工場はシフト制のため残業はほとんどありませんが、勤務形態や業界などによって少し変わってきます。残業が少ない工場勤務を希望する方は、その特徴についてしっかり押さえておきましょう。
工場の勤務形態(日勤/夜勤、2交替/3交替)
まず工場の勤務形態について、簡単におさらいしておきましょう。
工場の勤務形態は、
- 働く時間による区別(日勤/夜勤)
- シフトの組み方(2交替/3交替)
この2点によって決まります。
日勤・夜勤とは
朝から夕方に働くのが日勤、夜から深夜にかけて働くのが夜勤です。
中には、日勤を早番(ex. 6:00~14:00)と遅番(ex. 14:00~22:00)に分けている工場もあります。この場合、早番を日勤、遅番を夕勤と呼びます(夜勤は夜勤のままです)
2交替とは
工場勤務では、社員はいくつかのチームに分けられ、それぞれ交替して勤務にあたります。
このうち2交替とは、日勤と夜勤で交代するシフトを指します。
ただし日勤のチームも、いつも日勤とは限りません。4日勤→1休日→4夜勤→2休日といった感じに、日勤と夜勤を交互に担当するのが一般的です。
3交替とは
3交替は、日勤・夕勤・夜勤の3チームに分かれて、交替で工場勤務にあたるシフトです。一般的に「4日出勤して2日休む」というシフトが組まれます(これを「4勤2休」といいます)
3交替も「日勤のみ」「夜勤のみ」ではなく、全員がそれぞれの時間帯を担当します。
中には夜勤専任など変わった勤務形態もありますが、一般的にはこんな感じです。
2交替より3交替のほうが、残業が少ない
業界や企業にもよりますが、一般的に2交替の工場より3交替の工場のほうが残業は少ないです。
工場のシフトには、大きく次の3パターンがあります。
- 8時間勤務の3交替制の工場
- 8時間勤務の2交替制+残業前提の工場
- 8時間勤務の2交替制の工場
2交替制は残業が多い理由
2交替制は残業が多いといわれるのは、②のケースがあるからです。
7:00~24:00のあいだ稼働している工場が、日勤7:00~16:00、夜勤17:00~24:00の2交替制でシフトを組んでいるとしましょう。このとき1日の流れはこうなります。
7:00~16:00 日勤チームが勤務
16:00~17:00 誰もいない
17:00~24:00 夜勤チームが勤務
24:00~7:00 稼働停止
16:00~17:00の間、工場に人がいなくなります。
このとき、いったん稼働を止める工場もあれば、止めない工場もあります(前者のほうが多いです)。そして止めない場合、たいてい前のチームが残業して空いた時間を埋めることになります。
一方、3交替制の場合、日勤・夕勤・夜勤の3チームに分かれます。1日の労働時間は8時間ですから、3チームが8時間ずつ担当して合計24時間。誰も残業することなく工場を24時間、動かせるわけです。
3のシフトは、この空き時間に工場を止める、あるいは夜勤を16:00~23:00にして残業をなくしている工場です。
2交替でも残業がないケース
2交替でも、次のどちらかのシフトで動いている工場は、残業を前提とはしていません。
(a)先ほどの3の工場
(b)フレックスタイム制を導入している工場
(a)については説明したので、(b)について補足します。
フレックスタイム制とは、従業員が好きな時間に働ける制度です。
この場合、日勤の人たちを、(1)7:00~16:00に働く人と、(2)8:00~17:00に働く人のように、さらに2つに分けます。すると、1日の流れはこうなります。
7:00~16:00 日勤チーム(1)が勤務
8:00~17:00 日勤チーム(2)が勤務
17:00~24:00 夜勤チームが勤務
24:00~7:00 稼働停止
日勤チームの誰も残業することなく、夜勤のチームが来るまでの間を埋められます。
(参考)医薬品製造ラインにフレックス勤務―中外製薬が働きやすい環境づくり|日刊工業新聞
https://newswitch.jp/p/2930
残業は少ないほうがいいなら3交替制。ただ体調管理は2交替より大変
以上のことから、残業が少ない工場で働きたい人は、3交替制を選びましょう。
ただし、注意点がひとつ。
3交替制の場合、日勤・夕勤・夜勤の3つのシフトに入らなければいけません。そのため生活リズムの管理が2交替制より大変になるので気をつけましょう(慣れれば大したことはありません)
