運搬の仕事とは
運搬の仕事とは、荷物を所定の場所まで運ぶことを指します。運搬方法として、人が手作業で運ぶこともあれば、台車などのツールを使って運搬することもあります。また、フォークリフトを用いて重い荷物を運ぶのも運搬です。
運搬の仕事には工場内と工場外での仕事内容があるのでみていきましょう。
工場内での仕事内容
工場内で運搬作業をする場合、まずは搬入作業があります。トラックから材料を運び出し、ハンディで伝票からQRコードを読み取って受け入れし、所定のロケーション管理がなされた場所へ運ばなければなりません。
トラックから運ぶのは主にフォークリフトが担当し、工場内へ運び込んだら、次はウォーキーリフトなど、動きやすいツールで倉庫管理システムなどに納入されていきます。基本的にロケーション管理をするものですが、すぐに材料を現場が活用する場合には直接場内へと運びこまれます。中にはベルトコンベアなどの搬送装置に直接荷物を置いて運ぶこともあるでしょう。
また、現場の中で次の工程へ運ぶのも運搬になります。工程が完了した製品を台車やパレットで次の工程へ運び、完成品となるまで続けていきます。検査や洗浄が完了した製品はラベルが付いてロケーション管理され、出荷用ラックへと運び込まれます。
そして出荷用ラックから取り出した製品をトラックへ運搬して搬送先へと納入されていくのが一連の流れです。
工場外での仕事内容
運搬作業は工場外でも頻繁に行われています。一般の人は工場内に立ち入ることができませんので、運搬といえば宅配便やコンビニなどへの搬入作業、引っ越し作業がイメージしやすいでしょう。
宅配便は一軒ずつ手作業で荷物を運んでいきます。コンビニの搬入作業は台車に乗せて店内へと運び込まれます。引っ越し作業になると、トラックの荷台へと荷物を運び、搬送先で荷下ろしをして屋内へ運び込まれていきます。これら一連の作業が運搬となるのです。
運搬の仕事は工場内で必要
運搬の仕事は工場内でとても重要な作業といえます。運搬作業がないと現場の仕事がはかどりません。しかも。ただ運ぶだけでなく、所定の位置に正しく置かなくてはありません。
工場では3定というルールが存在しています。この3定は「定位」「定品」「定量」の3つからなり、定められて位置に(どこに)・定められた品を(なにを)・定められた量だけ(いくつ)置くことです。運搬する仕事はこの3定をしっかり守ることで、現場も材料を探す必要がなくなり、スムーズな生産活動に入ることができます。
工場で使用する主な運搬用ツール
工場で使用する運搬用のツールとして以下があります。
・台車
多くの工場では運搬台車が利用されています。台車には大小さまざまなタイプがあり、上下の2段に荷物を置けるタイプや、油圧を利用して脚踏みレバーで昇降するタイプの台車も活躍するものです。製品専用の台車もあれば、部品や治工具などを運搬する台車もあり、部署によって使い分けしているものです。
・パレット
荷物を乗せて運ぶもので、平らなものが一般的です。木製や樹脂などタイプが分かれており、2方向や4方向からリフトの爪が入るようになっています。また、パレットは運搬以外にも荷物の直置きを防ぐ役割もあります。
・フォークリフト
フォークリフトは鉄コンテナなど大きくて重量があるタイプに使用され、工場や物流に欠かせない存在です。積み重ねて運べる利点もあり、最大荷重はフォークリフトの種類にもよりますが、おおむね20tまで問題なく運搬できるタイプが活躍しています。
最大荷重1tを超えるフォークリフトを操縦するには、「フォークリフト運転技能講習」の資格が必要です。
・電動ウォーキーリフト
歩行しながら運搬するタイプのフォークリフトになります。まとめて運ぶのではなく、1つずつのパレットやコンテナを運びたい場合に重宝されます。特に場内の運搬に使われており、一般の作業者でも扱えるので、フォークリフトで運ぶほどではない荷物を運搬するのに役立つものです。
・ハンドリフト
小回りが利きやすく、主にパレットを運搬するのに使用します。昇降できませんが、ハンドルを引くことで先端の爪が上がり、パレットを持ち運ぶことが可能です。
・コンベア
工場では搬送にベルトコンベアを用いているものです。自動化の一歩となりますが、設備から排出された製品を次の工程に送るためにコンベアで搬送します。いわゆるライン化で設備同士を搬送装置でつなげます。
