工場でのQC活動の重要性とは?チーム力の底上げと改善を担う手順を解説!

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製造業ではQC(Quality Control)活動を実施している工場が多く見られます。品質管理の一環であり、小人数でチームを組み、改善活動につなげて生産性向上や従業員の意識改革を目指します。

QC活動が古いという人もいるでしょうが、現実にはまだまだQC活動を実施している企業は多いものです。企業によっては自社大会を設けて賞金を出しているところもあります。

基本は品質管理の改善がメインテーマとなりますが、工場におけるQC活動について解説していきます。

工場におけるQCの重要性とは

まずは品質管理から説明していきます。工場ではQCの概念がとても重要です。安全第一なのは間違いありませんが、品質管理も顧客満足度(CS)を上げるためにも避けては通れないものといえます。

近年では大企業の品質問題が取りざたされており、データの偽装や改ざんが連日ニュースで報道されていました。これは決して他人事ではなく、品質についてしっかりと考え、自社に置き換える必要があります。

末端の現場社員がそんな大きな問題は自分に関係ないと思ってしまえば、そこから不具合品が流出して顧客の信頼を損ねる大問題につながります。

機械工場では製品データが適正本数分だけ規格に入っているか、食品関連工場では消毒・温度管理が徹底されているか、これらは一例ですが、しっかりと管理できていないとクレームになる可能性があります。

全従業員が品質についてしっかりと意識することが大事です。しかし、なかなか座学の時間も取れない状況だと、品質について勉強する機会もありません。

そこで、品質管理の勉強も踏まえて、従業員の意識向上のためにQC活動を実施して、全員参加の品質向上を目指します

品質管理の内容

品質管理は「工程管理」「品質検証」「改善」の3つから成り立ちます。そのどれも重要で、QC活動の説明の前にこの3つの内容をそれぞれみていきましょう。

工程管理

工程とは入材してから加工、検査、出荷までの各工程を指しており、特に加工と検査を重要視しています。工場の部署によっては一つの製品ばかり作るのではなく、複数の製品を加工することもあるでしょう。製品によって工程が異なる場合もありますし、それぞれの工程できっちりと作業が行われているのか、手順や要領を明確にしないといけません。

もちろん、該当ロットが工程通りに進捗されているのかも見える化されている必要があります。

品質検証

材料の受け入れ検査や加工中の製品精度、検査後の完成品検査など不具合品が次工程へ流出しないために適度に品質を検証する必要があります。

小まめに検証することで大きなクレームとならないように歯止めができます。品質検証は現場が行うのではなく、第三者がデータ管理をするのがベストです。ただし、品質検証が完了しないと次工程に進めないというのは、夜間も稼働している工場だと割に合いません。

夜間も品質管理のスタッフを常駐させるか、品質データを記録しておいて、翌日に対応させるかなど生産を止めない工夫も必要でしょう。

改善

品質の改善は現場の製造工程だけではありません。材料の取り代削減や材質変更の検討・依頼など、協力メーカーと協業して行うこともあります。品質は年々厳しくなるものであり、緩くなるのはほとんどありません。

そのためにも作業者一人一人が品質への意識向上における改善活動が重要となります。

工場におけるQC活動の役割

QC活動は品質管理の改善活動になります。10人前後の小規模集団でチームを組み、自社で製造している製品の品質改善に取り組むのが基本です。サークルリーダーや書記を決め、チームのテーマを工場や職場の方針に沿ったものに合わせて選定し、現状調査や目標、要因解析、対策の検討・実施、効果の確認、歯止めを行っていきます。

普段の職場には班長などの上長がいますが、QC活動の進行役はサークルリーダーです。テーマを決めるところもそうですが、自分たちで決めて、相談しながら課題を解決していくという全員参加で意見を出し合って達成感を味わうのに意味があります。

工場におけるQC活動の役割は、課題解決能力やコミュニケーション力の向上、組織力の向上や活性化が見込めるようになるでしょう。

QC活動の基本は自主性です。自発的に取り組むのがベストですが、なかなかチームで全員参加を自主性で取り組むというのは大変といえます。そこで、企業が率先してQCサークルの活動期間を半期から1年の範囲で取り決め、会社の業務に組み込むようにして活動を促しているのがほとんどです。

工場でのQC活動の手順

工場でQC活動を行う手順について説明していきます。まずはメンバーを決めますが、多くは各部署に班がありますので、5~10人前後でチームを組むことになるでしょう。このあたりは上長がチームメンバーを決めることが多くあります。

