5月14日、カリフォルニア州アラマダ群が、自動車メーカー・テスラの工場再稼働を認めると報じられました。同郡衛生担当の求める追加の安全対策を講じれば、正式に認可されるとのことです。
米テスラの電気自動車工場、地元自治体が再開容認
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59071110U0A510C2000000/
同社CEOイーロン・マスク氏は以前より、カリフォルニア州にあるフリーモント工場の再稼働を巡って、同郡と対立。規制緩和が進む他の自治体に対し、独自基準で厳しい制限をかけている同郡の対応を批判し、訴訟問題にまで発展していました。またロイター通信によれば、マスク氏は同郡の一連の対応を不服とし、本社をテキサス州かネバダ州に移すとも公言していました。
(Reuters) – Tesla Inc sued local authorities in California on Saturday as the electric carmaker pushed to re-open its factory there and Chief Executive Elon Musk threatened to move Tesla’s headquarters and future programs from the state to Texas or Nevada.
(Tesla sues California county in virus factory closure fight, threatens to leave|reuters より)
その後の5月11日、マスク氏は同郡の制限に違反して工場を再稼働、従業員の出社を再開。自身のSNSで「逮捕も覚悟している」とコメントしていました。
この騒動に関して、5月12日、トランプ大統領がTwitterで「カリフォルニア州は、すぐに再稼働を認めるべき」とマスク氏を援護。この鶴の一声が群を動かしたと見られています。
(Tesla sues California county in virus factory closure fight, threatens to leave|reuters より引用)
SNSでは「従業員の給料を払うには稼働せざるを得ないか」「雇用優先で妥協したのか?」などの声
今回のテスラの動きについて、SNSでは「難しい局面」「雇用確保のために妥協したのかも」などの声が見られました。マスク氏は再稼働を認めなければ本社を他州に移すと強気な姿勢を見せており、同社が生み出す雇用が失われる危機感に自治体が再開を容認した可能性はありそうです。
また再稼働が決まった以上、「ちゃんと稼働できて、他社や他国によって良いお手本になるといい」など期待する人も。一方で、カリフォルニア州はトランプ大統領と対立する民主党の支持基盤のため、「民主党が地盤のカリフォルニア州に喧嘩を売っている彼の様です」など政治的な思惑を読み取る意見も見られます。
いかなる選択にも批判が伴う現状 「誰も彼を責められない」という声も
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界各国で外出自粛や事業縮小が相次ぐ中、経済活動の再開と感染拡大防止対策の両立を求める声が広がっています。パンデミックが落ち着かなければ、命が脅かされる一方、経済が止まったままでは収入が途絶え、生活が立ち行かなくなりかねません。
いかなる選択もトレードオフな現状、マスク氏の決断には批判も集まっていますが、一方で「リスクを理解した上での覚悟を持った行動なら誰も責めれないだろう」と理解を示す声も聞かれます。
トヨタやゼネラル・モーターズなども北米での生産を再開しており、感染拡大を防ぎつつ工場を正常に稼働できるのか、自動車メーカー各社の今後の動きが注目されます。