コンベアに自動で製品が並ぶ場合もあれば、手作業でコンベアに製品を並べる作業もあるでしょう。
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運搬の仕事に向いている人
運搬の仕事に向いている人の特徴をみていきましょう。
運転が好きな人
運転が好きな人は運搬にも向いています。むしろ、運転が苦手な人はフォークリフトやウォーキーリフトの操作に時間がかかり過ぎてしまうので、生産性も落ちますし、何より危険が伴います。
運転が好きな人はフォークリフトを長時間操作しても飽きがこず、日常点検も苦にならないでしょう。
丁寧な作業ができる人
意外に思われるかもしれませんが、フォークリフト作業など、運搬の仕事は非常に丁寧な作業が求められます。雑に荷物を積み上げてしまうと、荷重のバランスが崩れてしまい、荷物が落下して大変危険です。
労働災害になる可能性も十分ありますし、荷物に傷が入ってしまうと損害賠償の対象になってしまいます。中には落下しても問題ない製品もあるでしょうが、信頼関係にも関わるので、十分なほど丁寧な作業が求められるでしょう。
集中力がある人
運搬作業は単純作業の繰り返しでもあります。ただ、運搬作業は製造ラインに入るよりかは自分のペースで作業できるので、コツコツと同じ作業を繰り返しても問題ないような集中力のある人は向いています。
また、集中力はミスの低下につながります。運搬作業で置き場所を間違えることは異品混入につながり、置く量を間違えてしまうと現場が材料待ちで設備停止になってしまうでしょう。
協調性がある人
運搬の仕事は周囲との連携も大切です。現場との密なコミュニケーションは必須ですし、工程や入材を管轄する生産管理との連携も大事といえます。工場はあくまでも現場主導ですので、自分のペースだけで仕事を消化するのではなく、現場に合わせた協調性も必要でしょう。
工場内の運搬作業のメリット・デメリット
工場内での運搬作業におけるメリットやデメリットをみていきましょう。
運搬作業のメリット
メリットとしてあるのが長く安定して働ける点です。工場への搬送作業は基本的にトラックがメインとなり、ここからの積み下ろしや積み上げ作業というのはなかなか自動化ともいきません。場内での作業においてもDXによる自動化が進んでいる工場もありますが、まだまだ人が運搬するのがメインとなっているからです。
また、工場での運搬作業は女性も活躍しやすい職場でもあります。力のいる仕事もありますが、基本的に機械を扱って作業することがほとんどですので、重い荷物を持たず丁寧な作業を求められるので女性が活躍しやすい仕事といえるでしょう。
運搬作業のデメリット
工場で扱う製品によっては力仕事もあります。通常の運搬ではリフトを活用するので重さをあまり感じませんが、棚や台車へ荷物を乗せる場合には、荷物の重さが直に響きます。あまりに重い場合には2人作業となりますが、パレットから荷物を持ち上げる場合など、腰に負担がかかることがあるものです。腰痛持ちの人には少し厳しい作業に感じるでしょう。
運搬の仕事で注意するポイント
運搬の仕事で注意するポイントをみていきましょう。
事故を起こさないよう慎重さが必要
運搬作業は事故を起こしやすいものです。フォークリフトは年間の事故件数が2,000件前後を推移しており、運搬作業には慎重さが求められています。また、運搬作業には台車やパレットを運ぶことがあります。これらが設備や他の台車などに干渉して積み荷が崩れてしまうこともあるでしょう。
台車ではロックを忘れてしまい、何かの拍子に台車が動いて手が挟まれるなども考えられます。KYT(危険予知トレーニング)ではさまざまな事故を想定しなければなりません。労働災害を防ぐためにも慎重な作業を心がけておきましょう。
重量物は無理しない
重量物を運搬する際、台車や棚へ積み替えることがどうしても出てしまいます。普段から体を鍛えている人もいれば、体格の小さい人もいるでしょう。荷物の上げ下げで特に高い位置に上げる必要がある場合、踏み台などを利用しておきましょう。
荷物を落とすだけならまだしも、反動で自分のバランスが崩れてしまったら、足を滑らせて転倒する恐れがあります。頭を打つようなことがあれば危険ですし、手を付いてしまえば骨折する可能性が高まります。
