工場転職ガイド 工場勤務の実態、溶接やフォークリフトなどの資格や、ピッキング作業など工場勤務全体を紹介
工場では環境問題に取り組んでいるものです。世界中で地球温暖化が懸念されており、日本でもカーボンニュートラル（温室効果ガスの排出量ゼロ）への取り組みが見受けられています。とはいえ、一人の作業者ができることは限られており、自分で何ができるのかしっかりと見極めて貢献する姿勢が大事です。
そこで、工場で課題となっている環境問題の把握と現場できる対策を紹介していきます。
まずは製造業や工場で課題となっている環境問題からしっかりみていきましょう。企業が環境面でどのような取り組みをしないといけないか、ここからおさらいしていきます。
ニュースでもよく見かけるのが大気汚染問題です。工場では使用する燃料や減量によって有害物質や粒子状物質を放出させており、これらには二酸化炭素や窒素酸化物などが含まれています。
この有害物質が大気中広がっていき、対流圏に熱が溜まることで地表の気温も上昇してしまいます。これは地球温暖化の要因にもつながることが考えられます。
工場ではかなりの水を使用しています。これらの排水は製造や洗浄の工程を経てかなり汚染物質を含んでいることになります。多くの工場では独自の水門を場内に設けており。外部へ流出しないように二重三重の網を用意しているものです。
しかし、この汚染水が河川や湖沼、海洋に広がることで、自然環境や周辺住民の生活環境を脅かす存在になってしまいます。
工場で生産された後に発生する廃棄物が適切に処理されておらず、土壌に蓄積されてしまうと、地下水を通じで汚染区域が広がってしまいます。有害物質は地表から浸透して土壌に溜まってしまいます。農作物にも影響を及ぼす危険があるでしょう。
工場は大きな機械が稼働するので、周辺住民からするとかなりの騒音に感じてしまいます。中で働いている人は普段から慣れていることもあれば、耳栓をして作業していることもあるので苦にならないかもしれません。
しかし、昼間はまだしも夜間も稼働する工場の騒音は、普通に生活する人にとって睡眠障害を引き起こす可能性があります。また、ストレスをため込んでしまうので、健康面にも悪影響となりやすいものです。
これらの工場全体の環境問題は、企業側がしっかり取り組んでいるものなので、工場内の環境管理課などに問い合わせると対策を教えてもらえます。
工場全体の話だとなかなか各自で取り組むのが難しいですが、現場でできる環境対策は結構ありますので、順にみていきましょう。
一番イメージしやすいのがゴミの分別です。各家庭やコンビニなど、普段から意識して取り組んでいるものといえます。工場でも可燃物や不燃物、プラスチックやビニール、ダンボールなどを分けている職場があるはずです。
普段の生産活動ではゴミが出ないようで、紙やビニールなどは多く使用するものでしょう。リサイクルすることで廃棄物を抑えることが可能となります。ただ、紙やビニールなどは現場で使用していると油が付着することもありえます。
リサイクルできない場合があるので、事前に上長へ確認するようにしましょう。
照明は気を付けないといけないポイントです。人感センサーのように、自動的に切り替えが存在している場合は対策済みですが、これはさすがに個人で取り付けることができません。
トイレや更衣室、休憩所など、人感センサーが付いていなければ意識して消すようにする姿勢が大切です。
また、生産設備にもライトが付いている場合があります。休憩時や稼働停止時にはオフにしておくようにします。明るさを落とすことも考えられますが、外観検査をするような場所では逆に暗くすると不具合品を見逃してしまいます。必要な場所は削らずに明るさを保つようにしておきましょう。
照明は暗くなると交換のようで、工場内のミストで汚れているだけの場合があります。定期的に清掃時間を作っておき、照明部分の拭き掃除をするようにすると明るさが長持ちします。
通路などの証明を外して省エネをしようとする職場もあるかもしれません。確かに効果的ですが、明かりが届かなくなることで、夜間などに通行するとき、危険ではないかしっかりと検証するようにしてください。
空調関連も省エネにつながります。まずは設定温度の見直しです。近年はコロナ対策で事務所でも扉を定期的に開放しているでしょうから、室内温度が一定になりにくいこともあるので注意してください。
現場では工場内の温度を一定にするのはほぼ不可能といえます。空調の数が限られており、柱や各設備の高さ、向きなどで風が感じられない場合もあります。動く人によって体感温度も異なりますので、夏場は熱中症にならないように気を付けて温度管理しましょう。
冬場も外気に近いエリアだと夜間は寒さが増してきます。エリアごとの空調を変更するようにしておき、体調面に影響が出ない範囲で風量や温度を個別で設定するようにしましょう。
窓際のエリアでは夏は暑さが厳しくなってしまいます。日射量を遮蔽するような対策が必要です。仮対策ですが、窓を覆うシートなどを用意しておくようにしましょう。実際に恒久対策は工場側に依頼するようにしておきます。また、冬は場内にある使用しないダンボールやシートなどで窓を覆っておき、熱を逃がさずに場内を温めるのも効果的です。
工場のエアコン室外機は普段人が立ち入らない場所にあることが多いですが、場内の不要物を置くのに立て掛けている場合は撤去するようにしましょう。