逆に2交替制は、残業が3交替制より増える可能性がありますが、生活リズムは比較的維持しやすいです。また割増賃金が適用される夜勤の日数が3交替制より多いので、給与が高くなる傾向にあります。とにかく稼ぎたい人は2交替制がいいでしょう。
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残業が少ないのは食品関連の工場、多いのは自動車関連の工場
工場の残業時間は、業界や企業、部署などによっても変わります。
ここでいくつか事例をご紹介します。
某食品メーカー
ポテトチップス製造・男性のケース
- 残業:平均10~20時間/月
- 3交替。残業も休日出勤もほとんどない。あっても代休がちゃんと取れる。有休も取れる。
- むしろ営業のほうがきつそう。顧客が土日関係なく動いてて、休日にも電話がかかってきてる。
お菓子製造・女性のケース
- 残業:平均10~20時間/月
- 商材の賞味期限が短く毎日作り続ける必要があるので、工場は24時間365日動いてる。だから土日勤務は誰でも平等にある。
- 原材料が生ものだから、残業はそれに左右される。休日出勤が必要なこともある。
- 全体的に残業は少なめ。プライベートもしっかり確保できる。
- 女性が多く、育児への理解がある。お迎えなども問題ない。
某自動車部品メーカー
部品製造・男性のケース
- 残業:平均60~70時間/月
- タイムカードを押してから仕事に戻る人がたくさんいる。突発的なトラブル対応もありプライベートは取れない。
- 会社に身を捧げる社員を評価する昔ながらの社風。残業や休日出勤が多い=頑張っている。
- 残業代は出るので、とにかく稼ぎたい人ならいいかも。プライベートと両立したい人には勧められない。
生産技術・男性のケース
- 残業:平均30時間/月
- 業務量が変わらないのに人件費の削減で人がどんどん減っており現場がパンク寸前。それが嫌で人が辞め、さらに現場の負担が増えるという悪循環に陥っている。
- 上は「人を雇うより残業代でカバーしたほうが安い」と考えているので、環境が改善される様子はない。
- にもかかわらず、大手のため世間体を気にしているのか、残業と休日出勤が厳しく管理されている。だからサービス残業が横行している。
某タイヤメーカーの工場の場合
技術職・男性のケース
- 残業:平均30~40時間/月
- 土日出勤もけっこう多い(毎月平均2~3日。無い月はない)
- 社用携帯が支給され、土日祝日に必ず電話がかかってきて気が休まらない。
- こっちは休んでいても工場はずっと動いているため、深夜に電話がかかってくることもある。
- 会社全体に「残業する社員=偉い」という空気がある
某半導体製造工場の場合
製造・男性のケース
- 残業:平均5~10時間/月
- 工場は比較的、残業が少ない。営業や技術開発・設計系の社員には、月60時間という人もいるそう。
- 半導体はとても繊細なので、工場内はきれい。ただし社員の身だしなみも厳しく管理される。
- 有休は取りやすい環境だが、夜勤の日は取らないほうがいい空気がある。
某ガラスメーカーの工場の場合
業務用ガラス製造・男性のケース
- 残業:平均5~10時間/月
- 3交替。工場はいつも稼働してるため、シフトが土日に入ることも普通。
- 社用携帯が支給されており、休日も連絡がくる。
- 工場勤務は不満が多いが、本社部門や研究部門への異動でガス抜きしている(社内環境を変えようという雰囲気はない)
某化学メーカーの工場の場合
高機能プラスチック製造・男性のケース
- 残業:平均20時間/月
- 残業は部署による。研究や営業は多いが、事務職や工場は比較的少ない。営業は土日もメールや電話が止まらないと聞く。
- 夜勤の日は有休が取りにくい
残業が少ない工場(業界)一覧
このように、同じ会社のなかでも部署や職種によって大きく変わります。
ただ一般的なライン業務の場合、食品関連の工場は残業が少ないです。一方で自動車関連の工場は残業が多い所がわりと見られます。
残業が少ない工場の業界をまとめますと、こんな感じです。
- 食品工場
- 半導体工場
- 電子部品工場
- プラスチック工場(化学系工場)
特に食品工場は人気が高いです。
逆に次の業界の工場は、残業が多いところが多いです。
- 自動車工場
- 自動車部品
- ガラス工場
- 金属工場
- ゴム工場
- パルプ工場
- 製薬工場
- 医療機器工場
- 建材工場
ぜひ転職先の工場探しの参考にしてみてください。