工場転職ガイド 工場勤務の実態、溶接やフォークリフトなどの資格やピッキング作業など工場勤務全体を紹介
「人間関係がめんどうじゃない職場がいい」「都会で働くのに疲れた」
こうした理由から、工場へ就職・転職を希望する人が多くいます。近年増えている印象です。
確かに工場の人間関係は、ほかの仕事より楽です。単純作業を黙々とこなすのが仕事なので、作業中に社員同士の会話は多くありませんし、接客業のような対人ストレスもありません。
ただ、全体としてはそのような傾向ですが、業界や企業にもよるので、ひとくくりにはできません。中には人間関係が劣悪な工場もあります。
では、人間関係が楽な工場・悪い工場は、どのように見極めればいいのでしょうか。
はじめに工場の人間関係の良し悪しを決める要因を見ていきましょう。
まず、人間関係が楽な工場の特徴は、主に4つあります。
主婦(夫)の方が多い工場は、社員どうしの人間関係が楽なことが多いです。
工場で働く主婦(夫)の皆さんには、次のような傾向があります。
仕事がテキパキしているので、作業の遅い同僚を見てイライラする心配がありません。また真面目なので仕事中に話しかけられることも少ないです。
さらに、お子さんがいる場合、勤務後は早く帰りたい方が多いです。そのため、主婦(夫)の方が多い工場では、飲み会などが開かれることもあまりありません（誰も参加できないため）
誰でもできる軽作業には、口数の少ない物静かな人、黙々と仕事をこなす真面目な主婦(夫)、接客業が苦手な学生やフリーターなどが集まりやすいです。そのため人間関係が楽な工場が多いです。
まともな工場は中もきれいで、設備も最新とまではいかないものの整っていることが多いです。
ご自身が工場求人に応募した際は、事前に工場内を見学できないか、面接などで聞いておきましょう。
留学生や出稼ぎで日本へ来ている外国の人たちは、真面目で頑張り屋です。あいさつなどもちゃんとしてくれます。そのため外国の人が多い工場は、人間関係で悩む心配が少ないです。
ただ、日本語が話せない、あるいはカタコトな方も多いので、必要最低限の報告・連絡・相談を行うのが難しい可能性はあります。
次に人間関係が悪い工場の特徴です。
工場の全体的な平均年齢は、30代半ばくらいです。これより高いと、若手（20～30代）がどんどん辞めているか、入社してこない工場です。
40代ともなると、人は仕事を辞めにくくなります。もう後がないからです。逆に20～30代は、もっと良い職場を求めて転職する余裕があります。
これは言い換えれば、職場環境が悪くて20～30代が定着せず40以上ばかり＝平均年齢が高い、ということです。
工場の仕事は簡単なため、仕事内容が原因で辞める人はそこまで多くありません（想像以上に重労働だった場合くらいです）。そのため退職理由は、だいたい人間関係です。
ずっと人を募集している企業は、次の2種類に分けられます。
(1)会社が成長していて、人が足りない
(2)社員がどんどん辞めていて、人が足りない
工場の場合は、だいたい(2)のケースです。
求人サイトを見るときは、
(a)掲載期間の長い求人広告を出していないか
(b)1つの求人サイトに同じ求人広告をいくつも載せていないか
特にこの2点に注意してください。
(a)は、年中募集している工場です。目安、半年以上の掲載期間の場合は注意しましょう。
(b)は、人をなかなか採用できない工場がよくやる手法です。応募を増やすために、広告が人目につきやすくしています。
力仕事の多いガテン系の工場は、体育会系や元ヤンの人が集まりやすいです。この手の工場は体育会系の雰囲気が強く、パワハラめいた行為が横行していることもあります。
業務内容にもよりますが、厳しい仕事なのに給与が安い工場は不満がたまりやすく、それが人間関係の悪化につながる恐れがあります。具体的には、同僚から愚痴や不満をたくさん聞かされるなどです。
では、具体的にどんな業界の工場だと、人間関係が楽なのでしょうか。工場の種類別に傾向を見ていきましょう。
【◯】食品工場
パン工場や製麺工場など。主婦(夫)の方が多く、人間関係が楽なことが多いです。皆さん黙々と作業するので、会話もあまりありません。
【×】弁当・惣菜工場
