工場の給料は、「残業が多くて稼げるところ」と「残業が少なくて低いところ」に分かれます。良くも悪くも残業の有無が給料の多い少ないを決める感じです。
工場勤務の給料は学歴や年齢などによってどう変わるのか、定年までの年収はどんな感じなのか、詳しく見ていきましょう。
年齢や学歴、雇用形態による工場の年収の違い
工場で働く人たちの年収は、実際どのくらいなのか。まずはいろいろな切り口で見ていきましょう。
学歴による工場の年収の違い
製造業の大卒・高卒別の給料・年収は、おおよそ次のようになります。
|
大卒 |
高卒 |
|
給料 |
年収 |
給料 |
年収 |
20〜24 |
20.8 |
250 |
18.2 |
218 |
25〜29 |
24.0 |
288 |
20.7 |
248 |
30〜34 |
27.2 |
327 |
21.7 |
260 |
35〜39 |
30.2 |
363 |
22.7 |
272 |
40〜44 |
33.1 |
397 |
23.9 |
287 |
45〜49 |
36.6 |
439 |
25.0 |
300 |
50〜54 |
38.6 |
464 |
25.5 |
306 |
55〜59 |
38.3 |
460 |
25.8 |
310 |
60〜64 |
27.1 |
325 |
18.4 |
221 |
65〜 |
25.7 |
309 |
15.4 |
185 |
※単位:万円
※列項目以外による属性は区別せず
※残業代や手当など、すべて含む
※厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2018年)」などをベースに試算
※以下の表も同じ
給料は年収を単純に12で割っているので、厳密にはもう少し低くなります(年収は残業代などの手当やボーナスも含んでいるため)
表を見ますと、大卒と高卒の年収はどんどん差が開いていくのが分かります。50代になると、大卒の年収は高卒を150万ほど上回ります。
20代までは、両者の年収にそこまで差がありません(30万ほど)。ですが、30代に入ってから一気に開き始めます。これは係長や課長といった管理職に、大卒が就き始める影響でしょう。
地方だと、高卒でも課長・部長クラスに就くケースはありますが、全国的に工場の管理職は大卒のポストです。そのため大卒が管理職に就き始める30代あたりから、学歴による年収差が大きくなっていきます。
雇用形態による工場の年収の違い
|
正社員 |
正社員以外 |
|
給料 |
年収 |
給料 |
年収 |
20〜24 |
21.7 |
260 |
20.0 |
240 |
25〜29 |
25.5 |
306 |
22.7 |
272 |
30〜34 |
30.7 |
368 |
25.1 |
301 |
35〜39 |
35.7 |
428 |
27.5 |
330 |
40〜44 |
39.9 |
479 |
29.6 |
355 |
45〜49 |
44.7 |
536 |
31.7 |
380 |
50〜54 |
48.8 |
586 |
32.7 |
392 |
55〜59 |
50.7 |
608 |
32.9 |
395 |
60〜64 |
34.1 |
409 |
23.6 |
283 |
65〜 |
31.9 |
383 |
21.7 |
260 |
雇用形態別(正社員、正社員以外)の給料・年収です。
50代になると、年収で200万ほど違います。正社員が管理職について給料がアップするのに対し、正社員以外はずっと現場生産者で給料が上がらない影響でしょう。
役職による工場の年収の違い
|
管理職 |
現場 |
|
給料 |
年収 |
給料 |
年収 |
20〜24 |
23.0 |
298 |
21.2 |
218 |
25〜29 |
26.4 |
350 |
23.6 |
248 |
30〜34 |
32.1 |
446 |
27.0 |
260 |
35〜39 |
37.4 |
540 |
29.8 |
272 |
40〜44 |
42.6 |
638 |
32.0 |
287 |
45〜49 |
48.6 |
751 |
34.6 |
300 |
50〜54 |
53.5 |
850 |
36.2 |
306 |
55〜59 |
52.3 |
829 |
35.6 |
310 |
60〜64 |
37.8 |
520 |
32.3 |
221 |
65〜 |
37.4 |
517 |
31.7 |
185 |
役職による違いを見ると、その差は歴然です。
中小規模の工場でも、地方なら管理職で年収1,000万円を超えるケースは決して珍しくありません。一方、現場生産者の多くは非正規社員のケースが多く、両者の年収には大きな開きが生じます。
経験の有無や働き方によっても工場の年収は変わる
工場の給料・年収を決めるのは、学歴や雇用形態などだけではありません。他に大きな要因として挙げられるのが、以下の2点です。
- それまでの経験(工場勤務経験者か、未経験か)
- 工場のシフト(2交代か3交代か)