クーラントの量も見直しが必要です。古い設備などではバランスが崩れるのを嫌がって砥石を回転させながらクーラントも出した状態で引き継ぐこともあります。止まっている時間は稼働停止にするのが理想的ですので、砥石バランスが崩れないならクーラントは止めておくようにしましょう。
また、チラーを使って冷却水の温度を一定に保つようにしている場合、必要以上に下げずにある程度は外気温に近づけるように工夫してみましょう。研削などは冷え代などで製品精度に影響を及ぼしますので注意してください。
さらに、クーラントそのものを見直したい場合、大掛かりな工事となります。既存のクーラントを排出して配管の詰まりも調べないといけません。品質面で影響がないのかテストもしないとなりませんので、部署単位ではなかなか工場も動いてくれません。
ただ、吸い込むと体の調子が悪い、機械が汚れやすい、製品がべたつく、油じみがつくなどが起きれば会社も動いてくれますので、上司や安全担当、環境担当を巻き込んでまずは打ち上げてみましょう。
工場や倉庫では冷蔵・冷凍庫の温度管理をしている場合があります。工場全体が冷蔵庫の温度設定ならまだしも、区切ったエリアだけが冷蔵・冷凍庫の場合、温度管理は現場に任されています。
品質に影響がない場合は温度設定を見直すようにし、品質保証にも連絡して確認するようにします。また、外気温に影響を受けやすい場合は、季節ごとに時間帯別の温度設定をするようにしましょう。
工場ではデスクワークを担当する部署があります。生産管理や生産技術などもそうですが、現場事務所で作業する人もいるでしょう。
ここでできることはOA機器の電源オフです。帰宅時は必ずコンセントから抜いておくようにします。パソコンも普段はスリープ状態を使っておき、休憩時は照明をオフにするなど、年間換算で省エネ効果がでるようにします。
プリント用紙も裏紙を使用して、無駄がないように心がけましょう。
設備関連では生産が停止している時間は、できるだけ電源をオフにするように徹底します。精密品を加工している場合、なかなか電源を落とせない場合がありますので、まずは落としても影響がない設備から始めましょう。
メンテナンスを定期的に実施しておき、油の補充や交換、クーラントの漏れ、エアー漏れなどを調査して対策していきます。特にエアー漏れは通常の騒音で気付かないことが多いので、メンテナンス時に点検するようにしておきましょう。
モーターなど負荷がかかり過ぎないように、エネルギーを抑えられるところはしっかりと見直すようにしていくと、省エネに加えて節電（原低効果）にもつながります。
工場の環境面で対策していくには、従業員の意識を変えることが大切です。ゴミの分別も「やらされている感」では風化してしまいますので、自ら進んで率先する気持ちが重要といえます。そのためにも従業員の意識を変える取り組みが必要となります。
半年から1年単位で目標を立てることが多いですが、工場の目標として環境に配慮した工場作りを挙げておき、従業員も各自の目標に取り入れやすいようにしておきます。
工場のIot化で稼働エネルギーが見える化できれば、どれだけ省エネできているかが部署ごとに分かりやすくなります。
例年との比較ができれば目標にも落とし込みやすいので、従業員も意識して取り組めるようになっていきます。
環境に配慮した工場といえば、省エネにしていくことです。工場で省エネを実現するには5Sができていることが前提といえます。
5Sは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の頭文字を取っており、工場の改善活動には必ず付いて回る言葉です。
・整理…必要なモノと不要なモノを分ける
・整頓…不要なモノは捨てて、必要なモノを取り出しやすいようにする
・清掃…綺麗に掃除する
・清潔…上記の3Sを維持する
・しつけ…４Sを習慣付けする
これら5Sが不十分になると、普段と違うことに気付くのが遅くなってしまい、どれがゴミで不要なのかもわからず、ずっと放置されたままになります。身の回りのことができてないのに、電源のオン・オフやエアー漏れを探すなんてできるわけがありません。
5Sからとすると大変という人は、まずは3Sから始めるようにしましょう。不要なモノを捨てることから始めると掃除もしやすくなっていきます。
環境問題は世界中でニーズのある話題です。SDGsでもあるように、企業や個人でも取り組めることなので、環境対策を始めることは社会貢献にもつながります。
ただ単に作業をしているだけでは実感が湧きませんが、現場でできる環境対策について、どのような効果があり、逆に何も取り組まないと起きてしまう問題を勉強することで、従業員一人ずつが意識を高めていくことにつながります。
QCサークルで取り組んでも良さそうですし、個人の目標でもいいですし、まずはできる範囲で行動してみるようにしてみましょう。
製造業や工場では環境問題（大気汚染・水質汚染・土壌汚染問題・騒音問題）が大きな課題となっています。工場の現場でできることは何があるのか、ここで紹介した対策を参考に、まずは自分たちできる範囲でスタートしてみましょう。
環境対策は社会貢献にもつながりますので、個人から始まって班員から職場全体に取り組めるように周囲を巻き込んで活動していきましょう。
