工場転職ガイド 工場勤務の実態、溶接やフォークリフトなどの資格やピッキング作業など工場勤務全体を紹介
工場の生産現場で働く人にとって、冬場の寒さは一番の敵といえます。工場は空間が広いために空調管理が難しく、過酷な労働環境になる傾向もみられます。労働環境を改善し、従業員の健康を守りながら生産性を維持するためにも、企業と従業員双方の寒さ対策は欠かせません。ここでは、工場の寒さ対策、対処法と気をつけることについて解説していきます。
工場で仕事している多くの作業者が冬場の寒さに頭を悩ませているのではないでしょうか。工場はなぜ寒いのか原因を3つに分けて説明していきます。
工場は施設面積が広く建物そのものが1つの広い空間のため、暖房効率が悪くて隅々まで暖めることが難しくなります。現場の製造ラインでは大型の機械があるため、暖かい風も遮られることは珍しくありません。
また、大きな機械や大量の資材・製品などを置くスペースを確保するために、天井が高く仕切りもほとんどないため、暖房器具を設置したとしても暖かい空気は上の方に集まりやすく作業スペースには冷気がたまってしまいます。
工場で製造・保管する製品によっては、「冷凍」や「冷蔵」など温度設定の必要があり、現場の従業員はその温度に合わせて仕事をします。例えば食品工場は、室温を一定以下に保つ必要があるため、寒いからといって従業員の判断で設定温度を上げることはできません。
また、使用している機械に推奨温度が定められている場合は、安全に正常な運転をするために機械に適した温度設定がなされます。このように製品や機械を優先する温度設定が、従業員にとって寒くて過ごしにくい現場の一因になっています。
一般的に工場内の床は耐久性のあるコンクリート製で作られており、外気温に関わらず足元から冷えを感じやすいです。熱伝導と蓄熱性の良いコンクリート床は、外からの冷気が伝わりやすく、暖かくなるまでに長い時間を要します。そのため、従業員の体感温度は低いままになり、寒くてつらいと感じてしまいます。
一般的に多くの工場は、従業員の快適性を保つために何かしらの防寒対策を講じています。ただ、どれだけ優れた空調を用意しても、作業の一貫で外気のある扉を解放しなければならないエリアも存在しています。
例えば入荷場や出荷場は配送トラックとの連携で防火扉を開けて作業をしなければなりません。扉とシャッターの2重構造になっていても、毎回開け閉めを繰り返しては作業性が悪くなります。扉を開け放しにすると、常に冷気が入ってしまいます。特にフォークリフトを作業している人は見通しを良くするためにシャッターを常時開け続けていることも珍しくありません。この冷気は現場へと流れていくので入荷場や出荷場が近い作業場の人ほど寒気を感じやすくなるでしょう。
直置きや壁・天井に取り付けたエアコンでは、暖まる範囲が限られる上、場所によっては常に寒いまま作業することになります。工場のような広い空間を、一定温度で効率的に暖めるのはかなり難しいといえます。
業務用の暖房器具も販売されていますが、家庭用に比べて高出力なため価格が高く、限られた予算の中で大量に設置するのは現実的ではないのです。
工場で働く作業者が寒いと感じる状況が続くと、どのような悪影響があるでしょうか。工場での寒さが及ぼす従業員への主な悪影響は次の3つです。
工場で寒さが及ぼす影響として「従業員の健康管理」は無視できません。寒い環境下で長時間働いていると、体温が低下し体力が奪われると風邪を引きやすくなり、慢性的な肩こりやむくみ、腰痛なども引き起こします。全身の毛細血管が収縮すると血圧上昇にもつながり、他の病気になってしまうリスクも高まります。
病欠が増えると生産状況にも影響を及ぼしてしまいがちです。結果的に工場の規模が落ちてしまうことになります。
極端な寒さによる冷えは、人の注意力や判断力を鈍らせます。仕事中に注意力が散漫になると、重大な事故を起こす恐れがあります。手がかじかんで機械の操作でミスが起きたり、頭の回転も鈍くなり大きなケガや事故につながったりする可能性が大いにあるのです。
