工場転職ガイド 工場勤務の実態、溶接やフォークリフトなどの資格やピッキング作業など工場勤務全体を紹介
工場勤務への転職を考えている人にとって、専門職で不安が尽きないという人も多いでしょう。実際には工場勤務は未経験から歓迎しているもので、生産現場は人手不足に悩んでいるものです。ここでは工場勤務を目指す人に向けて、工場の職種と仕事内容、向いている人の特徴などを解説していきます。
製造業の工場勤務といっても、実はさまざまな種類があります。工場の種類をみていきましょう。
工場勤務で、一般的にイメージしやすいのが機械工場といえます。機械で金属を加工して、火花が激しく散っている様子は多くのテレビ番組やドラマなどでも扱われており、日本のモノづくりを支えてきたといっても過言ではありません。
機械工場もさらに細かく分かれており、有名なのが自動車工場です。この自動車工場に部品を収めているタイヤやベアリング、各種ネジやナットといった関連部品もメーカーの機械工場となります。
大型の設備がある工場や自動車の生産ラインのように組み立て・組み付けを専門的に行う工場もあります。
電子部品などを扱っているのが精密工場です。パソコンやスマホなどの精密品や家電製品、医療機器も精密工場になります。完成品にはキズ一つあってはいけませんし、完全クリーンな職場で埃や塵、汗の混入も厳禁の職場がほとんどです。
食品工場は、飲料品と食材から調理を行う工場までさまざまな種類があり、パンやお菓子、ケーキの工場、お弁当を製造している工場など基本的に消費者が口にする商品を扱っています。それだけに精密工場のようにクリーンな職場はもちろんですし、異物の混入や食中毒につながる要素は完全に除外しなくてはなりません。
また、冷蔵・冷凍庫での作業がメインになることも多く、夏でも完全防寒にしないとツライ環境の職場もあります。砂糖や味噌といった調味料や肉などの畜産物、魚や缶詰の水産物、乳製品などを扱っている工場も大まかには食品工場に分類されます。
工場によっては機械工場の一部になりますが、厳密には異なる職種の仕事もあります。たとえば、印刷工場や資材工場、板金工場、石油化学系工場、タバコ製造工場、繊維工場、木製品製造業、医薬品や化粧品製造業、鉄鋼関連など、日本にはさまざまな製造業の工場が存在しています。
メーカーでは自社工場の敷地内に複数の工場を持っていることがあります。材料を調達して熱処理を施す場合、熱処理工場と現場の生産工場を分けています。また、前工程の部品や材料を別の協力会社に発注しているケースもあれば、自社の工場で生産していることもあり、子会社化して一貫生産している工場も見られます。
工場にはさまざまな種類がありますが、基本的に多く募集されている工場を紹介していきます。
日本の工場といえばライン生産といえるほど、一般化しているのがライン生産作業です。大量ロットに対応し、コンベアで運ばれてくる製品を加工・処理していきます。搬送装置がつながって一本のラインになっているエリアもあれば、設備自体は離れて台車などで運ばれてきて生産するタイプもあります。
基本的には製品の測定や寸法補正、品質チェックといった簡単な機械操作をして製品を次の工程に送るのが仕事です。
社員になると生産作業の他に、ロットが切り替わると設備の段取り替えが発生し、レンチなどの工具を使って部品を交換し、次の製品を流すように準備をしていきます。
自動車工場に多く見られるのが組み立てと組み付け作業です。厳密に大がかりなのは組み立て作業でロボットが導入されている工場が多くみられます。それでも最終確認や細かい作業は人の手で行われているので、組み立て作業を担当する人が必要となります。
組み付け作業は機械部品を本体や装置に組み付ける作業を指しており、工場によってはどちらも同じ工程として扱っている場合もあります。また、組み付け・組み立て共にライン生産作業の中に工程として取り入れている工場もみられます。
工場では製品を運搬する作業が必要です。出荷エリアでは完成品をフォークリフトでラックに運んで、出荷先ごとにラックから取り出してトラックへと搬送します。入荷エリアでは工場で生産する製品の材料が納品されてきます。大きな工場では入荷する材料も多く、各工程に運び込まれていきます。
フォークリフトやウォーキーリフトなどを使って、製品を所定の置き場に運んでいくのが主な仕事になります。
どの工場でも検査作業は必須の工程です。完成品を出荷前に外観チェックや寸法誤差の確認などを行います。検査を通過すれば客先までノンストップとなりますから、万が一検査漏れがあった場合には重大なクレームにつながることがあるので、非常に重要な工程となります。
工場では検査を通過した完成品を洗浄して梱包する作業があります。洗浄の工程は機械部品を扱っている工場では必要となります。現場の工程で洗浄も兼ねている場合があるので、必ずしも検査の後とは限りません。
梱包は完成品を詰めていきます。コンベアで製品が流れてきて箱詰めする場合もあれば、箱が流れてきて製品を詰める作業もあります。手作業の場合もあれば、ロボットが代用することもあるでしょう。
工場勤務では倉庫作業の場合があります。仕分けやピッキングを行って出荷先に運びますが、物流センターのように段ボールを運ぶのではなく、完成品ラベルをQRコードで読み込み、完成品ラックに自動で搬入されるシステムを使うのが一般的です。
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工場勤務のメリットをみていきましょう。
工場勤務はスキルアップが見込めます。技能伝承がなかなか進んでいない工場が多く、中途採用でも仕事に積極性がある人はスキル向上が図れます。ほとんどの作業者は未経験からスタートしているので、中途採用でもどんどん上達することが可能です。
