も高温で溶解させます。金属は硬いので、このまま切断や加工をしても形状を変形させることはできません。一度高温で溶解させて専用の型に流し込むことで複雑な形状も容易に作ることが可能となります。流し込む方は鋳型といわれ、製造業で作られる部品の多くは鋳造で加工されており、これらを鋳物と呼んでいます。

鋳造の特徴

鋳造は高精度の製品を加工でき、大量生産も可能な点が特徴といえます。アルミニウム合金などは仕上がりも良く耐食性にも優れているので、自動車部品の心臓ともいえるエンジンにも使用されており、日本の製造業には欠かせない加工方法といえるでしょう。

また、後述しますが鋳造にはさまざまな種類もあり、コスト面でのメリットやデメリットもあります。

鋳造の種類

鋳造の種類をみていきましょう。

・砂型鋳造法

砂の鋳型で固める鋳造方法です。砂を使用していることでコスト面が安くおさまり、乾燥した砂を使用する鋳造方法もあります。鋳型を壊してしまうので、大量生産にはあまり向いていません。

・金型鋳造法

代表的な鋳造方法で、金属で作った鋳型を使用します。完成した鋳物の強度も高まり、金属を使ったダイカスト法はよく使用されています。また、圧力を調整して加工する高圧鋳造法や低圧鋳造法、重力鋳造法もあります。

金型鋳造法の特徴として、鋳型が繰り返し使用できることから大量生産にも向いています。その反面、コストが割高になってしまいがちです。

・精密鋳造法

ロウやワックスを液状化にして使用する鋳造方法です。ロウで型を作り、石膏や砂で覆うと加熱時にロウやワックスが排出されて空洞が生まれます。ここに金属を流し込んで鋳造する方法で、飛行機のエンジンにも使用されるほど、幅広く活用されています。

・遠心鋳造法

遠心力を利用して金属を流しこむ鋳造方法です。鋳型の種類によっては金属が綺麗に細部まで流れ込まないことがあります。そこで、鋳型を回して遠心力を利用し、細部にまで金属が流れ込むようになります。

円盤や筒状などの形状にも向いており、きめ細かいデザインの形状の鋳物を作ることが可能です。

・連続鋳造法

製鉄所で利用される鋳造方法で、溶けた鉄が固まる前に一定の鉄片を鋳型の底から引き出して作ります。連続的に流し込めるので大量生産にも向いています。連続鋳造法は急速冷却して半製品として引き出しますが、これは半製品として次の加工をしやすくするためでもあります。

連続鋳造法で加工された製品は良質の鋳物の製造が可能です。連続鋳造法の加工には垂直型、湾曲型、垂直曲げ型、水平型の種類があります。

・シェルモールド鋳造法

鋳型が貝殻の形をしているのがシェルモールド鋳造法です。加熱された金型に鋳型砂を吹き付けていき、硬化されると強固な鋳型を作ることができます。

通気性もよくて金属の膨張にも耐用性があり、精度の高い鋳造方法といえます。大量生産に向いていますが、大きい鋳物を作るのには適していません。

鋳造の作業工程

鋳造は主に5つの作業工程があります。

・造形工程

まず鋳型を作成していきます。鋳造の基礎ともなる部分で、上型と下型を用意し、空洞が必要な鋳物の場合だと中子型を設置する必要があります。

・溶解工程

鋳型に流すための金属を溶かしていきます。使用する金属に対し、ケイ素や炭素を入れて成分調整を行います。

・鋳込工程

金属を実際に鋳型へ流し込む作業です。溶融した金属は温度が下がると固まってしまう性質があるため、鋳物が欠落する不良品が出来上がってしまいます。鋳込工程は流し込む速度や温度、量の管理が非常に重要な工程です。

・後処理工程

完成した鋳物を取り出して、付着しているバリや砂を除去していく作業です。専用の工具を使ってバリ取りしていきますが、ショットブラストを行うことで対応することもできます。ショットブラストは鋳物表面に投射物を吹き付けて凸凹を作り、塗装の密着度を高めることが可能です。

・仕上工程

寸法公差や外観の確認を行い、誤差や欠損の有無などを確認します。問題なければエアブラシを使って塗装を行って完成となります。

鍛造との違い

似たような言葉で鍛造があります。鋳造と同じく製造業の一種となり、間違う人もいるものです。鍛造は金属に圧力をかけて成形する加工方法になります。ハンマーを使う自由鍛造や機械で圧力をかけて加工する型鍛造、常温に近い温度で加工する冷間鍛造などがあります。

鍛造は耐久性に優れた製品に仕上げることが可能で、熱や圧力の変化で加工していきます。

鋳造の仕事がきつい理由

鋳造の仕事はきついといわれていますが、その理由も暑さが最も多いといえます。体力が必要なのも鋳造の特徴ともいえるでしょう。次に鋳造の仕事がきつい理由をみていきます。