また、注意力不足は品質面にも影響を及ぼします。ちょっとしたミスに気付かず、後工程に流出して重大クレームを引き起こす可能性も否定できません。
工場での寒さは労災や品質クレームの要因にもなりえます。
工場での寒さが続くと、仕事へのモチベーション低下をもたらします。環境には慣れが生じるとはいえ、暖かい自宅から仕事場に向かうのが億劫となり、仕事への意欲もわいてきません。
モチベーションの低下はそのまま生産状況にもつながります。モチベーションが低下すると、上記で挙げた「体調不良」や「集中力の散漫」も引き起こすので注意が必要です。
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従業員の健康を守り作業効率を下げないために、工場（企業）と従業員（個人）双方が寒さ対策をして労働環境を整えていく必要があります。ここでは、具体的な寒さ対策をご紹介します。
工場側ができる寒さ対策として次の3つが挙げられます。
・ビニールカーテンの設置
ビニールカーテンで広い空間に間仕切りを設け、暖かい空気を確保しながら冷気の侵入を防ぎます。取り付けや取り外しも比較的簡単で、工事も不要なのでコストも抑えられます。
・大型ストーブの設置
大型ストーブは即効性が高く低コストで、移動も楽なためすぐに導入が可能です。
機能や種類も豊富で、遠赤外線仕様のものや、温風を送り出せるもの、移動が簡単なものなど、現場に合った機種を選べます。
・施設に断熱対策をほどこす
屋根や外壁に遮熱材・断熱材を重ね張りしたり、コンクリート床にクッションシートを敷いたりすることで外気と室内の温度差を軽減します。
従業員ができる寒さ対策のポイントは2つ、衣類と防寒グッズです。
・衣類の工夫
冬場の防寒対策はまずインナーウェアを見直すことから始めましょう。体の中心をしっかりと温めるインナーウェアを着用することで、保温性・安全性を両立した寒さ対策ができます。
最近ではさまざまなアイデア商品が発売されています。発熱、吸水・吸湿、速乾、抗菌、防臭など多くの高機能インナーがたくさん発売されており、総合スーパーや量販店でも手に入りやすいのでおすすめです。
上に着るアウターは、厚手で防風効果があり、裏起毛や裏地フリースなどの保温性の高い素材で動きやすいものを選ぶとよいでしょう。
・防寒グッズの活用
最も手軽な防寒グッズといえば、使い捨てカイロがあります。安価で手に入れやすく即効性があるので重宝します。揉むと温まる定番のものから、体や服に貼るタイプ、靴の中に入れるタイプなどさまざまな種類があるので、自分にあったものを選びましょう。特に冷えを感じやすいお腹、腰、足を中心に貼ると効果的です。
太い血管が通っている首・手首・足首を温めることも寒さ対策にはとても重要です。
タートルネックインナーやネックウォーマー、帽子、靴下やレギンス、レッグウォーマーなどを併用してしっかりと寒さ対策をしましょう。
多くの工場で容認されているものの、使い捨てカイロは破れると異物混入にもつながるので使用を禁止している工場もあるでしょうし、作業着からはみ出るようなインナーも禁止にしているエリアもあるでしょう。まずは所属長に確認するようにし、工場で許可が出ないようなら組合に相談してみましょう。
衣類やグッズでの寒さ対策を説明してきましたが、作業に支障が出ないよう注意して選ぶことが大切です。
・素材や形状は適切か
・軽くて動きやすいか
・安全に作業できるか
自分に合った、動きやすくて安全な衣類やグッズを選び、工場の寒さ対策を万全にしなければなりません。
寒さ対策をすることで体調不良や注意力散漫、モチベーションの低下を防ぐことが可能です。空間が広い工場では働くエリアによって空調や作業環境が異なり、極端に寒いと感じる作業者も少なくありません。保温性や保湿性の高いインナーや防寒対策のグッズを活用し、工場の寒い環境を少しでも和らげる工夫を施していきましょう。
