工場に欠かせない! 熱処理の基礎知識を解説

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機械部品を扱っている工場では、材料に熱処理の工程を入れている場合が多くあります。特に鉄を扱っている工場が多いので、熱処理は自社工場の他に協力会社へ外注していることもあるでしょう。

現場の製造ラインに入っていると、なかなか熱処理のことまで知る機会はありませんが、知識として蓄えておくことは何か不具合が起きたときの知識として役にたつこともあります。

そこで、熱処理の基礎知識について解説していきましょう。

熱処理の基礎知識

熱処理の基礎知識として、まずは熱してから冷ますことが挙げられます。熱してというのは金属を赤めることであり、数百度を超える高い温度で焼き入れと焼き戻しを行い、鉄を変形させて強度を高めていきます。

強くて硬い鉄を作る

歴史の勉強や漫画、ドラマなどで鍛冶(かじ)のシーンを見たことがある人もいるでしょう。刀鍛冶や鉄砲鍛冶は鉄を熱して柔らかくなってから叩いて変形させ、水で冷やして硬めていく工程があります。

このように昔から鉄を扱った製品には熱処理が行われてきました。熱処理をしないと鋼材をそのまま使うことになりますが、たとえ旋削してから研磨加工しても強さや硬さは満足できず、耐摩耗性も劣って割れや破損の要因となってしまうものです。

熱処理を施すことで強さや硬さ、粘りといった金属の強さを引きだし、耐摩耗性や耐衝撃性も向上させています。また、熱処理することで組織変化が起こり、錆びにくいという特徴もあります。

熱処理は「焼き入れ」「焼き戻し」「焼きなまし」「焼きならし」といった加工方法があり、それぞれ異なる特徴があります。一般的に700℃まで近づくと性質変化が起こり、組織も柔らかいオーステナイトになります。

工場によってはオーステナイト温度ともいわれますが、ここを冷却していくとマルテンサイトという組織に変わるのが特徴です。この組織変化を変態といいます。

焼きの温度や冷却する温度や時間も管理していますので、これらが適正でないと品質に重大な影響が出てしまいます。

熱処理には2つの分類がある

熱処理は大きく分けて2つの分類に分かれています。これを全体熱処理と表面熱処理といいます。全体熱処理はその名の通り鋼材全面を改質していき、先述したように焼き入れや焼き戻しを行って強化していきます。

一方で表面熱処理は、鋼材の表面のみ焼き入れて内部は組織が変化しないのが特徴的です。浸炭焼き入れでは表面に炭素を浸透させて焼き入れし、強度を高めていきます。また、窒化処理では表面にアンモニアを浸透させて変形を少なくする効果が見られます。

これらを表面硬化熱処理や表面改質熱処理と呼んでいます。

熱処理の種類

熱処理の種類をみていきましょう。

焼入れ

代表的な熱処理といえば焼き入れです。焼き入れを行う炉に鋼材を投入し、加熱して金属組織を変化させていきます。焼き入れは温度も900℃を超え、加工条件にもよりますが一定時間加熱することでオーステナイト化します。

ここで急速に冷却して温度を下げてマルテンサイト化すると硬度が高くなって鋼材も強靭になっていきます。

焼き入れは鋼材の組織変化を促し、材質を硬化していきますが、まだ脆さが残っているものです。このまま材料を研削していくと外部からの圧力に耐えられず、材料に割れや亀裂などの傷が入ってしまう恐れがあります。

そこで焼き入れとセットで焼き戻しを行い、靭性を高めていく必要があるのです。

焼き戻し

基本的に焼き入れとセットで焼き戻しが行われます。熱処理で焼き戻しだけ行うことはありません。焼き戻しは焼き入れの後工程として存在しています。

なぜ焼き戻しが必要になるかというと、焼き入れ後の鋼材はすべてがマルテンサイト化している訳ではありません。鋼材にオーステナイトが残留していると材質は脆くなってしまい、割れが起きてしまいます。ただ硬いだけの鋼材では脆いという難点があるので、再度加熱してオーステナイトをマルテンサイトに変化させる必要があるのです。

これによって硬いままで強靭性を高めていくのが焼き戻しの役割となります。焼き戻しは基本的に「低温焼き戻し」と「高温焼き戻し」があります。

低温焼き戻し…150℃から250℃くらいに加熱して、硬度を維持して粘りを増していきます。低温焼き戻しは劣化を遅らせて耐摩耗性に優れているのが特徴です。

高温焼き戻し…400℃~600℃くらいで加熱しておき、低温焼き戻しよりもさらに強靭な仕上がりにします。低温焼き戻しよりも耐性が求められる場合に用いられます。

焼き戻しは加熱後に空気で1時間ほど冷却するのが通例となっています。

焼きなまし

焼きなましは金属を柔らかくするために行います。鋼材が軟らかいと後工程で加工しやすくなるのが特徴です。加熱してオーステナイト化させますが、その後は取り出さずに炉の中で放置してゆっくりと冷却していきます。

時間をかけて冷却するので組織が均一に構成されていき、柔らかい金属になるのが特徴です。また、用途に合わせて焼きなましも加熱温度がそれぞれ異なります。ただ、サイクルに時間がかかってしまいます。

焼きならし

焼きならしは鋼材のひずみや歪みといった組織を整える役割があります。焼き入れと同様にオーステナイト化するまで加熱し、鋼材を取り出して空気中で放冷します。

硬度はそのままで、残留応力によるひずみや素材の歪みを抑えるのが効果的です。焼きなまし同様に加工しやすい金属となり、強度も向上します。また、焼きなましよりもサイクルタイムが早いのが特徴といえます。

