工場転職ガイド 工場勤務の実態、溶接やフォークリフトなどの資格やピッキング作業など工場勤務全体を紹介
製造業の工場が多くあります。工場といえば代表的なのが自動車工場ですが、他にもさまざまな業種があり、それぞれ仕事内容も異なります。ここではそんな工場の仕事に転職するのに向いている人、向いていない人の特徴を解説していきます。
工場は基本的に製品を生産する仕事です。納入されてくる材料・前工程製品をそれぞれの工程ごとに加工して完成品を作り、検査・検品・梱包を経て出荷していきます。各工場によって工程や呼び名も異なりますが、基本的に生産する部署（製造）と検査、梱包、出荷はどの工場にも存在しています。
製造業の工場といってもさまざまな業種があります。自動車や鉄道車両、船舶、航空機、産業機械などの組み立てを行う主要メーカーや、それらの関連部品を製造している部品工場、材料鉄を焼入れ・焼き戻しを行う熱処理工場、惣菜や弁当、お菓子などを扱う食品工場、電子部品を扱う精密工場など数えきれないほどです。
各工場で生産されている製品は、国内外に出荷されていくこともあり、国内の景気だけに左右されないケースが多くあります。
製造業の勤務が未経験の人は、工場の仕事内容をテレビや雑誌などでよく紹介されている、自動車工場の組立ラインをイメージすることが多いといえます。このような作業を担当している人をオペレーターと呼びます。
工場勤務未経験の人が初めにする仕事はオペレーターになることが多く、これは実際に現場の仕事がどのようなものかイメージしてもらい、各工程間の流れを理解してもらうために必要だからです。転職を考える際にはオペレーター以外にもさまざまな職種があるのでみていきましょう。
製造部は現場の仕事を担当しています。工場内でも一番人員が多く、転職しやすい職場であり、売上を上げるために必要な生産を任されています。それぞれ担当するエリアや係区が異なります。
・ラインオペレーター
設備を稼働して実際に生産活動をしている現場作業員のことを指します。オペレーターは機械を直接操作し、連続稼働している製品のチェックを行います。直接操作するといっても簡単なボタン操作がある程度で、大きな工場では期間工や派遣社員が担当するケースが多く見られます。そのため、転職するには一番入りやすい職種ともいえます。
・組立て・組付け
自動車工場の生産ラインでは、コンベア上で流れてくる車体にパーツを組み付ける仕事があります。また、部品工場ではプラスチック製品の組付けや組み立てが行われています。組み立てと組付けはまったく異なる工程の工場もあれば、同じ意味合いを持つ工場もあります。
基本的に小さなパーツを組み合わせて完成部品に仕上げるのも組付けといい、その完成部品をより大きいパーツ（自動車や家電製品本体）に組付けるのを組立てといいます。ただ、これらの呼び名は業種や企業ごとにさまざまですので、一概にすべての工場が同じ呼び方をするとは限りません。
・段取り・調整・保全
工場には多くの設備があり、それぞれが工程ごとに異なる種類の設備を導入しています。同じ製品ばかりを製造している訳ではありません。工場によっては一品一設備で加工することもあれば、大きな製品サイズと小さいサイズを同じ設備で加工する場合があります。
そのため、注文数を加工し終えたら次の製品に切り替えるので、ここで設備の段取り替えが発生します。段取り替えはほとんど正社員の仕事です。段取りが終えたらオペレーターに生産業務を引き継ぎます。
段取りを終えても、途中で不具合が生じた場合は調整が必要です。また、定期的に設備のメンテナンスをして機械動作におかしなところがないかチェックする保全業務もあります。
これら段取り・調整・保全を担当するのは正社員の仕事であり、少数精鋭の職場ではオペレーターと兼務しているケースがみられます。一般的な転職者で、現場作業が未経験の人がなるにはハードルが高い職種といえるでしょう。
・検査
生産ラインから送られてくる完成品の寸法や外観をチェックし、良品と不良品に分ける作業を担当します。手先が器用で細かく丁寧な作業を必要としますので、女性が活躍しやすい職種です。
基本的に検査工程が終われば製品は出荷に直結するので、最後の工程としてとても重要なポジションです。ただ、機械加工と比べると専門的なスキルを要しないので、期間工や派遣社員が作業を担当し、社員は最終チェックのみとする工場も多く存在しています。
工場未経験の人が転職するには向いているといえます。