とにかく作業環境が暑い

一般的にも暑そうなイメージが付きやすい鋳造ですが、実際の職場環境も暑いものです。1年中通して暑いので冬も暑さが付きまといます。1000℃を超える高温の炉が複数あり、冷房からの直通送風機があったとしても、体感温度は体温を超えてしまうほどです。

しかも、耐火防止のために防護服を着用するので、息苦しさも感じられるので体力が消耗しやすいといえるでしょう。

体調不良になりやすい

暑さでフラフラになることもありますし、常に暑いので熱中症の懸念があります。休憩やシフト自体は考慮されているものですが、実際に外気との温度差が激しいので体がついていかないこともあるでしょう。

夏は外へ出ても暑いままですし、冬は急激な温度変化でより一層体調不良になりやすいものです。体調不良のまま作業に入ると倒れた拍子にケガまで負う可能性があるので危険です。

水分補給も重要ですし、慣れてもきつい仕事といえます。特に体力に不安がある人はきついといえるでしょう。

鋳造の仕事のやりがいや向いている人の特徴

きつい仕事のイメージがある鋳造ですが、やりがいもあれば向いている人もいるものです。

鋳造のやりがい

鋳造はきつい仕事の反面、製造業の要といえる作業です。この鋳物から製造工程が始まるといっても過言ではありません。さまざまな形を作りますし、多くの工場を支えている仕事につながっていますので、非常にやりがいを感じるものでしょう。

鋳造の仕事に向いている人

鋳造の仕事に向いている人をみていきましょう。

慎重さを持って作業できる

鋳造はさまざまな種類の鋳物を製作しています。一つの工芸品から自動車部品のように大量生産しているものまで幅広い加工方法といえます。作業が雑になると鋳型に適切な金属や成分が調合できなくなるので、耐久性もない鋳物に仕上がる恐れがあるものです。

さらに、鋳型の外し方でミスをすると流し込んだ金属もすべて無駄になってしまいます。それだけに鋳造の仕事は慎重さが大事といえます。

集中力に自信がある

鋳造の仕事はただ高温にするだけでは仕上がりません。鋳型の作成作業に加え、温度や冷却時間にも気を配り、調合する材料などさまざまな見極めが重要となっています。

そのため、集中力の必要な作業です。普段から暑い中での作業となるので、集中力が続かないと安全面でも危ない仕事といえます。

慎重さと集中力が必要な作業といえるでしょう。

体力のある人

やはり暑い中での作業になりますから、相当体力を消耗してしまいます。ある程度は体力が必要な仕事といえるでしょう。夜更かしして寝不足気味や深酒でアルコールが抜けないような自己管理ができない人には向いていません。

自己管理がしっかりできて体力のある人は向いているでしょう。

キャリアアップを図りたい

鋳造の仕事では資格を取ってキャリアアップを図れます。もちろん、通常作業には資格が必要ありません。ただ、転職でよい条件を引き出すためや社内で出世するためには国家資格を取得したほうが有利です。

鋳造の資格には「鋳造技能士」という技能検定があります。国家資格ですので自身の鋳造スキルの証明にもなります。資格と取ったからといって仕事のレベルが上がる訳でもありませんが、やはりやりがいにもつながるでしょう。

鋳造は未経験からでも可能

鋳造の仕事は専門性があって難易度が高いと敬遠されがちに思えます。しかしながら、鋳造は未経験からでも携われる仕事です。危険な作業は経験者が望ましいですが、簡単な作業は期間工などが任されています。

近年の工場はいきなり正社員採用というのがあまり見かけません。特に現場作業は期間工として配属され、慣れてくれば社内試験を経て本採用というケースが多々あります。

暑くて大変な仕事ゆえに、ライバルもそれほど多いわけでもなく、競争率は低いのが特徴です。鋳造は簡単な作業もありますので、未経験からでも仕事を募集しています。

人手不足に悩む工場が多い

未経験者を採用するのは工場が人手不足悩んでいる背景もあります。少子高齢化に伴い、年々労働人口が減少していますので、きつい仕事のイメージがある鋳造分野の多くは人手が足りていない現状です。

さらに熟練者の高齢化もあるので、技術継承が進んでいないとい問題もあります。それだけに未経験者を採用して育てようとする工場があるので、求人の需要は高めといえます。

まとめ

鋳造の仕事は暑くてきつい環境といえますが、モノづくりの原点ともいえる仕事内容ですので非常にやりがいもあるものです。

未経験からでも始められる仕事になるので、ここで解説した内容に興味を持ったら一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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