工場転職ガイド 工場勤務の実態、溶接やフォークリフトなどの資格やピッキング作業など工場勤務全体を紹介
家にいながら、欲しいものが手に入る便利な時代になりました。それを可能にしているのは物流です。物流とは商品が企業などから消費者に届けられる一連の流れです。物流の仕事は日々の生活に密着している仕事ですが、商品を保管・管理している倉庫作業の実態はあまり知られていません。ここでは、物流倉庫管理の仕事内容、やりがいなどを詳しく解説します。
物流倉庫管理の仕事とは、商品を消費者に届けるために、注文に応じて倉庫に保管されている商品を取り出し、消費者の元へ配送するトラックに積み込むまでの一連の作業です。
物を運搬するだけでなく、販売する商品の保管、管理なども行います。それでは、物流倉庫管理の仕事内容を詳しくみていきましょう。
初めに販売するための商品を倉庫内に搬入するまでを説明します。倉庫では一般的にグループ会社で作られた製品を収める自社倉庫（委託業者も含む）と、別の工場で作られて仕入れた商品を保管・管理する倉庫（物流センター）があります。
工場で製造された製品をコンテナやトラックなどで運びますが、小売店や一般家庭に配送されるまで倉庫に保管しておきます。そのため、フォークリフトの作業者がトラックから商品を積み下ろして倉庫に搬入する入庫作業が最初となります。
反対に倉庫から商品を出すのは出庫です。入庫の際に、商品名、型番、種類、数量、保管場所などの情報をバーコード端末などで物流管理システム（WMS）に登録し、入庫する商品は所定の棚にフォークリフトなどの荷役運搬用車両で運搬して収納します。商品の入出庫管理は基本的にWMSで行います。
次に消費者から注文を受けてから、配送するまでの軽作業があります。作業手順は工場の取り扱う製品によって異なりますが、ピッキング→集荷・分別→検品・梱包の順が一般的です。
消費者から注文が入ったら、端末から送られてくる商品名、種類、数量などの注文内容を確認して、保管場所の棚から指定の商品をピッキング（選び取り）し、所定の場所に集めます。集荷した商品は指定の場所に分別します。
その後、商品に不良品や欠陥品がないか検品し、配送準備のため、箱詰めや緩衝材を入れるなどして梱包します。最後にトラックに積み込むため、配送先別に荷揃えして作業完了です。
ここまで、物流倉庫内作業の大まかな流れをみてきましたが、扱う商品や倉庫の規模などによって、働く環境は様々です。倉庫にも種類があり、普通倉庫、食品を扱う冷蔵倉庫や冷凍倉庫などがあります。倉庫内の温度が外気に左右され、夏は暑く、冬は寒い普通倉庫や冷蔵・冷凍倉庫のように常に寒い倉庫もあります。
また、扱う物品によっても環境が異なります。重量物を扱うのか、細かい精密部品を扱うのかによって作業環境が異なるからです。
ここまで、物流倉庫内作業の大まかな流れをみてきました。従来は体力が求められる場面が多かったのですが、昨今は最先端の情報管理、技術導入で人の労力は削減されています。それでは、物流倉庫管理のやりがいをみていきましょう。
近年のEC事業（ネット通販）の拡大やコロナ禍によるリモートワークの普及により、EC事業関連の物流取扱数量が激増しています。商品の物量が増えているため、仕事も当然増えています。コロナ禍により物流が滞ると社会全体の活動が滞るようになり、改めて社会の基盤を支える仕事と認識されるようになりました。
その反面、トラック業界など運搬する側は深刻な人手不足に陥り、消費者や顧客の要求もシビアになっているのが現状です。倉庫側も上記の影響や少子高齢化の波があるので慢性的な人材不足も否めません。
高齢化になるにつれて働き手が不足するだけでなく、頻繁に買い物に行けないお年寄りのために宅配サービスの普及も必須です。物流倉庫業務は生活を支えるために必要不可欠な仕事でやりがいがある仕事といえるでしょう。
物流倉庫業務は社会を支える基盤の一つですから、当然ながら日本を支える大企業も多く存在します。特に自社工場を持つメーカーは物流業務が発生しますので、業界業種を問わず物流倉庫の仕事は幅広くあります。他の企業から物流のみ専門で請け負う物流専門会社も増えています。
メーカーといえば自動車工場などの機械系製造業をイメージしがちです。自動車工場がメインであっても、タイヤやベアリングといった各種部品を生産する工場も自社工場から倉庫を持っており、関連会社に配送しています。
工場勤務が未経験だと各種部品メーカーのことを下請けとイメージする一般の方も多いものですが、「下請けで働くのはちょっと…」というのは大きな過ちです。部品メーカーは関連会社であって下請けではなく、自動車を組み立てるのに必要な部品を供給してもらっている企業のことになります。
たとえば自動車工場はトヨタを始め、日産やホンダ、マツダなど大企業なのは言うまでもありませんが、タイヤメーカーもブリヂストンや横浜ゴム、ベアリングではNSKなど世界シェアも高い有数の一流企業です。