一方、同じ食品工場でも、弁当やお惣菜の場合は違います。賞味期限の関係で毎日大量に作る必要があるためか、ノルマで工場全体がピリピリしているケースが多いです。
【◯】化粧品工場
ここも主婦(夫)の方や女性が多く、食品工場と同様、人間関係に気を遣わないで済む傾向にあります。
【◯】精密部品工場
半導体工場など。物静かな人や、細かい仕事を黙々とこなすのが得意な人が集まるため、人間関係は楽です。
【◯】電機製品工場
こちらも精密部品工場同様、人間関係が楽です。全体的にライン作業が多く、時間に追われがちなため、社員どうしの会話はほとんどありません。黙々と仕事をこなすというイメージ通りの典型的な工場です。
【◯】自動車工場
精密部品、電機製品の工場と同様、黙々と作業するタイプの工場です。
自動車はひとつのミスが人の命に関わります。また他の工場より重労働で危険を伴うため、皆さん目の前の仕事に集中しています。
そのため、人間関係は楽ですが、肉体的・精神的にはキツめの仕事だと覚えておきましょう。
【×】製紙工場
部署にもよりますが、大量の紙やダンボールを積んだり運んだりするため、わりと重労働です。力仕事のため、体育会系の人が多い傾向にあります。
また、薬剤のニオイがきつい、危険が伴うなど、他の工場より環境が悪いのに給料が安いため、不満や愚痴が口をつく社員が多い印象です。
【◯】ガラス工場
ガラス工場は重労働・工場内が熱いなど、つらいというイメージが一般的です。ただ給与が高い傾向にあるため、不満をためこむ人は多くありません。
またガラスを割らないように繊細な仕事が求められるため、黙々と仕事をする職人タイプの人が多いです。そのため、確かに重労働ですが、人間関係は楽な工場といえます。
【◯】製薬工場
仕事がきついことで有名ですが、製薬という業界柄か、真面目な人が多いです。ただ、ニオイがきつい、人の命にかかわる仕事であるなど、独特の難しさがあります。
【×】タイヤ工場
工場の中でも劣悪で知られます。ホコリが凄い、ゴムや油のニオイがひどい、手が汚れる、暑いなど、良い評判をほとんど聞きません。給料も安いので作業員はストレスをためこんでいることが多く、工場内の人間関係も良くない傾向にあります。
【◯】プラスチック工場
プラスチックを熱にかけるなど危険を伴う現場のため、皆さん黙々と仕事に集中します。そのため工場内での人付き合いが煩わしいなどの心配はありません。ただ、暑い、ニオイがキツイといった難しさはあります。
なお、これらはあくまで一般的な傾向です。企業によっても変わってくるので、気になることは必ず面接などで尋ねておきましょう。
工場の人間関係について最後に2点、補足しておきたいと思います。
工場の人間関係は楽というイメージが一般的です。そして確かにその通りですが、同僚とまったくコミュニケーションを取らなくていいわけではありません。この点は注意してください。
工場は基本ライン業務です。つまりラインに入る全員がひとつのチームとなって仕事を進めていきます。
誰かの仕事が遅れれば、それでラインが止まってしまい、最悪お客さんに商品が届けられない、なんてことも。そのためチームワークが欠かせません。
とはいえ、難しく考えないで大丈夫です。次の基本的なマナーを意識していれば問題ありません。
工場は閉鎖的な環境のため、ひとたび関係がこじれると居心地が悪くなってしまいます。気をつけましょう。
特に都市部で働くのに疲れて、工場勤務を志望する人が考えがちなのが、
「工場は人情にあふれた人が多いのでは？ 働きやすいのでは？」
という幻想です。
確かにその傾向はあります。「主婦のおばちゃんと仲良くなって毎日が楽しい」「隣のおじちゃん口数少ないけど面倒見が良くて好き」といった声もよく聞きます。
ただ、もちろん工場によります。体育会系の部活めいた雰囲気の工場もあれば、お局さんがいる工場もあります。
また、工場は「コミュニケーションが苦手」「人付き合いが面倒」といった理由から働いている人が多いため、作業員どうしのコミュニケーションが少ない所が多いです。人とのつながりを求めて工場へ就職・転職しようとすると、理想と現実のギャップに苦しむ恐れがあるので気をつけてください。
