工場転職ガイド 工場勤務の実態、溶接やフォークリフトなどの資格やピッキング作業など工場勤務全体を紹介
世界中の製造業に欠かせないのが半導体です。半導体不足などがニュースで取り上げられているので、よく耳にすることもあるでしょう。
そもそも半導体は生活する上で非常に広く使用されており、それを作る工場で働くのはやりがいもあるものです。
そこで、半導体の工場で働きたい人を対象に、半導体の仕組みや組み立ての仕事についても解説していきます。
半導体という言葉を説明しろと言われてもなかなかできないものです。何となく言葉で知っていて、パソコンに使われているといった程度の知識の人も多いでしょう。
半導体は導体と絶縁体の中間の性質を持っています。
導体＝電気を通す
絶縁体＝電気を通さない
この２つの性質は聞いたこともあるでしょう。特に工場勤務をしている人の場合、電気に触れないように絶縁体の手袋を着用しているケースが見られます。
半導体はゲルマニウムやシリコンといった物質で、温度など特定の条件で導体と絶縁体の制御をすることが可能です。電気を通すか通さないかを制御できるのが半導体の特徴といえます。
半導体はパソコンを始め、テレビやスマートフォン、エアコンや洗濯機、冷蔵庫といった家電にも広く使われており、生活する上で身近な存在といえるでしょう。電子機器の登場には半導体の存在が必要不可欠といえます。
半導体はシリコンなどの物質を指していましたが、近年では集積回路のICやLSIを称して使われています。
いってみれば、半導体工場というのは電子部品のICやLSIを製造することになります。
半導体不足といったニュースがよく話題になりましたが、これは新型コロナウイルスの蔓延によるテレワークの増加など、スマホやパソコン、タブレットといった電子端末が急速に需要増となりました。
しかし、生産工場のロックダウンによる供給停止や中米の貿易摩擦の影響もあって需要に対して供給が追い付いてないことがあったからです。2024年以降は半導体不足も落ち着いていくことが予想されています。
それでは半導体工場での仕事内容を職種別にみていきましょう。
基本的な作業者といえばマシンオペレーターです。半導体工場は非常に精密な部品が使用されていますので、機械操作といえば難しいイメージがつきものです。しかし、半導体工場のマシンオペレーターは専門知識も不要で、マニュアルや手順書通りに操作すればいいだけです。もちろん、慎重さは必要になりますが、慣れれば問題ないでしょう。
半導体の中心部といえるウェーハを製造し、パターンを形成して回路を再現していきます。言葉で聞けば何が何やら分からないという人もいるでしょうが、マニュアル通りに作業すればそれほど難しい操作でもありません。
むしろ、既存のマシンオペレーターのほとんどは未経験から操作しているものです。
半導体を組み立てる仕事になります。組み立てと聞けば、自動車工場のライン作業をイメージする人もいるでしょうが、半導体装置の詳しい知識は必要ありません。
マシンオペレーターと同様にマニュアル通りに組み立ての作業に入るので、初心者でも慣れれば作業可能です。
また、人の手作業もありますが、非常に精巧な難しい作業などはロボットが担当してくれます。
どの工場にもありますが、完成品は検査工程が存在しています。出来上がった半導体を専用の顕微鏡で細かくチェックしていきます。目視では確認できないほど精巧なので、電子顕微鏡を使用することもあります。
どの部分をチェックするかは作業指示書やマニュアルがあるので、こちらも初心者でも担当可能となっています。
一般的な工場と同じく、半導体工場でも運搬や出荷作業があります。工程ごとの運搬作業に加え、取引先へ納品する出荷作業です。半導体は精密品ですので扱いには十分注意しなければなりません。
梱包忘れや積み荷の状態など、ちょっとした衝撃が不良品となり得ますので、慎重な作業が求められるでしょう。
半導体工場では組み立てのみとかではなく、検査やマシンオペレーターを兼任するように、複数作業を兼務することがよく見られます。
求人では組み立てとなっていても、工場ではマシンオペレーターや検査も担当することがあるので注意しましょう。ただ、その工程も覚えた方がスキルや知識を蓄えるのにも勉強になります。
半導体工場では24時間のシフト体制になっていることが多く見られます。半導体の組み立てや加工に関わる装置などは通電状態組を維持しているため、フル稼働しているのです。
そのため、24時間の2交替や3交替といった日勤帯と夜勤帯を分けて稼動しており、勤務時間も一定ではなく、ローテーションの交替制を組んでいます。
中には夜勤帯のみをメイン稼動している場合があり、そこで働く場合はほとんど夜勤のシフトになってしまいます。
夜勤が多くなるとその分だけ手当が多くなるので、人によっては体がしんどくても稼げるというメリットもあるでしょう。
半導体工場で働くメリットを5つ見ていきましょう。
半導体工場は大手企業が扱っているので、社員の平均年収も高いのが特徴です。特殊な仕事ですし、需要も高いのでまだまだ年収も上がりやすいといえます。社員だけでなく、期間工や派遣社員も時間給が高めに設定されており、働き甲斐のある仕事といえるでしょう。