・洗浄・包装・検品
検査が終われば製品を出荷します。現場から運ばれてきた製品は綺麗に仕上がっているものの、埃や汚れが付着しているケースもありがちです。洗浄の工程を入れて埃や汚れを除去し、防錆処理と合わせて行うこともあります。洗浄工程は検査工程の前後どちらかに入れており、工場によって異なります。
包装は梱包ともいいますが、出荷先に納めるために完成品を袋詰めやポリ詰めで分けていき、工場内のバックヤードなどに送り、機械で自動的に行うこともあれば人の手で作業するケースもあります。
検品は包装された製品を注文数と出荷先を照らし合わせて完成品ラックなどに振り分けていきます。たとえば、完成品のロットごとに注文ラベルを発行し、QRコードを読み込むことでロボットが自動的に棚へ収納。工場搬送口にある出荷場からコンピュータで指令を送ることで、ロボットが棚に入っている完成品を取り出して出荷場に送り、そこからトラックに乗せていきます。
完成品ラックからトラックへと積み込む一連の作業を外部委託している工場が多く、工場内の作業者は検品と包装を同時に行う場合があります。
これら洗浄・包装・検品は期間工や派遣社員が直接作業することが多く、最終チェックのみを社員が行うものです。
ものづくりの現場は製造部がメインですが、製造業のものづくりを支えているのは生産技術です。生産技術はものづくりのエキスパートたちで、設計・開発・機械修理・改善活動を担当しています。
生産技術の中でも設計・開発は研究職であり、ほとんど現場作業員と一緒に仕事することはありません。機械修理や部品の発注、現場の改善活動を推進している生産技術の担当者は現場作業員と密に連絡を取り合います。
また、生産技術の中には電気系の専門職もあり、漏電や配線トラブル、電気系統の故障などに対応しています。設備の近接センサー交換など、現場作業員でも行える簡易なトラブル以外を任されています。
生産技術へ転職するには工場経験者が優遇されますが、電気系の資格を持っていれば工場未経験でも転職が成功しやすいです。
品質保証部はどの工場にも存在し、工場で生産される製品の品質を保証しています。基本的に品質保証部が許可を出さない製品は出荷できません。段取りデータの確認だけでなく、完成品のロットごとに抜き取り検査を行い、作業要領や標準書に則って加工できているのかチェックします。
品質トラブルが発生したときには窓口になり、自工場が要因ならば出荷した製品の対応、納入された材料が要因なら前工程の協力会社との対応を検討していきます。さらにトラブルを再発させないために、原因の解明と発生の対策を行うことが必要です。
工場未経験者が転職する場合、一度現場作業を経験させてから適正を判断し、品質保証に異動するケースがみられます。
生産管理は注文から材料の調達を含めて、工場内の生産計画を立案します。生産状況を把握しなければならないので、現場の生産や検査、出荷の進捗確認はもちろん、納品先との密な連絡が必要です。
自社の営業部ともコンタクトを取ることが多くなり、まさに生産状況の窓口になります。客先起因による急な納期変更や現場のトラブルでの納期遅れに対し、柔軟に対応しなければなりません。工場によってはかなりの激務になることもありますが、生産管理は一般社員であっても、工場長や各部門長とも話す機会が多いポジションでもあり、その分やりがいがある仕事です。
工場未経験でも営業などの経験があって数字管理に強ければ、生産管理のポストに転職することは可能です。
総務や人事、経理といった事務方の仕事を担当しています。広い工場になると、夜勤などの交替勤務がある人は、事務職の出勤時間に出向いてくれないケースが多々あります。提出書類や支給物の確認など、現場作業者の負担を少しでも減らす配慮、新人作業者の教育や安全推進活動、予算や経費、勤怠の管理、来客の対応など多岐に渡ります。
管理部には事務職からの転職が成功しやすく、女性が活躍している職種ともいえます。
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工場の転職に向いている人の特徴をみていきましょう。
とにかくお金を稼ぎたいという人は現場作業が向いているでしょう。現場作業は交替勤務や残業などによる手当が充実しているからです。交替手当や深夜業務手当、残業や休日出勤の時間外手当があれば、高卒2年目の現場作業者でも大卒の生産技術よりも手取り額が多いことは珍しくありません。
