工場転職ガイド 工場勤務の実態、溶接やフォークリフトなどの資格やピッキング作業など工場勤務全体を紹介
工場勤務にはさまざまな雇用形態によって成り立っています。主に正社員が多いですが、契約社員・パートタイマー・アルバイト・派遣社員とそれぞれ特徴も異なります。
今後の転職活動において、雇用形態別のメリットや権利などをしっかりと把握しておくのも大切です。
そこで、工場の雇用形態別の特徴をみていきましょう。
まずは正社員の特徴と仕事内容をみていきます。
正社員は会社と無期限の雇用契約を交わし、労働条件や就業規則が明確にされています。一般的に解雇することは難しく、事前通知や解雇予告手当が必要となっています。
労働時間は8時間で週40時間が適用されており、法定休日が週1日以上と定められています。
会社によって異なりますが、一定の日数を就業すれば有給休暇も付与されており、原則として自由に取得することが可能です。
夜勤や残業、交替勤務などの手当が充実しており、毎月の給与も安定しているのが正社員といえます。
実際に正社員は業務の中枢を担います。製造ラインでの生産活動や段取り、保全、品質管理も担当しています。
部署によってデスクワークがメインとなる人もいますが、生産現場へ配属されると機械の特性や製品精度の見直しなど、生産活動が円滑に行えるように改善活動を行います。
デスクワークも生産技術や品質保証などのように、技術開発や品質改善について日々研鑽を重ねていき、顧客が満足できる製品を提供できるようにするのが基本活動です。
また、長期的なプロジェクトを任されることもありますし、スキルアップやキャリアプランを形成するのも正社員の特徴といえます。
責任感も強くなり、期間工や派遣社員の管理を担当するのも正社員の仕事です。正社員ともなれば、班長や係長、課長とキャリアを重ねていけますし、転職でも有利となるでしょう。
工場の業種によって、世界情勢や経済動向にも左右されますが、基本的に正社員はどこの工場でも安定性があるので、給与や福利厚生の条件が優れています。製造業の労働組合は強い傾向にあり、待遇改善にも貢献してくれます。賞与や社会保険、退職金なども充実している工場が多くあり、定期昇給も期待できるでしょう。
各種ローンも期間工や派遣社員よりも審査が通りやすく、自動車や住宅といった大きな買い物も他の雇用形態と比べて圧倒的に有利といえます。
その反面、正社員は企業にとってコストがかかってしまい、業績が悪化するようになると、新卒の採用を見送ることは多々あり、早期退職を募るケースも見受けられます。
工場での契約社員は期間工と呼ばれており、生産ラインで多数の人たちが活躍しています。
期間工は契約社員と同じく有期雇用契約となります。最初の契約期間は3か月や半年などで、満期になるにつれて企業と契約更新をかわします。
1年以下の契約を更新していき、最長3年間の契約が可能です。雇い止めを防ぐために無期限雇用への転換が認められるケースもあります。
工場での期間工は生産ラインや検査などに配属されることが多く、簡単な単純作業を繰り返すことがほとんどです。
期間工が配属されることで、正社員を違う仕事に就けることも垣間見られ、初心者でも安心して作業できるのが特徴です。
需要が見込める工場の場合、期間工を一気に増やして生産ラインを止めないようにするのが多々あります。
専門分野に長けた人材を契約社員で補うケースもありますが、ほとんどの工場では大手や中堅も含めて、需要の見込める2～3年のプロジェクトで未経験者を含めて大量採用するのが実情といえるでしょう。
期間工は契約期間が終了すると、企業側の判断に委ねられます。即戦力となりそうな人材はライバル工場への流出を防ぐためにも正社員への採用が行われています。
近年の工場では中途採用者は期間工からスタートすることも多く、勤務態度を含めて精査し、正社員への見込みがあれば大企業への就職も大いにチャンスはあります。
だれもが知っているような大手製造業では、難関大学卒業でないと新卒採用は難しい傾向にあります。それでも、期間工からだと高卒でも中途採用で正社員の就職が期待できるのです。
ただ、簡単に採用される訳でもなく、社内規定の採用試験を設けている企業も多いでしょう。正社員の話がない場合、そのまま契約延長するか、次の期間工の職場を探すのか、期間工にとって悩みどころといえます。
フルタイムではなく、短時間労働者として契約するのがパートタイム社員です。工場側としても基本的に1年以上の長期契約を見込んで採用しています。
正社員と同様の労働基準法が適用され、働く時間に応じて有給休暇の取得や社会保険も受けられます。小さな子供がいる主婦やフリーター、夜間学校に通う人など様々です。
短時間となると、現場の生産ラインに入るのは厳しい職場も見られますが、検査や検品、出荷業務など、単純作業での業務を任されることが多くあります。
パートタイム社員も週5日勤務など、正社員と同様の働きをすることもあり、賞与が支給される工場もあります。
パートタイム社員の仕事内容は、それほど難しい作業があるわけではありません。現場の生産ラインに配属される場合もありますが、そのほとんどが正社員や期間工の補助作業がメインとなります。