重量物を扱う場合には決して無理をしないようい心がけておきましょう。2人や3人など複数人数で作業するのも視野に入れた方が無難です。
共同作業では声を掛け合う
運搬作業では2人以上で共同作業をすることもあります。定常作業の場合だと、普段から声を掛け合う習慣が身に付いているものです。ただ、突発な出来事が発生することもあるでしょう。
たとえば夜勤でリフトが故障してしまい、復旧まで時間がかかりそうで、どうしても高い位置に製品を乗せないといけない場合、3人ほどで持ち上げて乗せると仮定します。力の入れ具合や身長差でバランスが崩れてしまうことがあります。
普段から声の掛け合いに慣れているといいのですが、突発的な場合だと上手くいかずに危険が高まり事故を起こしやすくなりがちです。
普段から安全に対する意識を持ち、共同作業の際には声を掛け合うことを徹底するようにしましょう。
運搬の仕事で活かせる資格
運搬の仕事で活かせる資格は、やはりフォークリフトの国家資格でしょう。免許を取得しやすく、どこでも活躍することが可能です。フォークリフトは運転技能講習と特別教育に分かれていますので、それぞれの違いをみていきましょう。
フォークリフト運転技能講習
フォークリフトにはさまざまな種類がありますが、最大荷重1t以上となる全てのフォークリフトの操縦には「フォークリフト運転技能講習」を受講して修了する必要があります。この資格は国家資格ですので、全国どこでも作業することができます。
万が一この資格を有していない人がフォークリフトを運転した場合、労働安全衛生法によって懲役か罰金という重い罰則があるので注意が必要です。
各都道府県の労働局長に登録された教習所などで資格を取得でき、学科と実技の試験があります。所持している資格によって受講期間が異なりますが、基本的に難しいものではありませんので、人気の国家資格といえるでしょう。
フォークリフト運転特別教育
フォークリフトの中でも最大荷重1t未満のタイプも多数存在しています。そのようなフォークリフトは「フォークリフト運転特別教育」を受講して修了すると作業に従事可能です。各事業所で取得することができますが、多くは入社してから奨励で取得する事業所も見られます。
公道の走行は別の資格が必要
フォークリフトは工場内外を走行していますが、基本的に荷物を運搬している荷役作業となります。大きな工場の敷地内には信号や歩道、停止線、最高速度の標識を独自で設けているものです。工場の敷地内での走行には問題ないのですが、フォークリフトの資格だけでは公道を走行することができません。
これは管轄が違うからです。フォークリフトの荷役作業は厚労省の管轄となりますが、公道を走行する場合は国交省に管轄が変わります。荷役作業は労働安全衛生法になり、公道は道路交通法が適用されるからです。
そこで必要な資格が特殊自動車の運転免許となります。この場合、フォークリフトにもナンバープレートが必須ですが、荷物を運搬することはできません。
フォークリフトは定年後の需要も見込める
少子高齢化に伴い、労働人口が減少しています。フォークリフトは安定性のある仕事ですので、定年後も継続して運搬作業に従事できます。工場側も立ち仕事で交替勤務がメインとなり、体力がある程度必要な現場には若い作業者を置きたくなるもので、運搬などの補助作業は慎重に作業するベテランを配置したくなるものです。
仕事の需要が見込めるので、フォークリフトの資格を有していると、定年後も手に職をつけられるでしょう。また、フォークリフトの作業は工場だけではありません。建設・港湾・物流倉庫など、幅広く全国各地で活躍していますので、フォークリフトの資格を持つのはおすすめといえます。
まとめ
運搬の仕事は荷物を所定の位置まで運ぶことです。工場では搬入から出荷までさまざまなところで運搬作業が行われています。設備への製品投入・排出も運搬作業が必要であり、次の工程へ運ぶことで生産活動が成り立っています。
運搬の仕事は主にフォークリフトがメインとなりますが、危険が付き物ですので、事故防止のためにも集中力があって丁寧な作業ができる人が向いているでしょう。
フォークリフトの資格は今後も重宝されますので、ぜひとも運転技能講習を取得できるようにしてください。