また、スーパーやコンビニへの配送を扱っている物流倉庫業者も大手のグループ会社ということもあります。スーパー事業で国内最大手のイオングループでは各地に倉庫を持っていますが、日立物流へ委託している倉庫も多くあります。この日立物流は国内大企業の日立グループですから、物流倉庫事業というのは大手企業同士がつながり合っているので、働く人にとって安心感もあります。
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物流倉庫管理の仕事に就くにあたって、あるとよい国家資格はフォークリフト運転者、危険物取扱者です。
フォークリフト運転者の資格は国家資格であり、比較的取得しやすいので人気の資格です。フォークリフト運転者は倉庫内の物品の搬入、搬出、移動に欠かせない荷役運搬用車両を運転するのに必要な資格となります。
必須ではありませんが、物流倉庫企業で正社員を目指すなら危険物取扱者や倉庫管理主任者の資格も取得するのがおすすめです。
厚労省の職業情報提供サイトでは、倉庫作業員の平均年収は380万円程度となっています。物流は企業規模が大きいほど給与が高くなります。企業規模によって、給与額は異なりますので、額面はあくまでも参考程度にお考え下さい。
また、フォークリフト作業者の場合は平均432万円となっており、一般作業員よりも倉庫内では優遇されています。
参考：厚労省 職業情報提供サイト
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/485
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/237
物流倉庫業務の仕事内容は難しくありませんが、向いている人はどんな人なのでしょうか。3つの向いている素質を挙げてみました。
必要なのは、最低限の体力です。物流の仕事は立ち仕事で、商品とともに広い倉庫内を移動します。仕事内容にもよりますが、歩く距離は長く、仕事で歩く歩数は1万歩以上になるのはざらです。体を動かすのは苦にならない、健康のために体を動かしたい方にとってはぴったりのお仕事です。
物を取り扱う仕事ですので、他の人と一緒に行う共同作業は少なく、基本的に一人で作業します。人とコミュニケーションを取る場面は少ないので、コミュニケーションを取るのは苦手な人や黙々と作業したい人に向いています。
物流倉庫管理の仕事は決められた作業手順を繰り返し行う単純作業が多く、限られた時間内で素早く正確に作業を行うのが求められます。単純作業の繰り返しでも苦にならない、正確に作業できる集中力が必要です。
物流倉庫での仕事に転職するにあたってのポイントを解説します。採用面接時に必ず質問されるので、転職を考えている人は自分なりにまとめておきましょう。
なぜ、物流の仕事なのか。なぜ、この会社に転職したいのか自分なりの言葉でまとめておきましょう。特に、物流の仕事未経験者の人は業界研究、動向、仕事内容、その会社について事前に入念に調べて準備しておきましょう。自分の強みのアピールにつながるような内容も入れるとなおいいでしょう。
面接時に自分なりの強み、アピールポイントを面接時にしっかり伝えましょう。物流の仕事未経験でも物流の仕事に活かせそうな要素、例えば作業のスピード、正確性などは積極的にアピールしていきましょう。
物流倉庫ではアルバイトやパートの求人も多く募集されています。物流倉庫は昼夜問わず稼働しているため、フルタイムや短時間勤務など働きたい時間に合わせて仕事を選べます。求人によっては大量に募集されている場合もあります。
なかでも、個人宅配関連は取り扱う物量が激増しているため、求人も常時募集されています。さらに、注文が入ったらすぐに出荷・配送するジャストインタイム配送により、配送スピードが速くなっているため、慢性的な人手不足が指摘されています。個人宅配関連は今後も成長し続け、多くの求人が見込めます。
物流倉庫管理の仕事は慢性的な人手不足の職場もあり、会社にとって優秀なスタッフは正社員に登用しようとする会社が増えています。待遇を良くして、優秀な人材を自社につなぎ止めようとする狙いです。
長くこの業界で働きたいけど、自分に向いているかわからないと悩んでいる人はまず、アルバイトやパートから始め、自分に合いそうな仕事と思えば、正社員登用を目指すのはいかがでしょうか。
物流倉庫は休業する日が少なく、深夜・早朝でも稼働します。どの時間帯でも一定の人数を確保する必要があります。早朝、深夜など細かく時間が区切ったシフト制が多く、短時間でも働けます。自分の都合に合わせて隙間時間に働きたい主婦、学生、副業としてダブルワークがしたい会社員など様々な人が働いています。
今回は物流倉庫管理の仕事内容、やりがいなどをみてきました。物流は社会を支える基盤で、生活に必要不可欠な仕事の一つです。システムによる自動化や機械の導入により職場環境も改善されています。社会を支える物流を担う一員としてあなたも物流倉庫管理の仕事を始めてみませんか。
