工場転職ガイド 工場勤務の実態、溶接やフォークリフトなどの資格や、ピッキング作業など工場勤務全体を紹介
モノづくりの工場ではさまざまな立場の人たちが製品の完成に携わり、それぞれの視点で製品が加工されています。直接生産ラインに入っていない人たちは現場の困りごとを解決するべく、生産性向上に向けて日々取り組んでいます。中でもモノづくりの中心的存在といえる製造技術者の職に興味を持っている人も少なくないでしょう。ここでは製造技術者の仕事内容、やりがいや向いている人の特徴などを紹介していきます。
製造技術者とは、各工場によって呼ばれ方や仕事内容は違うものの、現場に入らず工場で使われる製品の技術開発や設計などを担当します。似たような技術職に生技といわれる生産技術がありますが、製造技術者はその一員として活動しているケースや独立した工場を持っていることもあります。
技術職自体を生産技術として扱っている工場も多くあります。生産技術は生産性向上のために、生産ラインの効率化や設備サイクルタイムの改善、時には機械トラブルの対応なども担当し、製造現場が円滑に回るために必要な仕事です。
この生産技術の一員として、製造技術者を配置している工場もあります。その場合は技術課など分けているものですが、生産技術の他の部署との連携も取りやすくなり、生産性向上に向けてチームを組んで取り組めます。
その反面、製造技術者本来の業務である技術開発や研究プロセスに携わる時間が取れず、現場からのトラブル対応に回されてしまうこともあって、なかなか効率化を図れない場合もあるでしょう。
製造技術者を独立している工場では研究職として生産技術と分けて配置していることもあります。単に製造技術者研究所など一つの工場をそのまま研究職として割り当てているのは珍しくありません。
また、営業部隊などがある本社の一角に構えて、生産工場とは完全に分離している企業も見られます。これらの場合では研究職として製造技術者の仕事に専念できる反面、現場の製造工程を直接把握できず、現場で実践したいことがあっても出張という名目になるので、現場との軋轢も生じてなかなか思うように効率化を図れないケースがあります。
生産技術と同じ仕事をする工場もありますが、製造技術者の主な仕事内容をみていきましょう。
製造技術者は実際に現場へ入って機械を動かしてラインを回すわけではありません。もちろん、現場の流れや仕組みを把握するために研修の一貫として一定期間派遣される場合もあります。
基本的に現場から出されるデータをもとに稼働率や不良率を計算し、よりよい稼働体制が敷けるよう生産性向上に向けた課題を模索し、効率化が図れる部分を分析していきます。
たとえばある生産ラインで負荷がかかっている設備があると、いかにして効率化が図れるのか検証し、製造現場に対して稼働率低下解消の指示を出します。
また、一つの生産ラインで解決した事例を横広げし、他の設備にも同様の課題がないか調査していきます。
生産技術はどちらかというと製造の生産性、いわゆる売り上げを上げる取り組みを率先していく傾向があるものです。それに対して製造技術者は製品の品質を意識して不良コストも削減する方針を打ち出します。
現場では品質面の維持向上も大切な仕事ですが、正直なところ、現場の作業者だけで品質面を対策するのは限界があり、製造技術者のサポートが必須です。
製造技術者は新しい設備の開発も担うことがあります。生産ラインの立ち上げには生産技術が行うケースもありますが、NCプログラムの組み込み、既存の設備への新型搬送装置など、さまざまなデータの分析結果から対策を講じます。
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製造技術者はモノづくりの担い手として工場には欠かせない存在です。さまざまな製造職場と関わり、時には現場と協業で新しい生産体制を確立していきます。生産技術の一貫として携わることも多いものですが、実際にどちらも生産現場を支えることには変わりません。工場の存続に大きな貢献をしているのはやりがいの面でもモチベーションが上がりやすいでしょう。
また、工場で生産されている製品や開発した商品が実際の社会で役に立っていることを実感できるので、製造技術者は非常にやりがいのある仕事といえます。すぐに結果が見えるわけではありませんが、試行錯誤の末に現場からも感謝される仕事ができれば、この仕事をやって良かったと思える職種でしょう。
製造技術者に向いている人をみていきましょう。
製造現場では作業指示書と呼ばれる作業図面があります。この図面を基に製品を完成、もしくは工程を仕上げていきます。この図面はCADが必須ですが、その前に製品自体が完成した場合にどのような役割を果たすのか、どの程度負荷をかけられるのか、どのくらい摩耗するのか、荷重や温度など使用される場所も含めながらあらゆる想定をしなければなりません。
その図面を製造技術者が作成する工場もあります。そのため、設計が好きな人にはあらゆる場面を想定して考えるので製造技術者が向いているでしょう。
また、CAD以外にもNCなどプログラムが好きな人も向いています。機械のカイゼンした動作を自分で組み立てるのは苦労も多いですがやりがいもある仕事です。
研究職の色も必要な製造技術者は一つずつ理論を組み立てていくので、コツコツ作業が得意な人にも向いています。自分やチームで考えた理論や分析結果を基に新しく生産性向上のために新技術を作り上げていきます。
一度組み立てて完成したものであっても、いざ現場ではまったく通用しないことも珍しくなく、何度も検証して試行錯誤の末に高い完成度に近づけなければなりません。そのためには我慢強さも必要で忍耐力のある人も向いているでしょう。
コツコツ作業が得意な人ということであっても、製造技術者はコミュニケーションスキル
が必要になります。それはいくら技術系の仕事とはいえ、寡黙な人では現場と協業できないからです。また、現場の意見を聞くことが何よりも大切ですので、コミュニケーションが不得手だと困りごとを解決するのも難しいといえるでしょう。
さらに、製造技術者や生産技術のメンバーは工場の要職と対等の立場で話ができないといけません。たとえば、改善のために大掛かりな工事が必要な場合、予算取りや工期は当然のこと、「今の現場にどれだけ必要なのか」ということを理路整然と説明する必要があります。
それだけに製造技術者はコミュニケーションが得意な人も向いているといえます。
生産技術と製造技術者の区分が付きにくい工場も多くあります。製造技術者として就職しても、仕事内容は他の企業だと生産技術と遜色ないケースは十分ありえます。他の企業の工場と取引がある場合、製造技術者として赴いても、先方は生産技術のスタッフが対応することも珍しくなく、他の企業間では明確になっていないものです。
製造技術者になるには、生産技術から異動するのが理想ともいえます。生産技術と同じ仕事をさせられる工場もありますが、より専門的な技術系の仕事がしたい場合は生産技術から異動願いを出すのがベストです。
現場の作業者の場合、スキルアップのために製造技術者の仕事を覚えたいという人も異動しやすいといえます。現場の作業者ほど生産性向上に何が足りないのかよく分かっているものなので、製造技術者の仕事内容を理解しやすいといえるでしょう。
他の職種からでも機械いじりが好きで分解までしてしまうような人や工場勤務でプログラムを勉強したい人など、製造技術者への転職は可能です。
他の工場（企業）へと転職を考えている場合、転職エージェントや転職サイトを活用するのがおすすめです。生産技術の一員になるのか、製造技術者専用の職種があるのか、その企業に入ってみないと分かりづらい面があります。
製造技術者は生産技術の一員となって従事している工場も多く見られます。製造技術者は生産性向上に向けて現場からのデータを基に検証・分析し、稼働率や不良率の改善、新設備の開発など製造現場を支えるモノづくりには欠かせない仕事です。