1. それまでの経験
工場経験がある人が別の工場へ転職する場合、前職での給料・年収をベースに、次の工場での給料・年収も決定されます。
一方、工場経験がまったくない人の給料・年収は、大きく次の2パターンに分かれます。
(a)工場でも活かせそうな経験がある人 : 前職の給与・年収をある程度は考慮
(b)そうした経験がない人 : 工場の初任給
別の会社で事務の管理職をしていた人が、工場事務に転職するといった場合は、前職の勤務経験が多少なり工場でも活かせます。そのため給料・年収も、前職をベースに考えてもらえるでしょう(最低でも現状維持は確保できると思います)
一方、特に活かせる経験がない人は、初任給スタートと考えておいたほうが良いでしょう。工場の仕事は特殊で、ほかの業界の経験が(ほとんど)通用しません。そのため、能力的にはいわば新卒未経験と同じです。
2. 工場のシフト
工場は通常、早朝から深夜まで稼働しているため、シフト制を敷いています。これには大きく2種類があります。
(a)2交代制
(b)3交代制
2交代制は、現場の社員を2つのチームに分けて、片方を早番・もう片方を遅番に割り振ります。3交代制は、朝番・昼番・夜番のように3チームで工場を回すシフトです。
そして、通常2交代制のほうが、給料・年収は高くなります。なぜか。深夜勤務が増えるからです。22時から翌朝5時までの勤務に対しては、時給の1.25倍を支払わなければならないと法律で決められています。
ただ、稼げる2交代制ではありますが、そのぶん深夜労働が増えたり、残業が3交代制より多かったりして、体力的にはキツイともいわれます。このあたりの実情を具体的に知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
*残業が少ない工場を選ぶなら食品・プラスチック・半導体業界
https://afghaneic.com/16/
おすすめ工場系求人サイト
工場求人ナビ
- 求人数が少ないが、求人の品質の定評があります(2019オリコンランキング1位)
- 優良企業が多い(ブラック企業に当たりにくい)です
- 面接来場(合否不問)でQUOカード1,000円分がプレゼントされます
- 検索メニューはメリットで絞るだけと、シンプルで使いやすいです
- 「残業少なめ」で検索できます(できないサイトが多いです)
お仕事情報ネット
- およそ10,000件と業界最多規模の掲載求人数
- 正社員求人、正社員登用求人が多めです
- 高時給、高月給の求人が多めです
- 工場事務の特集ページ、寮あり求人のみの特集ページなどがあります
工場の求人で給料・年収をチェックするときの注意点
工場の求人を拝見すると、給料・年収の欄は大抵、下のような書き方がされています。
(例1)
【給料】 21万円
【内訳】 時給1000円 × 7.5h × 21日+残業32.0h+深夜勤務30.0h+休日出勤7.5h
(例2)
年収450万円以上も可能!
固定給+年2回の賞与!
固定給27万円+各種手当の高待遇!
このように工場求人の給料・年収は、残業代や深夜勤務手当、休日出勤手当などを含んでいることが多いです。そのため基本給がいくらなのか、月の残業がどのくらいなのか、分かりにくくなっています。
例1について
こちらは、月の給料が21万のように見えますが、内訳を見ると
時給1,000円 × 7.5h × 21日 = 157,500円
15万円と少しだと分かります。よって、給料21万のうち、3分の1(約7万)くらいを残業代や深夜勤務手当、休日出勤手当が占めているわけです。当然、残業時間が減れば、それだけ給料・年収は減ります。
例2について
こちらは、月の残業時間が見えにくくなっています。
固定給27万円ということは、ボーナス1回を1ヵ月分とすると、年収は
270,000 × 15 = 3,780,000円
378万となります。よって、450万 — 378万 = 72万円ぶんは、残業代などによることが分かります。
仮に72万円ぶんが、すべて平日の残業代だとしましょう。固定給27万の場合、時給は
270,000 ÷ 8h ÷ 21日 = 1,607円
となります(1日8時間労働の工場の場合)
このとき月の残業時間は、
720,000 ÷ 1,607 = 448h/年
448 ÷ 12 = 37.3h
つまり、毎月37時間ほど残業している計算です。
このように工場の求人は、内訳がとても分かりにくいです。少なくとも「固定給がどのくらいなのか?」「残業代、深夜勤務手当、休日出勤手当がどのくらいあるのか?」、この2点は可能な範囲で調べておきましょう。
このように工場の給料・年収は、学歴や雇用形態、工場のシフトなどによって大きく変わります。また工場の求人票は、固定給の金額や残業代などの割合がわかりにくくなっているので、事前にしっかり調べておきましょう。
中には「未経験から正社員で、年収400万スタート」のような、掘り出しもの案件もあります。少しでも良い給料・年収を確保したいという方は、下にコツを載せておきましたので、ぜひそうした案件を探してみてください。