長期的な生涯年収でみると別ですが、転職後にすぐ工場勤務で今の給料よりももっと稼ぎたいという人は、現場作業への転職がおすすめです。
間違ったことをしっかりと訂正する姿勢を持っている几帳面な人は、品質保証が向いているものです。記憶に新しいデータ捏造による品質不正問題は、日本を代表する大企業でも行われていました。
品質は企業にとっても大きな問題となりえますので、几帳面な性格の人ほど重宝されます。長年勤めている現場のベテラン作業者に注意するのは勇気もいりますが、おかしいと思ったことは上長に打ち上げればいいだけです。重箱の隅を突くような几帳面な人の転職は、企業の存続問題に大いに貢献できるでしょう。
コツコツ作業が得意な人は現場のオペレーターや検査業務が向いているでしょう。同じことを繰り返して作業することは忍耐力と集中力が求められます。コツコツと作業するのが得意
な人は、生産性を向上する上でも欠かせない人材であり、検査を含めた現場作業に最適です。
また、職場の人間関係などでコミュニケーションが苦手な人も同様です。コツコツと同じことを繰り返して自分の作業に没頭できるので、コミュニケーションが苦手なでも転職しやすいです。
機械が好きな人は現場の段取りや保全作業の他に、生産技術も向いているものです。学生時代に工業科ではなかったとしても、自動車やオートバイ、パソコンなどの機械いじりが好きな人は設備や部品の特徴をつかみやすく、専門用語もすぐに覚えられます。
機械いじりが得意な人は、設備内を見るだけでシリンダーの動きや空圧・油圧の設定値を把握し、何となく動きが分かりそうというケースが多いものです。どういう動きをすればサイクルタイムを短縮できるのか、もっと生産性が向上するのかという課題に積極的な姿勢を持ちやすいので、転職しても活躍しやすいです。
工場未経験でも電気系の資格を持っていると工場には重宝されます。現場作業者の中にも電気系に強い人はいるものですが、生産技術でないと持ち出せない工具もあり、設備稼働が優先されるので基本的に生産技術が向いています。
製造業の業種に関わらず、どのような工場でも電気を扱っています。電気回路を読み取れる電験や電気工事士の資格を有していれば、工場への転職に有利になります。
数字管理が得意な人は生産管理に向いています。生産管理は生産計画の立案や進捗確認がメインですので、数字に強くないとなれません。しかも、ただ計算ができればいいというわけ
ではなく、計画通りに100％持っていくのは難しいので、先を見通して柔軟な対応が必要です。
経理の実務経験がある人も生産管理に向いていますので、数字管理が得意な人は転職しても活躍できるでしょう。
一方で、工場の転職に向いていない人の特徴をみていきます。
人と会話する接客業が好きな人には向いていません。黙々と作業する工場でも当然ながら最低限のコミュニケーションは必要です。しかし、セールスやサービス業に見られるような接客が得意な人は活躍できる場所が少ないです。
工場では立ち仕事が多いものです。現場以外の部署に入ればデスクワークになりますが、どの部署に配属されるかは入社するまで分かりません。現場作業では4時間ほど立ち続けるのが当たり前という工場も少なくありません。
足腰が弱い人や長時間の立ち仕事が辛い人には向いていないといえるでしょう。
同じ作業を継続するのが苦手な人は向いていません。作業するのに集中力が続かないと品質トラブルになるケースがほとんどです。また、ダラダラして生産性が上がらず、周囲との軋轢が発生してしまうこともあります。
オペレーターや組付け、検査業務は同じことの繰り返しになりがちです。機械いじりが得意な人でも転職後は簡単な作業から始めるケースが多いので、反復作業が苦手だと評価も下がってしまいます。
製造業といっても機械加工の工場や食品工場など業種によってさまざまですが、工場の仕事は製品を生産し、出荷へとつなげていくことになります。工場の仕事はオペレーターや検査工程がある製造部がメインであり、生産技術や品質保証、管理部などのデスクワークがあります。
工場の転職に向いている人の特徴として下記が挙げられます。
・お金を稼ぎたい
・几帳面
・コツコツ作業が得意・コミュニケーションが苦手
・機械が大好き
・電気系の資格を有している
・先を見通した数字管理が得意
また、工場の転職に向いていない人は「接客が大好き」「立ち仕事が苦手」「反復作業が苦手」という特徴があります。
