工場勤務は未経験からでも正社員として就職しやすいため、安定した仕事に就きたい人や無職・ニートなどから社会復帰をめざす人が応募する求人として人気があります。
ですが、そこまで強い志望動機がないため、応募しても内定が出るのか不安という人も多いようです。
工場勤務の面接で志望動機は重視されない傾向にある
そもそもの話ですが、工場勤務に限らず、昨今の採用市場では志望動機をそこまで重要視しない傾向が強まっています。というのも、大抵の場合、以下のような紋切り型の答えしか返ってこないからです。
- 御社の理念に共感しました
- ものづくりに携わってみたいと思ったからです
- 手に職をつけたかったからです
- 体を動かす仕事が好きだからです
(参考)
*志望動機もESもいらない「新しい就活様式」。大学生とカジュアル面談をする企業の狙い
https://news.yahoo.co.jp/articles/5818e425b9c8e541713d3a29128038edd5ca2d4d
*志望動機に異変アリ ~軽視する企業が続出!? その陰にあるもの
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO39175640Q8A221C1000000/
*志望動機に「愛」はいらない(面接道場)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31227360R30C18A5XS5000
こうした志望動機が好まれない理由
たとえば「御社の理念に共感しました」。定番ともいえる志望動機ですが、大抵の会社の理念は立派なので、共感できるようになっています。そのため、単に「共感しました」といわれても、採用担当者は「そうですか」と思うだけです。
「ものづくりに〜」もよく耳にする志望動機ですが、採用担当者は「それなら他の工場でもいいのでは?」と思ってしまいます。「手に職をつけたかったから」「体を動かす仕事が好きだからです」も同じですね。
基本的に、こうした定番の志望動機は「中身がない」などの理由から好まれません。ですが、「他の業界より楽に正社員になれる」などの理由から応募してくる人が多い工場は、そもそも工場の仕事を希望している人が少ないため、志望動機がこうした紋切り型のものになりがちです。
そのため「どうせそういう答えしか返ってこないから、聞くだけ時間の無駄」と判断し、また志望動機と実際の仕事ぶりはそこまで直結しないため、そもそも志望動機を聞かない工場も増えています。また、仮に志望動機を聞かれた場合、こうした抽象的な受け答えはできれば避けましょう。
志望動機を考える上で大切なのは、差別性と具体性
志望動機を準備する場合、大事なのは「差別性」と「具体性」です。具体的には、
- 差別性:他の会社の工場ではなく、その会社の工場で働きたいと思った理由
- 具体性:その差別性を感じる根拠となった、自分の過去の体験
この2つを意識して考えましょう。ただ、両方ある必要はありません。どちらか1つだけ盛り込まれていれば、基本的には大丈夫です。
差別性がハッキリ現れている志望動機としてわかりやすいのは、「御社の社員の方に話を聞いて、一緒に働きたいと思いました」のようなものです。他の会社ではなく、その会社という明確な差別性があります。
ただ、こうした志望動機を用意するのは簡単ではありません(まず不可能でしょう)
そこで次善の策として、具体性を交えた志望動機を考えてみると良いでしょう。これは、その会社で働くことと親和性がある自分の過去の経験をベースに志望動機を作る方法です。たとえば「こういう技術を身につけたので(=過去の経験)、それを御社のこういった仕事で活かしたいです(=親和性)」のようなイメージです。「こういう作業が好きなので(=過去の経験)、それに近い御社の仕事がしたくて応募しました」なども、わかりやすい志望動機です。
この答えも「それなら他の工場、会社でもいいのでは?」と思われかねませんが、工場が求めているのは、なにより「ちゃんと仕事ができるか」です。そこが“具体的に”伝われば、人手不足に悩んでいる業界でもあるので、志望動機が少し甘くても大きなマイナス印象にはなりません。
あくまで「仕事内容」と親和性がある志望動機にすること
ただし、親和性はあくまで「仕事内容」に対する親和性にしましょう。
特によくある誤りが、その会社が作っている「商品・サービス」に対する親和性を軸とした志望動機です。たとえば「御社のこの商品を長年愛用しています(=過去の経験)、だから大好きな商品を作る仕事に関わりたいです(=親和性)」のようなものです。これは、あまり好ましくありません。
こういう、いわゆるファンアピールは、採用担当者によって響くかどうか大きく分かれます。場合によっては、単に憧れだけで応募しているミーハーのように見えて、悪い評価につながる可能性も高いです。あくまで、私が過去に採用担当者から話を聞いた印象ですが、ファンアピールは「ありがとうございます、と思うだけかなぁ」「そういう人は社員じゃなくて、ファンでいてもらったほうがいいから、採用するのは稀」という反応が多く見られました。
またファンアピールが響く場合も、よほど情熱を感じられるレベルのアピールでないと難しいです。そこまで熱烈なファンでない場合、付け焼き刃なアピールと取られかねないので、避けたほうが良いです。
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とはいえ、そこまで難しく考える必要はない
では、具体的にどのような志望動機だと良いのでしょうか。
実は、ここまで書いてきたことは「理想」です。実際のところ「御社の作っている商品が好きです」「ものづくりに興味があって、応募しました」という弱い志望動機でも、ほかの受け答えが問題なければ、普通に内定は出ます。
というのも、先に書いた通り、工場は「楽に正社員になりたい」「ほかの仕事に比べて、未経験でも内定が出やすいから」「お金が必要だから」といった理由で、無職・ニート・ジョブホッパーだった人がたくさん応募してきます。そして、それを工場側もわかっています。そのため、そこまで志望動機に重きは置いていません(大手中の大手企業となると、さすがに話は別です)
また、工場は人手不足が常態化しています。加えて、業務が平準化されてライン作業(流れ作業)で進められるので、知識やスキルも必要ありません(だから未経験OKの求人が多いです)
そのため大事なのは以下のような点です。
- すぐに辞めない
- ルールや仕事のやり方をちゃんと守れる
- 夜勤に入れる
- ある程度の体力がある
志望動機には、このあたりを交えるのも良いでしょう。コツコツやる仕事が得意(2につながるアピール)や、体を動かす仕事が好きでバリバリ働きたい(3と4につながるアピール)などは、採用する側の安心感につながります(ハズレ人材を引かない可能性が高いので)
ちなみに上の4つのうち、採用担当者にとって最も響くのは1の「すぐに辞めない」です。工場勤務は離職率も高いので、辞めない人材を欲しがっています。
あえてストレートに本音を伝えるのも一つ
これは諸刃の剣ですが、意外と通用する志望動機として「本音を素直に伝える」があります。私の知人の中にも「いま無職で、どんな仕事でもいいので働きたいんです」と面接官に伝えて通過した知人が結構います。
以前、私のいた工場の採用担当者に話を聞いた時、この手の「どんな仕事でもいいから働きたい」という人は、他社に入れないから辞めない(正確には辞められない)、つまり長く働いてくれる可能性が高いから、採用率は上がると言っていました。
どうしても志望動機に迷ったり、そもそも準備できなかったりしたら、思いをストレートに伝えるのも一手かもしれません(ただし、とてもリスキーな方法であることは覚えておきましょう)