焼き入れの種類

焼き入れにも種類があるのでみていきましょう。

全体焼き入れ

全体焼き入れは、鋼材の全体を硬くする方法でズブ焼き入れともいいます。内部までしっかりと熱を加えていきますので、鋼材が全体的に硬くなり、圧縮する力にも強い特徴な仕上がりとなります。

全体焼き入はワークサイズが大きいと全体的な焼き入れが時間もかかってしまいますが、小さいサイズになると芯までしっかりと熱が伝わるでしょう。

表面焼き入れ

表面焼き入れは鋼材の表面のみを焼き入れします。表面だけを硬くしていき、内部はそのままの硬度を維持していきます。表面焼入れには4種類の方法があります。

・高周波焼入れ…高周波の電磁波を使用して加熱

・炎焼き入れ…バーナーなどを使って炎を直接吹き付けて加熱

・レーザー焼き入れ…レーザー光を鋼材に照射して焼き入れ

・電子ビーム焼き入れ…真空状態にして電子ビームを照射して焼き入れ

浸炭焼き入れ

浸炭焼き入れは鋼材の表面に炭素を浸透させてから焼き入れします。ガス浸炭が主流で浸炭用のガスを充満させて焼入れする方法です。

炭素が浸透すると表面は硬くなり、その分だけ鋼材の耐摩耗性が向上します。また、強度が上がるので靱性にも優れた熱処理方法といえるでしょう。

浸炭熱処理すると鋼材の表面が硬くなるので、その後の工程で研磨・研削する際には焼けに注意が必要です。

真空焼き入れ

真空焼き入れは炉の内部を減圧して真空状態(もしくは近い状態)にして加熱し、窒素ガスを使って冷却していきます。真空状態ですから酸素がないので、酸化被膜ができません。光沢の優れた素材に仕上がるのが特徴です。

窒化焼き入れ

窒化焼き入れは素材の表面にアンモニアなどを浸透させて熱処理していきます。浸炭焼き入れ同様に加熱炉に窒化用ガスを充満させて鋼材を加熱させていくのが主流です。表面に窒素が含まれますので、強度を高めるだけでなく、熱処理後の変形を抑える効果があります。

鋼材が硬くなるので、後工程のときには研削しづらい面もあり、研削焼けにも注意が必要です。

炎焼入れ

バーナーで鋼材表面を加熱して焼入れします。全体焼入れよりもコストを抑えられますし、熱量が小さいので冷却も素早く簡潔に行えるのが特徴です。ただ、均一に焼入れするのが難しいので、高品質を保てない欠点もあります。

高周波焼入れ

高周波の電磁熱を使って焼入れしていきます。表面のみに電流が流れることから、鋼材の内部はそのままの柔らかさを維持できるのが特徴です。加熱するワークにコイルを巻きつけるだけですので、比較的簡単に焼入れできますし、短時間で品質を保てるメリットもあります。

熱処理のつらさ

熱処理の現場は高温の炉が多くありますので、とにかく暑いです。立ち仕事もプラスされるので、自然と体力を奪われていきます。工場によっては熱処理手当が支給される場合もありますが、それでも割に合わないと考える人もいるでしょう。

熱処理では騒音も感じますので、人によっては精神的にも辛い現場となり得ます。繁忙時期には交替勤務をしている部署もあるので、夜勤帯は疲労からくる眠気が襲ってきます。

また、熱処理はすべての機械部品で前工程が基本です。

熱処理作業が計画よりも遅れてしまうと、後工程の進捗に影響を及ぼしてしまいます。熱処理は製造業において非常に重要ですので、やりがいのある仕事といえるでしょう。

また、熱処理は高温の炉の近くで作業しています。体調が悪いときは目まいや貧血を起こしやすいものです。フラフラと足元がおぼつかない場合には脱水症状による熱中症の危険も含んでいます。

体調管理をしっかり行い、生活リズムを崩さないように気を付けましょう。

熱処理後のトラブル

熱処理が完了したワークは各工場の現場へ運ばれていきます。ここで研削(研磨)加工する際に熱処理要因でトラブルが起こることもあります。多いのが熱処理後の変形による歪みです。

鋼材を旋削してから熱処理する場合、おおよそ旋削では寸法公差が安定しても、熱処理で変形することによってワークの寸法がバラつき、真円度にも影響を及ぼすことが懸念されます。

熱処理時には分からないことでも、後工程になって判明する場合があるので注意が必要といえます。もちろん、検査成績を測定するので、硬度や寸法公差が後工程の基準をクリアしていることを確認しているものです。ただし、熱処理完了では全数検査をせずに抜き取り検査になってしまうことが多々あるので、後工程で発覚してしまいます。

熱処理の仕事に就くには

現在工場勤務の場合は、部署異動で熱処理の仕事に就くことも可能です。工場未経験や新たに転職を探している場合、転職サイトや転職エージェントを活用するのがおすすめです。

仕事がきつそうというイメージが付きやすい熱処理は、慢性的な人手不足になりやすい傾向といえます。

それだけに即戦力としても期待される熱処理ですので、興味がある人はまず転職サイトでおすすめの求人を確認してみましょう。

まとめ

熱処理は製造業に欠かせない工程で、鋼材を強くて硬く強靭性を保つためにも必要といえます。熱処理には代表的に焼き入れと焼き戻しがセットであり、熱して冷やすことで組織を変化していきます。

熱処理は暑くて体力的につらい仕事ですが、工場で作られている製品の多くが熱処理で加工されているほどやりがいもある仕事です。

 

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