サークルリーダーやチーム名の決定とテーマの選定

チームメンバーが揃ったら、会合の日取りを決めます。自主性といっても、現在は業務時間内に行うことがほとんどです。

最初の会合ではサークルリーダーや初期を決めて、チーム名も意見を募ります。毎回チーム名を変えることもあれば、そのまま使う場合もあるでしょう。チーム名はもっとも意見を出しやすいものなので、工場に関係するものから個人的なもの、ゲームやマンガのキャラクター、必殺技など、誹謗中傷に当たらないものであれば何でも構いません。

まずは意見を出し合うことから始めましょう

チーム名も決まったら次はテーマの選定です。いきなりテーマと言われても何をしていいのか分からないといえるので、工場や職場の方針に沿って考えるのが無難といえます。

職場の方針は課長や係長が決めた半期や1年以内に取り組む課題が掲示してあり、具体的な数字が記されているものなので、不良廃棄率の削減や稼働率の向上、人材教育が挙げられます。

これらの中から取り組みたいものを選ぶのが決めやすいのですが、まずはその方針の中で職場の困りごとを挙げていくのが進めやすいでしょう。そして、いくつかテーマを挙げていき、その中から実現性や上長方針、コストなどを評価(点数)していき、取り組むテーマを選定します。

QCは品質管理の意味になりますが、毎回同じテーマになると飽きも起こりやすく、段取り短縮や時間稼働率向上といった生産性向上をテーマにするのもベストです。もちろん、5S3定を実施して、普段はなかなか行えない清掃や棚の整理なども立派なQC活動といえます。

さらに、購買品の見直しなど原低になりそうなテーマも歓迎されます。「品質管理」・「生産性向上」・「原低」・「5S3定」が大元となる4テーマとなり、どれも改善活動の一環といえます。

活動計画

テーマを決めたらある程度の活動計画を組み立てます。半期だと4月にテーマ選定と現状調査、5月に目標設定と要因解析、6月に対策の立案、7月~8月に対策の実施、9月に効果の確認と歯止め…という風に、大まかな内容を設定しておきます。

繁忙期にはなかなか会合も開けないので、活動計画のときにあらかじめ時間と場所を決めておき、この時間にはみんなが会合場所へ集まるようにしておきましょう。いつも同じ曜日で同じ時間帯というのが分かりやすいものです。

現状調査と目標設定

次は現状調査です。基本的には前期と比較するのが分かりやすくなります。テーマが段取り時間の短縮になると、前期の段取りにかかった時間を調べてまとめます。廃棄不良率の削減なら、前期ワースト3位を取り上げます。

5S3定になると、そのエリアの現状をポイント制に評価しておき、対策後にまったく同じエリアで比較してどれだけ改善できたかをポイントで評価します。

評価は自分たちでやるよりも、第三者に見てもらったほうが分かりやすいので、上長などに依頼するようにしましょう。

現状調査のデータが揃ったら、グラフやパレート図で表示させると分かりやすくなります。この時模造紙を使って書き出すと周囲のメンバーにも見やすいので、会社から支給されるものを使って作成しましょう。

現状調査が完了したらどの程度達成するのか目標を設定します。よく混同しやすいのがテーマと目標が同一になっている考え方です。

テーマはサークルが何をやるのか方針を決めておき、目標はどれだけ達成するかを決めます。たとえば、不良廃棄率の削減がテーマの場合、目標は「前期ワースト1位の打ちキズを20%削減」とします。

段取り短縮なら「前期の30%削減」など、5S3定なら「15%のポイントUP」といった具合に、現状調査の結果を踏まえて何をどれだけやるかが目標設定です。

目標設定は数値にしたほうが分かりやすくなります。

要因解析・なぜなぜ分析

目標の設定が終わると、なぜ問題になっているのかを調査します。要は原因の深堀です。真の要因を探ることで対策案が浮かびやすくなります。

これには魚の骨といわれる要因解析やなぜなぜ分析を用いてやるのが分かりやすいでしょう。

魚の骨は中央に大骨となる横線を引いて、大枝を4つ斜めに伸ばします。この4本の骨は4Mといわれる「人(Man)」「機械(Machine)」「材料(Material)」「方法(Method)」になります。

大骨の頭となる方向に矢印を持ってきて、大元の問題点を縦に書き出し、どこに要因があるのかを書き出していきます。1つの要因について枝はどんどん増やしていって、最終的な要因を3~4つほど抽出します。

