工場では服装や身だしなみにルールを設けており、業界や企業、担当する工程などによって変わってきます。髪の色や長さ、お化粧やネイルなどがOKな工場もあれば、ネックレスやピアスなどの装飾品がNGな工場もあり、実にさまざま。働き始めてから「夏でも長袖なんて思ってなかった・・・」といった後悔がないよう、事前にしっかり押さえておきましょう。
工場に服装規定があるのは衛生管理のため
ほとんどの工場では、衛生管理が徹底されています。特に食品や化粧品、医薬品など異物混入が許されない工場では、他の業界より厳しく工場内の衛生状況を管理しています。
代表的な施策に「ゾーニング」があります。これは工場内の区画を求められる洗浄度などに応じて仕切ることです。
そして、洗浄度が異なるゾーンの間には通常、エアシャワー(強風で服のホコリなどを吹き飛ばす洗浄機器)などが設置されます。これによって、社員が今いる部屋より高い洗浄度が要求されるゾーンへ移動するとき、チリやホコリを持ちこまないようにしています。
服装規定もこうした衛生管理の一つです。特に食品工場は、他の工場より徹底した衛生管理が行われています。
大きくは次の4点でルールが設けられています。
人気工場の服装規定の内容
では、工場にはどんな服装規定が設けられているのでしょうか。ここでは就業先として人気の食品工場、化粧品工場、電子部品工場、自動車工場などを中心に見ていきたいと思います(以下はあくまで一般的な例です。企業によって規定の内容は異なります)
食品工場の服装規定
服装…無塵衣、帽子、マスク、手袋
装飾…爪は切る、ネイル・マニキュア・ピアスはNG
頭髪…短くする、長い人は束ねる、ヒゲは剃る
足元…抗菌性に優れたクリーンシューズなど
食品工場は、すべての工場の中で最も服装規定が厳しいです。
服装は、無塵衣(むじんい)という専用の作業服で全身を覆います。これはホコリが出るのを抑えてくれる服です。
また帽子やマスク、手袋も必須です。目元以外は露出しないと考えておきましょう。そのため工場によっては、夏はとても暑いです。
爪はしっかり切って清潔に保ちます。ネイルやマニキュアはNG。ネックレスやイヤリング、ピアスといった装飾品も禁止されています。
靴は抗菌性に優れたものなど、衛生的に好ましい靴を着用。工場側から指定あるいは支給されることが多いです。
また作業場へ入る前には、手をしっかり洗って殺菌する、エアシャワーやコロコロで全身のチリやホコリを取り除くなど、入念な衛生対策を行います。そのため仕事前の準備でやることが多いです。
あと無塵衣は支給されますが、中のシャツも「ボタンがついていないもの」など指定されます。
ちなみに、扱う製品によって服装規定は違ってきます。清涼飲料水や水産加工品などの工場では、お菓子やコンビニ弁当の工場ほど厳しくないケースも多いです。
化粧品工場・医薬品工場の服装規定
服装…無塵衣、帽子またはヘアーネット、マスク、手袋
装飾…爪は切る、ネイル・マニキュア・ピアスはNG
頭髪…短くする、長い人は束ねる、ヒゲは剃る
足元…抗菌性に優れたクリーンシューズなど
化粧品や医薬品の工場も、かなり厳格な衛生管理を行っています。
服装は無塵衣やマスク、帽子を着用。こちらもほぼ全身を覆います。
ただ、包装など商品が既に形となった後の工程では、帽子がヘアーネットだったり、耳や前髪が少し出ていても大丈夫な所もあります。
電子機器工場・電子部品工場の服装規定
服装…専用服(帯電防止加工・制電加工の施されたもの)、帽子
装飾…爪は切る、ネイル・マニキュアは禁止・ピアスは基本NG
頭髪…自由
足元…安全靴など
パソコンやその部品を製造する工場も、精密機器を扱うため服装規定は厳しめです。ただ食品工場ほどではありません。
まず電子部品は静電気で事故が起こる可能性があるため、帯電防止加工・制電加工が施された作業服が必須となります。半袖が認められている工場も多いです。目視検査(不良品チェックの工程)やマシンオペレーターなどの工程では、服装が自由な場合もあります。
マスクはない工場が多いです。帽子や髪の規定も緩めで、耳や前髪が出ていても大丈夫な工場も。
ピアスやヒゲ、ネイルはほとんどの工場で禁止ですが、中にはOKの所もあります。特に検査業務(部品のサイズをチェックするなど)や梱包など、製造の後工程でOKな求人が多いです(ピッキング・仕分けなどの倉庫内業務で認められている求人も多いです)
自動車工場の服装規定
服装…作業服
装飾…爪は切る、ネイル・マニキュアは禁止、ピアスは基本NG
頭髪…自由
足元…安全靴
自動車工場の場合、食品工場のように全身を無塵衣で覆うことはありません。ホコリやチリをそこまで気にする必要がないため、規定は緩めです。
服装としては、指定の作業服(夏は半袖OK)に安全靴、保護メガネに帽子(工程によってはヘルメット)といった感じです。
なお自動車工場も、中にはピアスOKなところがあります(だいたい禁止です)
化学系工場の服装規定
服装…作業服、帽子、手袋
装飾…爪は切る、ネイル・マニキュアは禁止、ピアスは基本NG
頭髪…自由
足元…安全靴
ゴム工場やプラスチック工場などの化学系工場にも、そこまで厳しい服装や身なりの規定はありません。作業服(つなぎ)+手袋+帽子のイメージです。半袖もOK。髪型や髪色が自由な工場も結構あります。
一部ですが、代表的な工場の一般的な服装規定をご紹介しました。
ただ冒頭にも書きましたが、作る製品や担当する工程によって規定は変わります。たとえば自動車工場でも、ラインの組み立て担当と倉庫のフォークリフト担当では違ってきます。後者は緩いケースが多いです。
なお、プラスチックやゴム自体を作る工場ではなく、それらを使った製品(容器やタイヤなど)を作る工場だと、ピアスOKなど規定が緩めの求人を見つけやすいです。
おすすめ工場系求人サイト
工場求人ナビ
- 求人数が少ないが、求人の品質の定評があります(2019オリコンランキング1位)
- 優良企業が多い(ブラック企業に当たりにくい)です
- 面接来場(合否不問)でQUOカード1,000円分がプレゼントされます
- 検索メニューはメリットで絞るだけと、シンプルで使いやすいです
- 「残業少なめ」で検索できます(できないサイトが多いです)
お仕事情報ネット
- およそ10,000件と業界最多規模の掲載求人数
- 正社員求人、正社員登用求人が多めです
- 高時給、高月給の求人が多めです
- 工場事務の特集ページ、寮あり求人のみの特集ページなどがあります
服装自由でも、どんな服装でもいいわけではない
工場の求人には「服装自由」と書かれた案件がたくさんあります。ご覧いただくとイメージ写真でも普段着のような格好をした人物が映っていることが多いです。
そのためか、たまに半袖・半ズボン、おしゃれなシャツにスカートといった、まさに普段着で仕事に行ってしまう人がいます。
ですが、どんな服装でもいいわけではありません。最低限守るべきルール(きちんと仕事ができる格好が大前提です。過度におしゃれな格好でいくと、周りの社員からも浮いた目で見られてしまいかねません。
工場の服装規定は他の業界と比べて確かに緩いです。しかしピアスもネイルもOK、髪色も自由など、完全に自由な工場は実際ほとんどありません。どんな格好で仕事に行けばいいかわからない場合は、勤務先へ事前にきちんと確認しておきましょう。