大手メーカーの自社工場はもちろんですが、中小企業の工場で作られている部品や製品は大手製造業に納品されていることが多くあり、関連会社として存在しています。大企業のグループとして働けるのは安心感があることでしょう。
コロナ関連や円高などで打撃を受けやすい日本企業ですが、大手メーカーはこれまで培ってきた実績や信頼が高く、そう簡単には潰れない底力があります。また、大手メーカーでは自社工場で中途採用を積極的に行っています。人材不足もあってどのメーカーも十分な人手が足りていません。期間工からとはいえ、大手企業の一員になれるのは大きなプラスとなるでしょう。
工場は大手企業のグループが多く、時間給に換算しても一般的に給与は高い部類にはいります。また、工場では生産性の関連から24時間フル稼働をしている職場が多く見られます。残業代で稼ぎたい人には工場勤務は最適な職場です。
さらに、これまで日勤だけだった人は、夜勤で大幅に収入をアップすることが可能です。もちろん、残業や夜勤は大変ですし、日中もいつもと同じように寝られるわけでもありませんが、それでもお金を稼ぎたい人にはありがたいでしょう。
有給休暇の取得は労働者の特権ともいえるものですが、実際に周囲の視線を気にして取りづらいという会社は日本に多くあります。ただ、工場勤務では大手の企業も多く、組合があるので有給休暇の取得を奨励しているケースがたくさんあります。
また、有給取得が遅い社員に対して、会社側から積極的に取得するように通知が来る工場もあるほどで、飲食店などのサービス業に比べると休みやすいといえるでしょう。
工場勤務では未経験からでも応募可能です。第二新卒や既卒者だけでなく、ある程度キャリアを積んだ年齢でも積極採用しています。昭和の時代みたいに職人肌のオジサンばかりがいるのではなく、DX化によってデジタル技術を企業がどんどん導入して企業風土を変革していますので、AIによってどの作業者が仕事をしても変わらない品質を保てるようになっています。
工場勤務のデメリットはどこにあるのかみていきましょう。
これはライン生産によく見られますが、工場勤務は同じ作業の繰り返しになります。覚えやすい反面、慣れてくれば時間の経過が長く感じられてしまい、集中力が続かない人には苦痛ともいえます。
メリットでもありますが、夜勤は給料面の楽しみがある一方で、やはり体への負担は大きくなります。人は日中起きているように体ができていません。特に1週間程度で日勤と交替するので、体が夜型に慣れてきたころに週末を迎えて日勤になるというのは慣れている人でもしんどいと感じるでしょう。
また、休日出勤がある工場も多く見られます。特に人手不足の工場は人海戦術で納期を間に合わせているケースがあります。毎週のように週末の休みを返上しなければならないのは予定も組めず、家族がいる人には子どもとの時間もなかなか取れないということもあるでしょう。周囲が出勤している手前、断りづらいという人も少なくありません。
工場勤務といえば人間関係でのコミュニケーションが苦手な自分に向いていると思う人も少なくないでしょう。しかし、実際には工場勤務は品質関連からコミュニケーションは必須です。
交替制になると同じ班のメンバーは仲間意識が強いですが、反対直の班員とはいがみ合いが絶えない職場が多くあります。残業時間でしか顔を合わせないので、普段の仕事内容が見えてこず、片付け方一つで文句を連絡ノートに長々と書いてくる人もいます。
直接言われるならまだしも、なかなか顔を合わせないのでノートなどを活用してくるのは精神的に堪える人が多いでしょう。
工場勤務に向いている人の特徴を挙げていきます。
工場では機械が必ず存在しています。機械いじりが好きな人にとって、工場勤務は楽しい職場ともいえるでしょう。自分が好きなように触れるわけではありませんが、スキルアップして段取り作業を覚えるようになると、設備のメンテナンスを担当するようになります。
空圧や油圧関連の部品や装置、シリンダーやベアリング、シール、スピンドル、モーターなど設備の構造を詳しく知りたい人には向いています。
デメリットの項目でも挙げましたが、工場勤務は単純作業の繰り返しです。ただ、これが好きな人や得意な人にとっては苦痛にならないでしょうから向いています。毎日同じことを規則正しく、ルールに則って進める仕事がやりたい人には工場勤務は向いていることになります。
集中力がある人というのは、作業中のちょっとした違いにも気づきやすくなります。単純作業が得意な人とは少し違い、品質や安全面でも気付ける人となります。「いつもと違うと感じたらすぐに報告する」というのは工場勤務の鉄則です。
これは作業をやらされている感で働いている人にはない感覚で、工場側としても重宝する人材といえます。品質のクレームや安全のケガというのはいつもちょっとした油断から生まれます。
集中力が続く人というのは、品質面や安全面でも工場に貢献できる人といえるでしょう。
工場勤務になるには求人誌から直接応募する方法と、転職サイトや転職エージェントを活用する方法があります。規模が大きい工場では転職サイトやエージェントに登録していることが多くあります。
直接転職して正社員になれなくても、期間工として半年勤務すれば正社員採用を検討している工場は多くあります。慢性的な人手不足のために優秀な人材は早く確保しておきたいからです。
ここでは工場勤務を希望している人にとって、有益となる情報をまとめてみました。工場勤務はさまざまな仕事があり、未経験からでもスタートしやすく、休暇も取りやすくて稼ぎやすいのが特徴です。
多少のデメリットはあるものの、メリットのほうが大きいといえるので、ここで挙げた工場勤務に向いている人の特徴に合えば一度検討してみてはいかがでしょうか。