検査工程以降になると、活躍の場もたくさんあり、専門的な分野で作業するよりも、検査・洗浄・検品・仕分け・出荷作業を担当しています。
デスクワークの補助作業を務める場合もあり、品質保証や生産技術の専門職であっても、検査や事務系の補助作業を任されることがあります。
また、工場の規模や部署によっては夜間の作業もありますので、コアタイムで仕事を任されているものです。日勤や夜勤でもフルタイムで働く人たちをサポートする作業が多いでしょう。
工場勤務が初めてで不安な人にもパートタイム社員の雇用形態はおすすめです。工場側もお試しで採用することもあり、人件費の抑制になるので積極採用しています。
まずはパートタイムで契約しておき、慣れてきたら期間工として生産ラインで作業するということも可能です。
フルタイムよりも短い時間になりますが、それでも社会保険が適用されやすく、福利厚生も部分的に提供されるなど、人によってはメリットの多い雇用形態といえます。
工場ではパートタイムと違って、短期間のアルバイト契約もあります。食品工場などでは、クリスマスや年末年始のシーズンで超短期アルバイトを募集しているのを見かける人も多いものです。
ケーキを製造している工場では、補助作業や梱包作業で数百人単位のアルバイトをクリスマスシーズンの1～2日で採用しています。
短期アルバイトは時間給となっており、主婦が勤めやすい日勤のコアタイムや会社員の副業や学生も仕事しやすい夕方から夜勤帯の仕事など多岐に渡ります。
コンビニやスーパーなどへ提供する食品関連工場では、夜勤帯の作業が多くなるので、仕事帰りの会社員が短時間だけ勤務するのも珍しくありません。
仕事内容は単純作業を任されることが多くなり、週1～2回の勤務でも携われるようになっています。
契約期間も数日から数か月など、希望に合わせて柔軟な対応をしてもらえます。工場側にとっても、短時間の補助作業が必要な職種において、アルバイトは重宝しています。
短期の雇用形態で、数時間から数カ月にわたる仕事が一般的です。学生や副業を希望する人が多く働いています。
派遣社員を多く採用している工場もあり、効率よい生産体制には欠かせない存在です。
派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでおり、配属される工場先とは給与が異なります。派遣期間は派遣先企業と派遣元企業で締結されており、その期間が満了すると、派遣社員は派遣元企業から別の派遣先を紹介されます。
就業時間は派遣先企業に準じており、食堂の使用や駐車場、ロッカーなども同様に使えることがほとんどです。
派遣社員の仕事内容は、派遣先企業の担当者から直接指示されますので、配属先の職場で毎日確認をします。
工場では簡単な業務内容を任されることが多く、期間工と同様の作業を行っています。工場側も派遣社員に対して、初心者でも作業できるような仕事を担当させるようにしており、これは派遣社員が辞めてしまっても、すぐに違う派遣社員が適応できるようにするためです。
専門分野に特化した技術者の派遣社員だと、即戦力として特定の業務を担います。新規プロジェクトごとに契約を結ぶこともあり、このような派遣社員は時間給も高額となります。
ほとんどの工場では単純作業を専門的に任せており、パートタイムやアルバイトよりも長時間働ける派遣社員を重宝している部署も多く見られます。
派遣社員の雇用関係は派遣会社にありますが、業務指示は派遣先の工場から受けます。福利厚生は派遣会社から提供され、社会保険も適用されています。
ただ、派遣期間が満了すると仕事が見つからなければ仕事をする機会がありません。雇用が不安定で特定の技能を有していない場合、景気情勢によっては仕事がないリスクもあり得ます。
単純作業を任される派遣社員の場合、長期的なスパンで見ると、年収やキャリア形成において正社員よりも厳しいと言わざるを得ません。
長く勤めていると、派遣会社の正社員に採用されることもありますし、派遣先企業からも声がかかる可能性があります。
派遣先のヘッドハンティングは問題となりますので、会社同士の話し合いによって期間工になれる場合があります。
工場での仕事に不安がある人も少なくありません。製造業が未経験の場合、立ち仕事や油の臭い、さまざまな環境面で継続するのが困難に感じる人もいるでしょう。
工場も業種によって全く仕事内容が異なりますし、暑さや寒さなどの環境も全然違います。自分がどのくらい仕事ができるのかを判断するのに、まずは派遣社員やパートタイムで試してみるのもおすすめです。
もちろん、将来的な視野でいくと正社員を目指したいところでしょうが、長く続けるためにも自分が工場勤務に適しているかどうか見極めておきましょう。
工場における雇用形態は、企業戦略や需要によって必要となる人材が異なり、経済状況にも左右されてしまいます。
安定した雇用と将来性を目指すなら正社員を目指し、期間工から正社員へステップアップするのも可能です。
期間工やパートタイム社員、アルバイト、派遣社員はそれぞれ工場にとって重要な役割があります。自分のスタイルに合った雇用形態を選択するようにしましょう。