半導体はそれ自体が大きなものではないので、搬送作業でも力が必要ではありません。設備の管理と検査がメインであり、肉体を使う仕事があるわけではありません。立ち仕事という点では体力を使うことはありますが、大きな力を使うような仕事は基本的にないでしょう。
力仕事がない分、女性も活躍できる仕事といえます。
半導体工場では未経験者でも作業可能です。組み立てやオペレーターに関わらず、検査でも専門知識はそれほど必要とはいえず、マニュアルが完備されているものですから、安心して仕事に入れます。
機械操作も段取りやメンテナンスをする人たちは専門的な知識を有しますが、稼働中の機械操作に至っては難しいことはありません。
未経験の初心者でも十分対応可能といえるでしょう。もちろん、専門知識を身に付けたいという人は半導体に関わる資格もありますので、スキル向上を目指すこともできます。
半導体工場はクリーンな環境で作業します。ゴミやチリもあってはいけません。外部からの持ち込みなども厳しい制限があります。温度管理も徹底されていますので、一般的な工場に比べて非常にクリーンで環境に優しい職場で働けるでしょう。
多くの機械工場では油がミストとして蔓延しており、ぜんそくの人などは症状が悪化することもあります。清潔感のある職場で働きたい人にとってはおすすめです。
半導体工場は需要もありますし、世界中で常に最新技術が注目されています。どんどん新しい製造プロセスを身に付けることが可能ですので、やりがいのある業種といえるでしょう。
半導体は現代社会においてなくせない要素となっており、人材をまだまだ募集している業種でもあります。将来性の高い仕事といえるでしょう。
半導体工場で働くデメリットもみていきましょう。
半導体工場では24時間稼働しているので、不規則な勤務時間になりがちです。日勤と夜勤を繰り返す2交替や3交替はなかなか時間に慣れないもので、週明け勤務がきつく感じることがあります。
毎週勤務を繰り返していけば慣れていけるということもでもなく、最初はよくても年齢を重ねる内に夜勤や交替勤務が厳しくなっていくものです。
また、半導体工場によっては日勤と夜勤のどちらかを選択できることもあるので、生活リズムを崩すことなく同じ時間帯で働くことが可能な職場もあります。
半導体工場では作業が簡単な分だけ単調作業となります。すぐに慣れてしまうので、同じ作業の繰り返しというのが苦痛に感じてしまうこともあるでしょう。
未経験者でも作業できる反面、慣れてきた経験者にとってはやりがいも薄れやすくなっていきます。
クリーンな作業環境になるので、勤務中はオシャレができません。クリーンルームでは防塵服やマスク、ゴーグルといった完全防備になります。ほこりやチリもNGになってしまう半導体工場ではピアス・ネックレスといった装飾品を付けることができません。
髪の毛も隠さないといけないので、セットが崩れてしまいますし、メイクもNGとして扱われる工場もあるほどです。勤務中の制限が多いのがデメリットに感じる人もいるでしょう。
半導体工場ではクリーンルームに入って作業しますので、クリーンスーツを着用しています。室内は一定の温度ですので、「暑い」「寒い」というのはないでしょうが、動くのに重いと感じることはあるでしょう。
これも慣れるまでは時間がかかりますので、クリーンスーツの着用が嫌な人もいるでしょう。
次に半導体組立に向いている人の特徴をみていきましょう。
需要が多い半導体工場ですので、残業を含めて長時間作業になることが多くみられます。ずっと立ち続ける人もいれば、座って作業しなければならない人もいるでしょう。座ったほうが楽というイメージですが、長時間同じ姿勢で座り続けるのは腰痛を招くのでつらくなります。
もちろん、立ち仕事を続けるのも足が疲れやすいものです。どちらがいいとは個人差もあるのでいえませんが、長時間の立ち仕事や座っての作業に苦痛でない人は向いているでしょう。
半導体工場ではマシンオペレーターも機械の操作だけでなく、検査も行うものです。顕微鏡を使わないと見えないくらい慎重さが必要なので、検査工程でも自分の仕事に責任感を持って取り組める人が重宝されます。
むしろ、責任感のない人は半導体工場の現場には向いていないといえるでしょう。
半導体工場の組み立てでは細かい作業が得意な人も向いています。微細な作業をしなければならないので、大雑把な作業をする人には向いていません。手先が器用で細かい作業が得意な人に向いている仕事です。
器用な人は新たにやりやすい作業方法も考えやすいので、自分で仕事のやりがいを見つけていけるでしょう。
半導体工場では需要が続くので、自身のスキル向上を心がけている人は伸びやすく、単調作業からより専門的な作業に入れます。
そのためには専門資格である「半導体製品製造技能士」の国家資格を取得してキャリアアップに努めることが可能です。
「半導体製品製造技能士の資格には2級・1級・特級とそれぞれ必要な実務経験が異なり、試験内容も違います。
資格を取得して向上心を持ち続けられる人には半導体工場の仕事も向いているでしょう。
半導体工場では需要が旺盛で日常生活に欠かせない必要なモノとなっています。半導体工場では未経験者でも作業可能なほど慣れれば簡単なことが多く、需要が切れないので安定した収入を得られることができます。
ここで紹介した向いている人の特徴やメリットを加味しながら、半導体工場の組み立てで働いてみるのはいかがでしょうか。