なぜなぜ分析では、問題がなぜ発生するのかを深堀していき、5つほど「なぜ」を繰り返す手法です。こちらも大元の問題点を縦に書き出して、「なぜそうなるのか」を挙げていきます。

1つの「なぜ」に対し、さらになぜそうなるのかを繰り返して真因を探ります

たとえば、「打ちキズが多い」問題点に対してみていきましょう。

①なぜ「ワーク同士が干渉する」→

②なぜ「設備の出口シュートから排出コンベアの乗り継ぎで詰まる」→

③なぜ「ワークが縦ではなく横向きになっているときがある」→

④なぜ「加工完了後に向きがバラバラになっている」→

⑤なぜ「ワークの向きを揃えるガイドがない」

ここではこの⑤が真因となり、これを対策していきます。このように深堀していった「なぜ」は5回繰り返す必要はありません。あくまで目安であり、3回や4回でも大丈夫です。要は真因が何なのかが分かればいいのです。

また、①のなぜは3つほど挙げるようにしておきます。4Mのどれが真因になるのかまだ分からない状況なので、3つほど深堀して真因を探りましょう。

対策の立案・実施

真因が見つかると今度は対策の立案です。魚の骨やなぜなぜ分析から導きだした問題点の要因を表にして評価していきます。どれか1つを対策していきますが、評価項目には効果やコストがあります。

どれだけ効果が上がる対策だったとしても、コスト面で実現性が無理となれば評価は下がります。ただ、電気回路のプログラム変更など、自分たちだけでは無理な場合は生産技術など他の部門に協力を仰ぐことで周囲を巻き込むようにしましょう。

コミュニケーション力を向上するのはQC活動の理念でもあります。

また、対策の立案は納期も重要です。すぐに対策できる場合と、部品を新たに製作する場合には見積もりからスタートしないといけません。

対策が決まれば、実際に現場で実施していきます。対策を施した設備やエリアというのは必ずビフォー・アフターが分かるようにしておき、対策の効果が見えるようにしましょう。

効果の確認と歯止め

対策後は効果の確認です。これは目標設定と同じく数値で分かるようにします。実際に達成か未達かを書き出し、反省点や次回への課題としてまとめます。また、達成した対策は歯止めとして標準化しておき、今後も風化しないようにしましょう。

QC活動の問題点

QC活動が達成することは改善につながるのでいいことばかりに見えますが、実際には問題点もあります。この問題点のおかげでQC活動は時代遅れなどと言われることもあるほどです。どのような問題点があるのかみていきましょう。

サークルリーダー1人が資料作りしている

なかなか会合を開けない部署の場合、サークルリーダーが資料作りを1人で行い、やってる風に見せて全員参加ができてないケースがあります。

このような場合は対策を実施しても資料作りがメインとなっているので、モチベーションも上がりませんし、サークルリーダーにだれもなりたがりません。

発表のために結果から始める

QC活動は工場内で発表があり、そのための資料作りをしていることがあります。活動自体を達成で終わらしたいがために、できそうな結果から逆算して資料作りに奔走することもあるほどです。

そうなると、もはや改善活動というよりかは、資料作りのための意見を出し合う会合となってしまい、QC活動本来の役割である組織力の向上が果たせなくなります。

業務なのか曖昧

QCサークルは自発的に取り組む活動なので、本来は業務終了後に自主的に取り組むものと認識している事業所もあります。しかし、通常業務が終了後に会合を開いても今のご時世だとサービス残業と言われますので、メンバーも集まりません。

また、資料作りに何時間も残業して手当がつかないようであれば、従業員の不満も募るばかりでモチベーションは下がる一方となるでしょう。

業務の一環として認めて工場側がサポートする体制が必要

これらの問題点は非常に深刻で、1つのサークルでモチベーションが低い場合、恐らく他のサークルも同じように感じているはずです。

解決には工場側がしっかりサポートする体制作りが重要といえます。まずは業務の一環として認めておき、通常業務時間内に会合を開くようにしましょう。

サークルリーダーも向いていない人が必ず存在しています。周囲のサポートや上長が会合に参加するなどして、全員の意見を出し合えるような雰囲気作りを進めていくようにします。

QC担当者など事務局側は、QC活動の研修を実施してサークルリーダーとしての進め方を学ぶ機会を設けるようにしましょう。

まとめ

QC活動は品質改善の一環として行われ、達成による従業員のモチベーションアップや生産性向上、組織力の向上などが見込めます。

資料作りだけのやっつけ仕事にならないように、全員参加で取り組み、こで紹介した手順を持って改善活動につなげてください。

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